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業界人の《ことば》から 第176回

ペーパーラボ誕生は新たな価値を生み出す第一弾

「ペーパーレスはただの逃げ」、強気なエプソンの秘策とは

2016年01月07日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「紙のよさを理解しているのに、ペーパーレスを打ち出すのは、本質から逃げているだけ。紙を安心して使える環境を作ることが、紙に関わっている企業の使命」(セイコーエプソン・碓井稔社長)

 セイコーエプソンが、オフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」を、2016年内に製品化すると発表した。

 機密文書をはじめ、社内で使用済みとなった紙を、ペーパーラボに入れると、わずか3分間で再生紙を作ることができるという、これまでにない発想の製品だ。投入された紙は、綿のような紙繊維レベルにまで細く分解することができるため、シュレッダーで裁断するよりも安全に情報を抹消できるほか、紙繊維を原材料として、独自の「ドライファイバーテクノロジー」により、水を使わずに再生紙を作ることができる。

 専用の溶剤を使用することで、繊維の結合時の強度を高めたり、白色度を向上したりするほか、カラー用紙や香り付用紙を作ることも可能だ。また、紙厚が異なるA4サイズおよびA3サイズのオフィス用紙、名刺用紙もつくることができる。1分間に約14枚の紙を再生でき、1日8時間稼働させると6720枚もの紙を再生できるという。

 筐体の大きさは、幅2.6メートル、奥行き1.2メートル、高さ1.8メールと大型だが、今後、複合機と同じサイズにまで小型化することを目指す。

 発売を前に、セイコーエプソン社内で試験導入を行なうほか、自治体や大手企業にも試験導入し、これらで得られた知見をもとに、製品にフィードバックする考えだ。価格は未定としているが、「利用者にとって、経済的なメリットを提供できる目処が立っている」(セイコーエプソン・碓井稔社長)という。

(次ページでは、「安易なペーパーレス化は発想力のなさを露呈してるだけ」)

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