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それでも面白い製品はいっぱい出た

2015年、Windows 10に翻弄されたPC業界

2015年12月29日 15時00分更新

文● 小林/ASCII.jp

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2015年のパソコン市場を振り返る

 2015年のパソコン市場を振り返るとき、“これ抜きに語れない”のは7月に正式リリースとなった“Windows 10の存在”。2014年4月に配布が開始されたWindows 8.1 Update以来の大規模アップデートとなるが、期間的には1年強と短く、秋ではなく夏のリリースになるなど、これまでのマイクロソフトの戦略から見ても、かなり急いだリリースだったように思える。

 Windows 10では、2012年のWindows 8以降いろいろと混乱していたGUIを見直した。モダンUIやチャームといったタッチ主体によりすぎていた操作体系を、デスクトップ上でキーボードやマウス中心に操作する体系に改めて整理。パソコン用OSとして、保守的で確立した使い勝手に回帰した格好だ。しかし実際に使ってみると、なかなかしっくりきて好印象だ。

 一方、Windows 7やWindows 8など、既存バージョンのWindowsからのアップデートを1年間無償で提供したり、スマホのような“ライブアップデート”で柔軟に新機能を追加していく方針を示したりと、従来にない“攻め”の姿勢も見せた。ただし、こういった方針変更によって、ハードメーカーはこの1年、Windows 10に翻弄され続けた面もあっただろう。

縮小傾向であるのは否めないが……

 残念なことに2015年、パソコンの売れ行きは厳しかった。IDCやガートナーといった米国の調査会社のまとめた数字を見ると、全世界のパソコン出荷台数は前年比10%前後縮小しているようだ。IDCが発表した直近四半期(2015年7~9月期)の数字では、パソコン出荷台数は7097万6000台で前年同期比10.8%減となっている(関連サイト)。一方上位4社(Lenovo、HP、Dell、Apple)を合計した数字の減少率は4%台と限定的。大手とそれ以外の差がより大きく広がった1年だったとみることもできる。

 国内では2014年の初頭にWindows XPのサポート終了に消費増税前の駆け込みが合流した特需があったが、夏から秋にかけてその余波でパソコン出荷台数はかなり落ち込んだ。しかし、IDC JapanやJEITAなどがまとめた数字では、その落ち込みからさらに15~20%近い減少があり心配だ。IDC Japanの調査では、2015年第3四半期(7月~9月)の国内クライアントPC出荷台数は、ビジネス市場が147万台(前年同期比23.0%減)。家庭市場は90万台(同20.0%減)。合計237万台(同21.9%減)となった(関連サイト)。

 国内シェアは引き続きNEC・レノボがトップ。販売台数は2割強減らしたものの、シェアは4.7ポイント拡大した。そのあとには、富士通、東芝、日本HP、デルが続く。HPはビジネス市場で健闘して、前年比0.4%の減少率にとどまった。2位の富士通、3位の東芝はパソコン事業分社化の方針を打ち出したばかりだ(4位の日本HPも8月にエンプラ事業とPC事業を分社化している)。

パソコンのあり方が問われるタイミングに

 2015年前半はWindows 10の登場に向けた様子見という雰囲気が強かった。かつ対応状況も直前までなかなか揃わなかった。Windows 10リリースに伴って、Windows 7/8からの無償アップデート通知がOS標準機能として提供されたが、メーカー側が安易にアップグレードしないよう注意喚起したことを記憶している読者もいるだろう。

 マイクロソフトの方針もあり、Windows 10への移行はインストールベースでは着実に進んでいる。しかし、2015年後半にWindows 10とともにパソコンメーカーが華麗なスタートダッシュを切れたとは言い難い。法人需要の低下や為替の影響に加え、マイクロソフト自体の方針のブレや、既存モデルをWindows 10にどう対応させていくかに、各ハードメーカーが大きなリソースを割かれた影響が出たようにも見える。

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