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累計2億台の換気扇出荷を目指すパナソニック エコシステムズ - 春日井工場の生産ライン公開

2015年12月17日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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初公開された春日井工場 触媒DPF製造工程

 新規事業分野では、このほど、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる粒子状物質を分解する新方式のディーゼル排ガス浄化用触媒フィルター(DPF)の生産拠点を中国・蘇州に新設。12月から生産を開始し、中国エンジンメーカーなどに向けて提供することを明らかにした。春日井工場で触媒を調整。それを蘇州工場に持ち込み、生産することになる。

 春日井工場の触媒DPF製造工程では、原料混合、ドライヤーでの乾燥、粉体焼成炉での焼成、スラリー(液体と固体を混ぜ合わせたもの)調整ののちに、触媒塗布機でフィルター内部をコーティング、含浸、乾燥、焼成を行なう。これらの工程を経て完成した製品は検査工程で外観や重量などを検査。レーザー刻印で検査完了済みであることを示して出荷される。蘇州工場に出荷されるのはスラリー調整を行なったものとなる。

初公開された触媒DPF製造工程。だが、内部の写真撮影は禁止された

 「触媒のスラリー調整は、性能を左右するブラックボックス技術であり、これは国内で行なう」という。2018年度には、蘇州の新工場で、約100億円の生産規模を目指すという。

 「パナソニックのディーゼル排ガス浄化用触媒フィルターは、一般的なDPFに比べて、約20%低温でススを分解できるため、アイドリング時などに排気ガスが低温になる場合にも対応が可能。燃料使用量を減らし、省エネ、燃費向上につなげることができるほか、白金を使わないため低コストであること、燃料に含まれる硫黄成分に高い耐性を持つ触媒であるため、安定した性能を発揮できるのが特徴である。新車だけでなく、既存のクルマのマフラー交換などの需要も想定される」とした。

 「2010年からはサンプル提供を開始してきたが、蘇州工場の稼働により、このビジネスが本格的にスタートすることになる。各国の法規制の動きとともに市場が拡大する可能性がある」と位置づけた。

 そのほか、新規事業として、日本では換気扇での新たな価値の提案、インドネシア向けポンプ事業の展開などに取り組む姿勢を示した。

 環境エンジリアリング事業の強化では、「水、空気、土壌、エネルギーといった観点から、企画、設計、施工、メンテナンスまでのライフサイクル全般を支えてきたが、これまでは国内の事業所、工場が対象であった。こうした製造分野を支えてきたDNAを生かしながら、海外への展開のほか、船舶、畜産などの分野にも展開していくことになる」(パナソニック環境エンジニアリングの石津哲男社長)とした。

 パナソニック環境エンジニアリングは、パナソニックエコシスムズにおいて、環境エンジニアリングを担当する子会社だ。

パナソニック環境エンジニアリングの石津哲男社長

次世代の閉鎖型牛舎やウインドウレス鶏舎の開発も

 酪農分野においては、「畜産環境ソリューション」を畜産農家に提供。「センサーを活用して、温度・湿度・風速を管理。給気と排気、ミストといった当社の技術を活用して、牛舎の空調をコントロールする。これにより、夏場には暑さや熱の影響で、搾乳量が約10%減少し、通年での安定した収入が困難になるといった畜産農家の課題を解決できる」という。現在、熊本県や静岡県の酪農農家で導入実績があるという。

 また、養鶏農家に対しては、センサー技術を活用した気流制御により、ウインドウレスの鶏舎を実現。すでに、導入している養鶏農家では、雛から出荷までの45日間に、32度から17度へと、日齢ごとに求められる最適な温度へと調整。育成率を高め、廃棄率を大きく引き下げることができる一方、平均体重を増やせたという。

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