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日本国内および世界各国へ展開予定

NTTデータ、渋滞緩和技術の実用化へ、英国で共同研究

2015年12月10日 16時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 NTTデータは、英国・エクセター市における交通制御の実証実験に向け、Imtech Traffic&Infra社(以下、Imtech)と渋滞緩和技術の共同研究を行う。

 2016年度にエクセター市内で実証実験を行う想定で、NTTデータの交通ビッグデータを用いた大規模・高速交通シミュレーション技術と、Imtechの交通管制システムを用いた信号制御による渋滞緩和技術の相互補完を研究する。

 NTTデータは、2014年に中国・吉林市において渋滞緩和の実証実験を行い、成果を上げている。一方、Imtechは欧州にて交通管制や信号制御の技術において豊富な導入実績を持つという。今回、両社の技術でそれぞれ補完できる見通しが立ったことから、共同研究に踏み切った。期間は2年間。

 1年目は、NTTデータ交通シミュレーションによる広域の信号制御最適化技術と、Imtechが保有するリアルタイム信号制御システム「SCOOT」の適切な組み合わせを検討する。

 従来のSCOOTでは、道路に設置されたセンサーデータを基に信号制御を行っていたため、センサー未設置道路の信号制御は十分にできていなかった。そこにNTTデータの保有するGPSデータを用いた交通シミュレーションを適用することで、センサー未設置道路の信号設定も算出可能となり、都市全体の渋滞緩和をリアルタイムに行える交通管制が実現するという。同時に、NTTデータはImtechの信号管制ノウハウを参考に、交通シミュレーションの実運用上の課題を解決する。

Imtechと構築する交通管制ソリューションのイメージ

 2年目は、1年目の成果から実際にエクセター市中心部の信号制御を最適化し、渋滞緩和効果を検証する実証実験を行う予定としている。

 なお、共同研究は英国のスマートシティー・イノベーションを推進するInnovate UKファンドを活用し、NTTデータの英国子会社であるNTT DATA UKを筆頭とするコンソーシアムのプロジェクトの一環として実施される。

 共同研究と実証実験の成果は2017年に発表する予定。交通管制システムとのリアルタイム接続による渋滞制御の完全自動化を目指す。さらに交通シミュレーションと信号制御技術を組み合わせた渋滞緩和ソリューションも実用化し、日本国内および世界各国へ展開していく考え。

 世界各国で導入が進められているスマートシティー関連プロジェクトへの本技術の展開を図りつつ、2020年度末までに日本・海外で100億円の売り上げを目指す。

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