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Amazonログイン&ペイメントは使えるか?導入の成果を聞く (2/2)

2015年12月17日 11時00分更新

文●野本纏花

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カートに入れてからの購入確定率が格段にアップ

SUPER CLASSICがAmazonログイン&ペイメントを導入して大きな成果があったのが、いわゆる“カゴ落ち”の改善だ。南氏はもともと 入力フォームを改善してカゴ落ちを減らすEFO(エントリーフォーム最適化)に力を入れていた。

「従来だと、カートに入れた後の購入率は43%。これに対し、Amazonログイン&ペイメントでは71%という結果が出ました。1.7倍の差ですよ。今年導入したどの施策よりも、利益額において圧倒的な効果が出ました」(南氏)

Amazonのボタンがあることで、Amazonへ流れるユーザーが多くなるようにも思えるが、結果として、Amazonでの売上は変わらなかった。

「純粋に自社サイトで購入するつもりだった人が、Amazonログイン&ペイメントで購入しているだけなので、EFOの数値が改善した分、そのまま利益が増えたイメージです」(南氏)

「SUPER CLASSIC」の決済ページ。支払い方法では、Amazonアカウントでの支払いが一番上に表示されている

ユーザーがAmazonログイン&ペイメントを利用すると、事業者側は配送に必要な名前、住所、電話番号と連絡用のメールアドレスをAmazonから受け取る。購入前後に自社サイトの会員登録を求めるかはシステムの作り方次第だが、事後のマーケティングメールの送付には必ずユーザーの許諾が必要だ。また井野川氏は、

「誤解されている方もいますが、外部のサイトでどういった商品を購入されたかという情報をAmazon側では取得していません。サイトによっては、ゲストで購入するユーザーのうち、3人に1人がAmazonログイン&ペイメントを選択し、さらにそのうちの3人に2人が会員登録をしているそうです」

と話す。

アマゾン ジャパン株式会社 アマゾンペイメント事業本部 事業部長 井野川 拓也氏

Amazonのビッグデータを活用して事前にリスクを排除

Amazonログイン&ペイメントの導入効果は、“カゴ落ち”を減らすだけではない

「Amazonログイン&ペイメントは、過去の購買行動履歴を元に、ビッグデータを使って複合的に判断して、危険な注文を事前に検知してくれる。大幅にリスクを下げられるメリットがあります。もし間違って受けてしまった場合でも、マーケットプレイス保証が受けられる場合もあります」(南氏)

少人数運営にこだわるSUPER CLASSICは、商品企画3人、Webデザイン1人、受発注管理1人、そのほか経理やPRを担当する南氏の計6人で運営している。少人数体制で困るのは、大量注文など海外からの“怪しい注文”に、1人しかいない受発注管理者が30分〜1時間かけてチェックすることだ。クレジットカード決済の場合、“怪しい注文”のリスクはクレジットカード会社ではなくEC事業者が持つため、事前に調べる必要がある。Amazonのビッグデータにより、こうした作業を減らせるのも、Amazonログイン&ペイメントのメリットだ。

Amazonログイン&ペイメント紹介動画(日本語)

※ ※ ※

現在はマレーシアに住み、3週間に1度のペースで日本に帰国しているという南氏。日本にいないことで不要なアポや会食が減り、商品企画にあてられる時間が増えたそうだ。売上もマレーシアに移住してからの2年間で倍増しており、良い方向へ向いている。SUPER CLASSICは、あらゆるものに「縛られない」南氏の生き方が体現されている。

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