iOSでもOS Xでも便利に使える「ユニバーサルリンク」
El Capitanから話は若干ずれるが、Safari 9で導入された「ユニバーサルリンク」はWebとアプリをつなぐ"架け橋"となる技術として見逃せない。アプリからWebへ、Webからアプリへという導線 -- 本来の意味はWebサイトのトップページ以外へのリンクだが、スマートフォンアプリの特定ページに遷移するリンクも包含するよう意味合いが変化している -- を設ける工夫は、これまで主にURLスキーム(第106回「URLスキームはアプリの可能性を広げるか?」を参照 )が利用されてきたが、ユニバーサルリンクを利用すれば遷移の際の違和感は格段に減る。
URLスキームの場合、いったんWebページを表示してから他のアプリへ自動遷移するか、Webページに用意されている「アプリで開く」ボタンをタップするしかなかった。リンクをタップしたらSafariが起動し、慌ただしく他のアプリに遷移していく様子を見たことがあるユーザーも多いはずだ。
しかしユニバーサルリンクに対応したアプリの場合、Web上のコンテンツへ滑らかに遷移できる。たとえば、Safari 8でTwitterのURLをタップすると、モバイル最適化ページ(mobile.twitter.com)へリダイレクトされ画面上部には「アプリで開く」ボタンが表示されたものだが、Safari 9ではいきなりTwitterアプリが表示される。Google MapsやDropboxなどユニバーサルリンク対応を遂げたiOSアプリは、Safari 9ではそのような滑らかな遷移を見せてくれる(Google Mapsは以前から独自に類似機能を実装していたが)。
iOSの話ばかりになってしまったが、ユニバーサルリンクはOS Xとも関係が深い。リンクと関係のあるアプリがインストールされている場合は、ただちにそのアプリに遷移して対応するコンテンツが表示されるが、インストールされていなければ従来どおりSafari上でWebページとして表示されるからだ。iOSではアプリ、OS XではSafariという都合のいいリンクは、アプリとWebの両方を展開する企業にとって見逃せない存在だろう。
もっとも、アプリをソースコードレベルでユニバーサルリンクに対応させなければならないうえ、WebサイトではSSL対応やアプリの一意な情報(Bundle Identifierなど)を記述したJSONファイルの用意などが必要になる。かかる労力のためか、筆者が確認したかぎりではユニバーサルリンクに対応するアプリはGoogle MapsにTwitter、DropBoxなどわずかだが(どういう理由かApple Storeが未対応)、今後対応アプリ/サイトが増えることは確実。ユーザーにとってもメリットは大きく、今後に期待したいところだ。
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