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T教授の「戦略的衝動買い」 第357回

バンドまで電子ペーパーの腕時計「FES Watch」を衝動買い!

2015年11月25日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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省電力を突き詰めたがゆえに
何回か無駄に腕を動かさなければならないことも……

腕に装着した時の雰囲気。“できる”ということは画期的だが二値の単純なストラップ柄はやはり寂しい。“できる”を越えて“楽しい”&“便利だ”が次の課題だろう

腕に装着した時の雰囲気。“できる”ということは画期的だが二値の単純なストラップ柄はやはり寂しい。“できる”を越えて“楽しい”&“便利だ”が次の課題だろう

 前述したように、FES Watchの最大かつ唯一の特徴は、文字盤からストラップに至る全面が電子ペーパーででき上がっていることだ。

 それゆえ、FES Watchが“できる面白いこと”は誰もが容易に思いつく、自由で変化に富んだ文字盤の時刻表示イメージと、着せ替えなくてもさまざまな繰り返し模様やイラストを表示させて極めて変化に富んだユニークな柄を持った日替わりストラップが創り出せることだ。

 スマートウオッチでもギミック満載のガジェット腕時計でもないごく普通の電子ペーパー腕時計であるFES Watchは、その手の腕時計が一般的に採用している充電式バッテリーを搭載していない。

 本体の駆動には、ユーザーによる交換不可能なボタン電池を使用する。ユーザー使用の一例として、ストラップ柄の変更を1日1回行ない、1日25回現在時刻を表示させると、約2年のバッテリー寿命らしい。使い方によってははるかに短くはなるだろう。

 ごく普通の腕時計を購入する一般の人が、充電することなく普通の腕時計のように毎日使うことを前提としているようだ。

 FES Watchは伝統的でドレッシーな腕時計デザインにもっとも多い、カチカチ動く秒針なしの一般的な二針(長針と短針)腕時計を基準にしている。

 ご存知のように電子ペーパーは書き換え時にバッテリーを消費するために、腕時計文字盤として採用した場合、毎回画面全体の書き換えを必要とする秒針は鬼門だ。FES Watchは、短針イメージの針の替わりに、その時点の短針の位置に時間の「数値」を表示するというアナログ腕時計の古来からあるアナデジ表示の仕組みを採用している。

時刻を見ようと腕を目の方向にひねると時刻表示に変わる……はずだが、タイミングのズレや実際には表示しないこともある。常時表示ではないので改良が望まれるところだ

時刻を見ようと腕を目の方向にひねると時刻表示に変わる……はずだが、タイミングのズレや実際には表示しないこともある。常時表示ではないので改良が望まれるところだ

 電子ペーパーを採用する腕時計としては無理のない表示スタイルだ。残念なのは、先輩格の充電式Pebble腕時計のように、時刻表示が常時表示ではなく、腕に装着した状態で、自分の目の方に腕をひねったアクション(FES Watchでは“ウォッチアクション”と呼んでいる)が起こった時のみ、時刻表示する仕組みであることだ。

 この仕組は省電力を目的として、昨今の多くのスマートウォッチにも採用されている仕組みだが、微妙に時刻が表示されるタイミングにズレが生じたり、時には現在時刻を知るために一回では上手く表示されず、何回か無駄に腕を動かすアクションを強いられる。

短針代わりの数字針の位置から、普通に見れば8時53分とは読めないかもしれない

短針代わりの数字針の位置から、普通に見れば8時53分とは読めないかもしれない

 また、現在時刻を知らせる短針が時間の経過と共に細かく位置を移動しないために、時刻を見誤る可能性もある。

8時55分を超えると、9時前であることをユーザに知らせるために8と9が一瞬同時に表示される。なかなか面白いが苦肉の策だ

8時55分を超えると、9時前であることをユーザーに知らせるために8と9が一瞬同時に表示される。なかなか面白いが苦肉の策だ

 FES Watchでは時刻の誤読を回避するため、毎時5分ほど前以降に時刻表示アクションを行なうと、通常表示とは異なり“次の時刻数字も同時に一瞬だけ表示する”というなかなか苦しい技を採用している(上の写真参照)。

本体文字盤とストラップの組み合わせは全部で二十数種類あるようだが、感受性の低い筆者にはどれもほとんど同じに見えてしまう。筆者の自慢デモを見ても感心した友人はほとんどいなかった

本体文字盤とストラップの組み合わせは全部で二十数種類あるようだが、感受性の低い筆者にはどれもほとんど同じに見えてしまう。筆者の自慢デモを見ても感心した友人はほとんどいなかった

 そして、最大の特徴である腕時計文字盤とストラップに全面的に採用された電子ペーパーの成果であるさまざまな文字盤とストラップ柄の組み合わせであるが、順列組み合わせ的には二十数種類のコンビネーションが用意されている。

 しかし、実際に組み合わせを切り替えてみても、感受性の低い筆者にはほとんど大同小異でそれほどの感動はなかった。

(次ページに続く、「電子ペーパーという“技”は興味深いが実際の機能は寂しい……

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