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データレイク戦略を拡張する新製品群を発表

EMC Isilon、エッジやクラウドでのデータ管理・連携が可能に

2015年11月17日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 EMCジャパンは11月16日、スケールアウトNAS「EMC Isilon」の新製品群を発表した。新たに投入するのは、エッジ向けストレージソフト「IsilonSD Edge」、ストレージOS新版「Isilon OneFS.NEXT」、クラウドデータ連携サービス「CloudPools」の3種類。2016年第1四半期の提供予定。

 同社は2014年から「データレイク戦略」を推進している。それは「データを一カ所にまとめ、きちんと管理された状態で、さまざまな手段でデータを読み書きできる状態にする」というものだ。しかし、初期のデータレイク土入環境では、利用可能なデータはコアのデータセンター内または近接するソースからのデータのみに限定されていた。今回、同戦略を「2.0」へと進化させ、コアのデータセンター、エッジ、クラウドのすべてを通じて非構造化データをシンプルかつ一貫性を持った環境を実現する。

 まずはエッジへの拡張だ。支社やリモートオフィスで使用されているストレージ環境にはさまざまな課題がある。たとえば、「そもそも低容量で、管理も現場で行っているため無秩序、場当たり的なガバナンスが適用されている」(EMC エマージングテクノロジー事業部 EMC Isilonプロダクトライン担当シニアバイスプレジデントのフィル・バリンジャー氏)。

フィル・バリンジャー氏

 こうしたエッジでの管理性やストレージの使い勝手を高めるため、「IsilonSD Edge」は、Software-Defiend Storageの仮想アプライアンスとして提供される。既存のハードウェアで利用でき、VMware ESXハイパーバイザーでの稼働やvCenterでの管理に対応。Isilonが提供するストレージサービスがすべて利用できる。

 クラスタは最大6ノード、容量は最大36TBまで。「支社やリモートオフィスで必要とされる容量は10TB程度という調査結果に基づいた容量設計」(バリンジャー氏)とのこと。

 なお、「IsilonSD Edge」は非商用環境での使用は無償となり、誰でもダウンロードして利用できる。

 このエッジとデータセンターのコアストレージは双方向レプリケーションが行える。このため、エッジのデータをバックアップし、DRを実現することが容易という。

 たた、そうしてエッジからのデータが増えると、課題となるのはコアへのデータ増大である。バリンジャー氏は「経営からはコスト削減への圧力が、現場からは企業の価値が集まるため耐障害性への圧力がかかる」と指摘する。しかし問題は「膨大なデータが取り込まれるコアでは、管理環境は複雑となり、その成長を見通せないことだ」(同氏)という。

 そんなコアにおける可用性と管理性を維持するため、Isilon OneFS.NEXTでは、新たに「無停止アップグレード(NDU)」と「シームレスなロールバックオプション」に対応した。コアの稼働を一切止めずに、最新ソフトウェアにバージョンアップしたり、不具合が生じた際に巻き戻せる機能だ。大規模アップグレード時におけるダウンタイムを確実に回避するという。

 もう1つ、コアのデータ増大に対する解決策がCloudPoolsだ。ストレージに格納されるデータはそれぞれアクセス頻度が異なる。頻繁にアクセスされるデータを「ホット」とすると、ほとんどアクセスされないのに保存しておかなければいけない「フローズン」というものが存在し、それはデータ全体の約半分を占めるとされている。EMCが見据えるデータレイク戦略においては、2020年に5000TB級のデータ量になると見込んでおり、その半分の2500TBものフローズンデータが、重要なストレージ資産にのしかかることになる。

 そのフローズンデータを効率的にクラウドストレージに保存しようというのがCloudPoolsだ。「それは設備投資から運用コストへのシフト。フローズンデータをクラウドに移すのはいいアイデアだが、いくつか課題がある。例えば、データを移す時、アプリが瞬断してしまうこと、データ形式の互換性が欠如すること、データセキュリティのリスクなどだ。それを解決するために、CloudPoolsではさまざまな工夫を凝らしている」(バリンジャー氏)

 CloudPoolsは、Isilonを「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Virtustream」などのパブリッククラウド、および「EMC Elastic Cloud Storage」のプライベートクラウドへネイティブに拡張する。クラウドゲートウェイは必要なく、Isilonとクラウドを単一のネームスペースで利用可能。さらに暗号化・細分化・圧縮といったセキュリティも備え、クラウドに移行したデータにもOneFSのストレージサービスが利用できるという。

 EMCジャパンでは、これら新製品によって、データレイクの普及に努める。提供開始は2016年第1四半期(1月~3月)からを予定し、価格は個別見積り。同社およびパートナーから提供する。

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