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ソリューションベンダーとしてグンと加速、Dell World 2015レポート ― 第3回

ヴイエムウェアなど各社の独立性は? PCビジネスを売却するつもりは?

デル・エンタープライズ事業幹部に「EMC買収」懸念点を直撃

2015年10月26日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 IT業界で過去最大規模、670億ドル(およそ8兆円)の巨額取引となるデルのEMC買収計画。米デル エンタープライズ事業部門(ESG)プレジデントのマウリス・ハース氏は、「買収完了までにはあと数カ月かかるが、エンタープライズ向けポートフォリオが拡充することには大きな期待を持っている」と語る。

 ハース氏は、今回の「Dell World 2015」の場においても「顧客からは買収へのポジティブな反響が得られた、期待が高い」と述べたが、一方で多くの懸念材料が指摘されているのも事実だ。デル側ではどう見ているのか、ハース氏に聞いた。

米デル エンタープライズソリューションズグループ(ESG)プレジデントのマリウス・ハース(Marius HaaS)氏

ヴイエムウェアなどEMC傘下各社の独立性をどう維持するか

――EMC買収に関しては、さまざまな懸念点が指摘されています。たとえば買収費用にかかる利息、人的なリストラの推進など、懸念材料は何か、またそれについてどのように考えていますか。

ハース氏: 今回のような大規模な買収取引には、当然、慎重な計画が必要であり、まだその初期段階だ。統合についての調整を進めるため、両社の幹部が専任の担当者となり、初めての会合を今週ここ(テキサス州オースティン)で実施した。

 両社の統合は、セールス部門にシナジー効果をもたらす。EMCは世界中のトップアカウント、大手企業に強く、一方でデルはミッドマーケット、中堅以下の企業に強い。プロダクトの面でも、両社製品のオーバーラップは少ない。EMCは最高価格帯のストレージ市場で強みを発揮していく一方、デルはコモディティ価格で最高のパフォーマンスを提供していく。

――これまでEMCでは、買収した各社を一つに統合するのではなく、それぞれ独立してビジネスを行いながらゆるやかに連携させる“フェデレーションモデル”をとってきました。買収後も、このフェデレーションモデルは維持されるのでしょうか。

ハース氏: フェデレーションモデルによって、各社がコアビジネスにフォーカスするための柔軟性が確保されてきたと評価している。

 まずEMCについては、コンピューティング/ネットワーク/ストレージを強力な1つの組織、エンタープライズグループにまとめていく方針だ。これにより、インフラレイヤーにおけるデルのハイパーコンバージェンス(統合)戦略をさらに加速していこうと考えている。

 一方で(EMC傘下の企業は)クラウド、セキュリティなど、新しいIT分野で求められるすばらしいテクノロジー資産も数多く持っている。高い成長率が見込まれるこうした分野では、各社が迅速な成長を実現できるように、ある程度の独立性を確保していく。

――特に注目されている、ヴイエムウェアの独立性についてはどうでしょう。

ハース氏: ヴイエムウェアは独立した株式公開企業であり、そのまま(株式公開企業として)存続する。

 そもそもヴイエムウェアは、(さまざまなハードウェアやOSが混在する)ヘテロジニアスな環境を構築するためのテクノロジーを提供してきた企業だ。(デルが親会社として独占的に振る舞うことで)その価値提案を損ないたくはない。

 ヴイエムウェアとはパートナーシップを組み、さまざまな援助はしていくものの、口やかましく手出しをしたりはしない。ヴイエムウェアには、ヴイエムウェア自身でこれまで業界内で各社と築いてきた強力なパートナーシップがあり、これを維持していく。

――しかしその反面、独立性が高いとシナジー効果は生まれにくくもなるのではないですか。具体的にどのようなシナジーを生むのですか。

ハース氏: たとえば、デルのあらゆるサーバー製品にヴイエムウェアのテクノロジーをエンベッドして(組み込んで)出荷することにより、ヴイエムウェアのテクノロジーをより流通、普及させるための手助けができるだろう。

 デルでは今週、マイクロソフトとのパートナーシップに基づくプライベート/ハイブリッドクラウドソリューション(Dell Hybrid Cloud System for Microsoft)を発表しているが、ヴイエムウェアともそれと同様のことを実施していく方針だ。

Dell World会期中に発表された「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft」。マイクロソフトのソフトウェアと統合済みのハードウェアで、Azureとの親和性の高いプライベートクラウド環境を設置後3時間で運用開始できる

―― 一般的に、企業買収では「企業文化の違い」が組織統合の障害になるケースも多いと思います。デル、EMCの企業文化の違いについてはどう見ていますか。

ハース氏: EMCとデルは長年一緒にビジネスを行ってきた。(EMCがデルにストレージのOEM提供を行っていた10年ほど前は)デルはEMC製品を年間20億ドル以上販売していた。すでにセールス部門では、うまくいっていた実績があるわけだ。

 また、過去12カ月にわたり、デル(の企業文化)について検証を行ったところ、エンジニアからセールス、オペレーションの従業員まで、2つのことを重視していることがわかった。「顧客に対する情熱」、そして「勝利への情熱」だ。この2つはEMCとの共通点でもあると考えており、企業文化の違いが問題になることはないだろう。

――日本を含むアジア太平洋地域各国でのデル、EMCの組織はどうなっていくのでしょうか。

ハース氏: それらも今後の統合プランに含まれている。ただし、まだ詳細は未定だ。

(→次ページ、デルはPCビジネスを売却したりはしない

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