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あこがれの北欧雑貨店のすてきすぎる写真を撮る方法

2015年11月12日 11時33分更新

文●Web Professional編集部

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プロが教えるデジカメ撮影テクニックの著者でプロカメラマンの三浦健司氏の担当編集者。ひとまわりも、ふたまわりも年下の上司にこき使われながら、なんとかこの数年を乗り切り、今や、いっぱしの“編集者づら”をしています(新人の頃の記事はこちら)。最近、気になっているサイトと同じような写真が、どうしても撮れません。「困ったときの三浦頼み」とばかりに、三浦カメラマンのスタジオを訪れました。

雰囲気のある食卓

編集:三浦さん、こんな写真撮りたいでしょ!

三浦:またか、もういいよ。お、最近、メキメキとファンを増やしていると評判の「北欧、暮らしの道具店」じゃないか。

編集:サイトの月間PVは約800万、Facebookの「いいね!」約31万、Instagramのフォロワー約22万人って、すごいですよねぇ。そこのジャム販売のページに載っていた写真が、シンプルなんだけど暖かい雰囲気が感じられるんですよねぇ。こんな写真、撮ってみたいと思って。

三浦:照明を使わず、薄曇りの朝の光を受けているテーブルを真上から撮ったんだろうな。で、撮ってみたんだ。

編集:はい!

三浦:う〜ん、広角側を使って、あとからトリミングしたでしょ。

編集:ビンゴ、大正解! テーブルの上を撮るんで、広角側にしないとピントが合わないし、サイトの写真のようにするためにトリミングしたんですよ。

三浦:写真はトリミングをしないでオリジナルを使うことを前提にしないと、構図の決め方がうまくならないよ。

編集:は、はい!

三浦:それにしても、腕を伸ばして撮っているから自分の腕の影が入ってしまって、肝心のパンのジャムにあたる光をさえぎっちゃってるよね。だから、ジャムが真っ黒になってまずそう。そのうえ、ジャムのびん、コーヒーやお皿には蛍光灯が映り込んでテカテカしている。そもそも、敷物にはアイロンぐらいはかけようよ。

編集:す、すみません。

三浦:まぁ、いいや。それじゃぁ、キミのコンデジで撮り直そう!

三浦:こんな感じかな。

編集:あぁ、全然、違いますねぇ。

ライティング

三浦:セットはこうなっている。

編集:床置きしちゃうんだ

三浦:モチ床置きだよ。これは被写体が不自然にゆがまないように望遠側で撮るため。広角側はどうしてもゆがむんだ。望遠側のメリットは他にもあって、カメラの水平・垂直を手持ちで合わせる時のわずかな誤差を目立たなくしてくれる役目もあるんだ。

編集:へ〜、そうなんですか。望遠って、遠くを撮るだけだと思っていましたけど、そういう効果もあるんですね。

三浦:そういうこと。ライティングは、薄曇りの朝の光を再現するために、2灯の光を1か所に集め、アートレ越しにあてているんだ。2灯の光を1か所に集めたやや強めの光は、カップやお皿、ジャムのびんに適度な影を作ると同時に、パンにのせたジャムの質感、お皿の立体感を出している。レフ板の反射は、影の濃さの調整とパンに乗せたジャムにピカってテカリを入れておいしさを演出しているんだ。

編集:え〜っと、やっぱり詳しいことはプロが教えるデジカメ撮影テクニックっていうことですよね、やっぱ。

三浦:もっと話そうか。いくらでもしゃべるよ。

編集:あぁ、それはだめです。いけません。編集部にいられなくなっちゃいます。でも、カメラの水平・垂直を手持ちであわせるのは難しいですよね。それに、望遠側で撮影すると手ブレすごいじゃないですか。やっぱり修行ですか。

三浦:ほぉ、いいところに気がついたね。今時のコンパクトデジカメは手ブレ補正が強力だから、この程度の撮影ではぶれないよ。水平、垂直をとるのは、カメラのホットシューにつける水準器を使うと簡単だよ。

編集:逆向きじゃないですかぁ。

三浦:そうそう、カメラを天地逆に持って水準器を手前にしないと、気泡が見えなくてバランスが取りづらいでしょ。ちなみにシャッターは親指で押すんだよ。

編集:なるほどぉ〜!

編集:でも、そんな面倒なことをしなくても、三脚を立てればいいじゃないですか。

三浦:真上から撮れる、ものすごく高価なスタジオ用の三脚を買えればね。買う、キミ?

編集:いえ、そ、それは……。

三浦:羊かんのときにも思ったんだけどさ、なんか写真を撮るっていうことをナメてない? 適当にシャッター押せば……。

編集:ありがとうございましたぁ〜!

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