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デジタル時代を乗り切る企業の条件とは?BoxWorks 2015レポート

変化を恐れるな!チェンバーズ氏の声に耳を傾けるBoxレビィCEO

2015年10月20日 07時00分更新

文● 谷崎朋子

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9月28~30日にサンフランシスコで開催されたBoxのカンファレンス「BoxWorks 2015」。ビジネスとITを融合する「デジタル化」する試みの中で、従来のファイル共有クラウドを超えたさまざまな新機能が披露された。

企業のデジタル化を支える新機能を発表

 2005年に大学のビジネスプロジェクトとして始動し、2006年に創業したBox。ファイルの保存・共有・管理を提供するクラウドサービスプロバイダーは特にエンタープライズ向け機能で強みを発揮し、2015年1月23日にはIPO価格70%アップの約24ドルでニューヨーク証券取引所にて上場を果たした。現在、エネルギーの塊のような若きCEO、アーロン・レヴィ氏を顔に、約4000万ユーザー、72か国5万社の顧客を集め、BoxプラットフォームのAPIを活用する開発者は約47000人になるなど、着実に成長を続けている。

Boxの共同創立者でCEOの若き獅子、アーロン・レヴィ氏

 そんなBoxのソリューション開発における主軸の1つが、ビジネスとITが融合する「デジタル化」だ。スマートデバイスやクラウド、IoTなど新規テクノロジーへ対応するため、企業は業務の在り方やインフラ、ビジネスモデルを新たな形へ作り変える必要がある。しかし、これを実現するにはITが単なる情報基盤ではなく、業務や経営の視点で効率化やビジネスの創造を促す仕掛けに進化させなければならない。

 その進化をサポートする機能の1つとして、Boxはインタラクティブ3D、DICOM、HDビデオ対応のブラウザベースの新ビューワを発表した。インタラクティブ3Dビューワでは、FBX、OBJ、Collada、3DS、STL、PLYの主要な3Dファイル形式を開くことができる。APIも公開しており、Oculus Riftもサポートする。

デモではテスラの新車の3Dモデルを使って、ブラウザネイティブで繊細なテキスチャまで再現できることを確認

 2つめのDICOM(医療情報システムなどで扱うCTやMRIなどで撮影した画像フォーマットおよび通信プロトコルを定義した規格)ビューワでは、DICOMイメージを並べて表示したり、コントラストを調整して見やすいように変えたり、メモを付けたりと、さまざまな作業が行なえる。

 BoxのプラットフォームはHIPAAに対応しており、それを理由に利用する医療関係の企業も多く、毎月100万のDICOM画像がアップロードされるという。今回のビューワにより、ただアップロードして共有するだけでなく、多様なデバイスからそのまま画像を専用ツールなしで確認できるようになり、医療現場の業務プロセスが効率化されることは間違いない。

デモでは「妄想癖のある患者のCTスキャン画像を検証する」というシナリオでビューワの操作方法を紹介

 そして、HDビデオビューワでは閲覧者のネットワーク速度に合わせて1080pの高解像度配信し、どの環境でも支障なく動画を鑑賞できる。同社によれば、Boxビジネスユーザーの7分の1がBox内で動画を閲覧しており、今後もニーズは高まると予想されることから、ブラウザネイティブの閲覧機能を追加するに至った。

 このほか、画像や動画向けの無償iOSアプリ「Box Capture」も新たに提供開始した。iPhoneやiPadで撮影した写真や動画をBoxと自動同期、オフライン時も利用可能で、インターネットに再接続されると再度同期がかかる。モバイルiOS SDKも提供され、独自開発のモバイルアプリとBoxの主要な機能とを連携させることも可能だ。

デモでは、ショップの展示画像を本社の販売部門と共有し、微調整の指示を受けるといったシナリオが紹介された

 画像ビューワは現在ベータ版を提供中で、Box Captureは正式に提供開始している。マルチメディアコンテンツを扱う機会が増える中で、違和感なく業務プロセスに組み込める機能はデジタル化の後押しをしてくれる。

(次ページ、デジタル化に失敗すると10年後には消えている)


 

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