成長のカギはセンサーにあり?
では、電子情報産業の新たなエンジンになりうる「CPS/IoT」とはなにか。
CPSとは、サイバー・フィジカル・システムの略称であり、IoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット)を包含するものだという。
「いまや、ほとんどのものがインターネットにつながる時代になっている。冷蔵庫や洗濯機がネットにつながり、学校の黒板や会社の照明もネットにつながる。また、畑の土壌の状態もセンサーを通じて知ることができる。2020年には、290億のデバイスやセンサーがインターネットにつながることになり、そこから情報が発信される。フィジカルのほとんどのものがインターネットにつながり、得られたデータはサイバー空間に蓄積される。その情報が解析され、最適なソリューションとして、現実の社会に提供され、フィジカル空間がより良いものになる。これが、CPS/IoTの世界である」とする。
水嶋会長はスマートホームと呼ばれる次世代の家を例にあげ、「CPS/IoTが家に実装されると、家が人格を持つようになる」と前置きしながら、「ホームマネジメントシステム(HMS)によって、家のなかのすべてのデータを把握し、それをクラウドに吸い上げて、各機器が結びつき、最適な環境を実現する。家が人格のような振る舞いをして、執事のような役割を果たし、快適な生活を実現することになる」と具体的な例を示してみせた。
「スマートホームでは、家が災害情報を集め、減災したり、不法侵入時の防犯、高齢者の見守りなどを行う『安心、安全』のほか、創エネ、蓄エネ、省エネを実現する『エネルギー』、安心して利用できる空気や水、予防医療を含むヘルスケアなどを実現する『健康・環境』で力を発揮する。犯罪が発生してから、後追いで犯人探しをするのではなく、犯罪を予防したり、犯罪が起こると同時に最適な対応をすることができる。また、ヘルスケアでは、病院や医者による診断だけでなく、サイバー空間に蓄積された情報をもとに、医師がデータをAIで解析し、最適な治療、薬を提案するといったことが可能になる。どこの病院で見ても、あるいは家にいても、クオリティの高い治療が可能になり、地方の医療革新にもつなげることができる」とする。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ