このページの本文へ

Windows情報局ななふぉ出張所 第3回

USB Type-Cや地域ごとの価格差は? Nexus 5Xの見どころを探る

2015年10月06日 16時00分更新

文● 山口健太 編集●KONOSU

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 9月29日(現地時間)、グーグルが発表したNexusシリーズの新機種『Nexus 5X』と『Nexus 6P』。その翌朝には、ドコモの発表会に早くもNexus 5Xの実機が並んだことで、サプライズとなりました。

日本時間で深夜に行われたグーグル発表イベントの翌朝、眠い目をこすりながらドコモの発表会に行くと、そこにはNexus 5Xが。

 ドコモの発表会後、ワイモバイルもNexus 5Xの販売を表明したことで、日本国内ではグーグルの直販、ドコモ、ワイモバイルという3つの選択肢があることになります。今回は、新Nexusシリーズがスマホ業界に与えるインパクトを考えてみたいと思います。

販売地域で大きな価格差が

 グーグルによるNexusシリーズが発表後、最初に気になったのが価格です。たとえばNexus 5Xの16GBは米国で379ドルと発表されたものの、日本のグーグルストアでは5万9300円(税込)となっています。米国と同じく税別で比較しても5万5000円程度と、1ドル=120円の為替レートで換算した価格より1万円程度、割高です。

米国では379ドルのものが、日本では税別で比較しても1万円ほど高い。

 これは日本だけの問題ではありません。たとえば欧州では同じモデルが479ユーロ(約6万4600円)で売られています。付加価値税が約20%含まれていることを考慮すると、実質的には日本と同程度といえます。一方、台湾では12900台湾ドル(約4万8000円)と、日本や欧州より少し安く設定されています。

 このような価格差を設けた理由として、RedditにAMA(Ask Me Anything)を開設したNexusチームは、関税や流通チャネル、コスト構造や為替レートが国ごとに異なることを理由に挙げています。

 筆者としても、もし国内価格が4万円台半ば程度であれば、深夜のテンションで予約してしまい、翌朝には後悔していたかもしれません。しかし約6万円という価格を見て、思いとどまることができました。

 その後、日本ではドコモとソフトバンクも発売することを表明したため、これらの価格と比較検討しながら、購入するかどうか決めたいところです。

ドコモがNexus 5Xを売るメリットとは?

 ところで、ドコモがNexus 5Xを売るメリットはどこにあるのでしょうか。ドコモのスマホといえば、独自アプリやサービスが満載で、初心者でも安心して楽しめるようになっています。防水や電池持ち、おサイフなどの機能も、メーカー間で均質化する傾向にあります。

ドコモのサービスをほとんど搭載していないNexus 5Xを、なぜドコモが売るのか?

 しかしNexus 5Xは、防水やおサイフに非対応なのはもちろん、ドコモのサービスにもほとんど対応していません。他のスマホとは異なる“その他スマートフォン”というカテゴリーが、わざわざ設けられたほどです。

「その他スマートフォン」であるNexus 5Xは、ドコモの独自サービスの大半に対応しないなど、異端の存在だ。

 その背景には、ドコモが先進的なイメージを打ち出そうとしている姿勢が感じられます。ろくにコンテンツも揃っていない“4K”をアピールしたり、冬春モデルのAndroid 6.0への早期アップデートに言及したりした点も、ドコモにしては”攻めている”印象です。

 一方で、ドコモのサービスが載っていないNexusが売れすぎてしまうのは、逆に困ったことになります。ドコモは価格をはっきりと公表していないものの、社内では本体一括価格を9万円台、2年間の月々サポートを考慮した実質価格を4万円台と想定しているようです。実質価格ではグーグルの直販より安いという、なんとも微妙なラインです。

 こうした点を見ていくと、ドコモのNexus 5Xはどうも中途半端な印象が拭えません。最後に残ったワイモバイルが、さらなる思い切った販売施策をぶつけてくれることを期待したいものです。

「便利だけど不便」なUSB Type-Cは普及するか

 Nexus 5XとNexus 6Pの両機種では、充電端子として新たにUSB Type-Cを採用しています。これまでスマホのUSB充電といえば、iPhoneを除き、ほぼマイクロBに統一されてきました。そしてバッテリーやヘッドセットなど、USB充電に対応した多くのデバイスがマイクロBを採用しています。

 これに対してUSB Type-Cは、まだ世の中に浸透していません。Nexusシリーズのターゲット層はリテラシーが高く、それほど混乱は起きないと思われるものの、不便であることに変わりありません。また、これがUSB 3.1ならばデータ転送の速さというメリットがありますが、Nexus 5X/6PのType-CはNokia N1と同じく、USB 2.0にとどまっています。

 今後、他のメーカーがType-C採用に動けば、少しずつ不便さは解消されるでしょう。たとえばソニーモバイルは、Xperia Z5の時点ではキャップレス防水などの技術や、市場への浸透度を考慮して見送ったとしていたものの、次モデルなら可能性はありそうです。

 10月6日に発表会を開催した富士通も、arrowsシリーズへのUSB Type-C採用について「社内で検討しているが、まだ時期ではないと考える。社内やキャリアと調整しながら、導入タイミングを図っていく」と説明しています。

 一方、Nexus 5X/6Pでは無接点充電に非対応になっています。Nexusチームはその理由として、USB Type-Cがリバーシブルで抜き差ししやすいこと、急速充電が可能なこと、本体を薄型化できることを挙げています。

ちなみに最近は『MicFlip』のように、マイクロBでありながらリバーシブルなケーブルも登場している。

 このあたりは、最新のGalaxy Note5でも無接点充電をサポートしたサムスンとは判断が分かれるところ。USB Type-Cと無接点充電は技術的に排他の存在ではないものの、他メーカーの端末デザインに影響を与えそうなメッセージになっています。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン