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iPhone 6s/6s Plusの発売前にネットワークについて理解する

iPhone 6sで使えるドコモ「PREMIUM 4G」は日本最高速なだけじゃない!?

2015年09月18日 16時00分更新

文● 小山安博 編集● ゆうこば

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 ドコモが提供する、複数のキャリアアグリゲーション(CA)を駆使してネットワークの効率化を図り、ユーザーの快適さを実現する「PREMIUM 4G」。これまで、3つのCAでサービスが提供されていたが、4つ目のCAとして、2GHz帯(Band 1)と1.7GHz帯(Band 3)の組み合わせを新たに開始する。この4つ目のCAは対応端末がiPhone 6s/6s Plusのみとなり、iPhoneでもPREMIUM 4Gの快適さが体験できるようになるとしている。

 今回、このPREMIUM 4Gについて、同社のネットワーク部技術企画部門担当部長である平松孝朗氏に話を聞いた。

ドコモのネットワーク部技術企画部門担当部長をつとめる平松孝朗氏

iPhone 6sで利用可能な
2GHz+1.7GHzを束ねる4つ目のCA

 CAは2つの周波数帯域を束ねて、ひとつの電波のようにデータを送受信するための仕組みだ。一般的に、1車線の道路が2車線になるようなものと例えられる。ネットワークの効率運用が可能になるため、各社力を入れているところだが、ドコモはネットワーク側に「高度化C-RAN」と呼ばれる機能を導入し、4つのCAを最適に運用することで、さらなる効率化を図っている。

CAは、2つの周波数を束ねることで、高速化と効率化が図れる

 現在ドコモは、2GHz帯、1.7GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯の4つの周波数帯域でLTEを提供しており、これをそれぞれ組み合わせることで、4つのCAが利用できるようになっている。

 新たに対応した2GHz帯と1.7GHz帯の組み合わせでは、カタログ値としては下り最大262.5Mbpsを実現。国内最高速のスピードとなった。上り速度も最大50Mbpsとなり、普及の進む動画配信に対しても快適な速度を提供できる。

4つの周波数帯から4つの組み合わせのCAを構築する

 平松氏は、「最速値というのは従来からこだわっていて、他社にリードする形でやっていた」と語り、今回の新たな組み合わせで最高速となった点を強調する。

新たな組み合わせのCAは、国内最速となる262.5Mbpsを実現

 これまでは、2015年夏モデルのAndroidスマホで3つのCAに対応していたが、これまでのiPhoneはこの複数のCAを使い分ける「PREMIUM 4G」には対応していなかった。しかし、今回は2GHz帯+1.7GHz帯に加え、1.7GHz帯+800MHz帯、2GHz帯+800MHz帯の3つのCAに対応したことで、PREMIUM 4Gを利用できるようになった。

 平松氏は、1.5GHz帯を含むCAに対応していないのは「基本的には端末が採用するモデムの問題」だが、周波数帯域がほかと近いこともあり、対応には「技術革新が必要ではないか」としている。平松氏自身は明言しなかったが、今後登場するAndroid端末は、すでに1.5GHz帯を含むCAに対応している場合、今回の新しいCAには対応しない可能性が高そうだ。

ドコモ「PREMIUM 4G」の強味は実は速度以外にもあり?
高度化C-RANで1番最適なCAを“ベストセレクト”

 ただ、PREMIUM 4Gの真価は単体の通信速度だけでなく、CAの「ベストセレクト」にある。4つのCAのうち、そのとき、その場所で、混雑具合などを踏まえて、最適なCAを個々の端末に割り当て、最も快適な通信を実現するというのがPREMIUM 4Gの最大のメリットだ。

端末が対応するCAと、その時、その場所での混雑具合などを踏まえて最適なCAを選ぶ「ベストセレクト」がPREMIUM 4Gのポイント

 これを実現する高度化C-RANは、多セルを1つの基地局で制御することができ、最大48セルまでカバーできるという。「従来も、その時点でどの周波数帯域が一番快適に通信できるかセレクトする、という動作はしていたが、CAでもそれを継承している」と語る。たとえ262.5Mbpsの最高速のCAがあったとしても、「無条件に端末に割り当てるのではなく、どの組み合わせで通信のリソースを提供すると快適になるか」を考えて制御しているという。

 新しいCAの組み合わせができたからといって、そこに決め打ちで割り当てるのではなく、その時点、その場所での最適な組み合わせを割り当てることで、より柔軟に運用できるのがメリットなのだ。

 2GHz帯+1.7GHz帯のCAは、現時点では新しいiPhoneのみが対応しているが、優先的に接続するのではなく、あくまで一番快適に通信できるように制御した結果として、2GHz帯/1.7GHz帯に繋がる、という考え方だ。

CAで効率的に通信を行なうことで
その対応端末以外にもメリットが生じる

 また、iPhone 6s/6s Plusユーザーが2GHz帯+1.7GHz帯のCAに接続すれば、別の組み合わせのCAに余裕ができるため、Androidユーザーにとってもメリットになる。Androidが2GHz帯/1.7GHz帯に対応しないとはいえ、iPhone 6s/6s Plusのデータが新しいCAに流れることで、今まで混雑していた場所でも改善される可能性がある。

 今までPREMIUM 4Gに対応しなかったiPhone 6/6 Plusよりも、iPhone 6s/6s Plusの方が柔軟に帯域の割り当てができるため、極端に言えば、すべてのiPhone 6/6 Plusが新モデルに置き換わればさらにリソースの余裕が出る、ということになる。ドコモが新iPhoneへの機種変更を推進するのには、こうした背景もありそうだ。

 PREMIUM 4Gでは、当初3種類の組み合わせで開始され、今回の2GHz帯/1.7GHz帯のCAを行うことは発表されていなかった。しかし、高度化C-RANでCAを制御する装置を研究開発する中で、既存の周波数帯の組み合わせに関して「基本的なロジックは想定していた」とのこと。2GHz帯+1.7GHz帯も想定されており、今回iPhone 6s/6s Plusという対応製品が登場したため、簡単な設定変更で対応が可能だったという。

 この研究開発の部分もドコモの強みだ。「研究開発(R&D)と一緒になって高速化戦略を推し進めている」と平松氏。ドコモの研究開発では、標準化を担当するチームもあり、グローバルのトレンドとドコモのリソースを踏まえた標準化の検討も行なっている。チップベンダーとも規格策定の作業を進めるなど、技術トレンドも踏まえた開発を行っているため、今回のCAや高度化C-RAN、そして9月15日に発表した(関連記事)、3つの周波数帯を束ねる3CC(3つの周波数帯を束ねるCA)といった新技術でもリードしていけると話す。


(次ページでは、「「ボトムの速度」の改善が全体の快適度につながる」)

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