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東京ゲームショウ2015レポート ― 第4回

「YouTube Gaming」日本語版の発表も

ゲームにおける動画配信プラットフォームの可能性とは――TGS2015基調講演

2015年09月17日 17時00分更新

文● 松野/ASCII.jp

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TGS2015、初日の基調講演の様子をレポート

 千葉県・幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2015」。この記事では、基調講演第2部「ゲームマーケティング新時代 ~動画配信プラットフォーム活用の新しい可能性~」の様子をレポートする。

プレイヤーをどのように「ファン」として取り込んでいくか

TwitchのVictor Denchartphan氏は、ゲーム実況動画がユーザーの購入動機にもなることをアピール

 「TwitchとAmazonが切り開くゲーム実況とアプリビジネス拡大の新しい戦略」セッションでは、Twitch ディレクターのVictor Denchartphan氏、アマゾンジャパン アプリ事業部ディレクターのジョナサン・ナガオ氏が登壇。1日あたり1億のユニークユーザー数を誇る、世界最大のゲーム生放送プラットフォームであるTwitchのVictor氏は、「かつてのユーザーは雑誌のような媒体やトレイラーを見てゲームの購入を決めていたが、今はゲームの実況動画でプレイを直接見たり、プラットフォーム上で様々なやりとりをしたりして購入を決める」ことを指摘し、動画配信プラットフォームがビジネスにも影響力があることをアピールした。

アマゾンジャパン アプリ事業部ディレクターのジョナサン・ナガオ氏

 ジョナサン・ナガオ氏は、デベロッパーが普通のプレイヤーを「ファン」として取り込んでいく重要性に言及。「例えば、米国でバスケットボールはかなりのファンベースを持っており、これによってチケットだけでなく、ユニフォームやTシャツ、フェイスペイントなどの収益を上げている。重要なのは、いかに人を巻きこんでいくか」とコメント。Twitchでは1ユーザーあたりの1日の視聴時間が106分にのぼるというデータを挙げ、「デベロッパーにとってはこれがファンベースを作り、拡大していくユニークなチャンスになる」とした。

影響力を持つ動画クリエイターにより、ファンベースの拡大を目指すことが重要

 加えて、ジョナサン氏、ファンベースの構築に重要な要素として、「Infullencer(影響力の高い人)」の存在を挙げる。「Twitch上でブロードキャストを行なうユーザーの中には、160万を超えるフォロワーを持つ人もいる。デベロッパーは、一度に何万人もの人にリーチできるような影響力のある人を狙っていかなければならない」。

 また、単にゲームをプレイするだけでなく、ゲーム配信やプラットフォーム上でのやりとりなどを行なうユーザーは、そのような行動を取らないユーザーに比べ約4倍長い期間ゲームをプレイし続けるというデータを紹介。こうしたインターアクションを奨励し、多くのファンの獲得に成功した例として、「League of Legends」を挙げた。「たとえばファンアートのコンテストを開催したり、ゲーム外でもゲームとブランドへの関与を高めていく方法もある。フォロワーと交流し、フィードバックを得ながらゲームを作ることもできる。とにかく情熱を持ってもらう」と、ゲーム内外でプレイヤーにリーチしていく重要性を強調した。

「完璧ではない、補完できるコンテンツ」がゲーム実況動画の魅力

ニコニコ動画でもゲーム実況は非常に人気となっており、動画の再生数は全体の34%にのぼる

 「リアルとネットが融合したゲームプラットフォーム戦略」セッションでは、ドワンゴ 取締役CCO ニコニコ超会議/闘会議統括プロデューサーの横澤大輔氏が登壇。

 横澤氏はまず、ニコニコ動画のマーケット構造について解説した。会員登録者は5000万人と大きいが、実際はサブカルチャーのニッチマーケットの集合体であると分析。ニッチマーケットが増え、拡大することで成長を遂げるため、それぞれのマーケットの特性を理解し、それにあった施策を行なうことが重要であると語った。ゲーム実況カテゴリーはそれらマーケットの中で特に大きなものになっており、再生数は動画全体の34%にのぼる状況だという。ユーザー層で特徴的な点としては、ニコニコ動画全体に比べて女性比率が高いこと、ヘビーユーザー層が多いことを挙げた。

任天堂の「スプラトゥーン」は、発売から数ヵ月で実況動画の投稿が2万6000オーバー、総再生数は70億オーバーに

 ゲーム実況のようなUGC(ユーザー参加型コンテンツ)で成功した動画の特徴としては、「完璧なものを作らず、不完全でユーザーが作品を補完できることが1点。もう1点は、コミュニケーションのツールとして、ゲームをプレイしていない人の反応や意見を引き出してあげるようなコンテンツを作ること」と指摘。ビジネスへの活用に関しても「商業的に完成されたパッケージだけでもマーケティング効果は高いかもしれないが、UGCを使った横方向への展開でさらに効果は高まる。近年はこうしたことを考慮し、プロモーションプランを設計する必要があるのではないか」と語った。ニコニコ動画でのUGCを活用したプロモーションの成功例としては、「スプラトゥーン」を挙げ、「リアルとネットの連動でプロモーション活動を進め、大きなヒットにつながった」とした。

KADOKAWAとの統合により、今後はネットとリアルの連動が加速

 プラットフォームに関しては、「KADOKAWAとの経営統合により、ニコニコ動画やリアルイベントの活用だけでなく、『ファミ通』や『電撃Playstation』といった雑誌媒体など、ゲームメディアのあらゆる面を活用できるようになった。リアル、ネットを超えた全方位からの情報や体験を提供するプラットフォームを提供していきたい」と今後の展望を語った。

ゲーム実況に注力するYouTube

米YouTube Global Head of Content for GamingのRyan Wyatt氏

 「YouTubeと動画クリエイターが創り出す新しいゲーム体験とコミュニティ」セッションでは、米YouTube Global Head of Content for GamingのRyan Wyatt氏が登壇。YouTubeのゲーム動画コンテンツについて、「数億人規模のゲーマーが、数十億時間もゲームコンテンツを視聴しており、その勢いは年々増している。こうした傾向を牽引しているのは何百万人のゲーム動画クリエイター。クリエイター達は世界中のどこからでもゲーム動画を投稿でき、報酬を得たり、生計を立てたりしている」とした。

YouTubeの動画コンテンツの総視聴者数、総再生数は膨大な数に

 Ryan氏は、日本で有名な動画クリエイターとしてヒカキンやマックスむらいを挙げ、動画内で紹介したゲームが動画投稿後のアプリ購入ランキングで1位になるなど、その影響力の大きさを指摘。「ゲーム動画配信の流行により、ビデオゲーム業界はここ10年で大きく変わってきた。我々はゲームおよびゲームコミュニティーのために何かをしなければならないと痛感している」と語った。

「YouTube Gaming」の日本語版が近く配信されることを発表した

 ゲームに関するYouTubeの取り組みとしては、フルHD/60pの実況機能を追加するなど、さまざまな機能改善を図っているほか、PS4のシェア機能から簡単にYoutubeへ実況動画を投稿できることなどを挙げた。さらに、Android端末からライブ実況やYouTubeへの投稿が可能となる、ゲーム実況動画に特化したアプリ「YouTube Gaming」の日本語版が近く配信されることを明らかにした。英語圏以外での提供は初めてとなる。

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