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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第82回

早く使いたいApple TV、しかし4Kサポートという次のアップデートも見えている

2015年09月16日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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テレビの自由度が一気に高まる、Apple TV

 さて、やっと今回の本題、Apple TVについてです。

 今回刷新されたセットトップボックスは、iOS由来のtvOSを搭載し、iPhoneやiPadとその基本的なメカニズムを共通化しています。SiriやSpotlightによるサービス横断型でのコンテンツ検索は、テレビとしては非常に新しく感じますが、iPhoneでもすでに実現している機能です。そして当然のように、iPhoneアプリ開発のノウハウを生かしてtvOSアプリを開発することができます。

 個人的には、ニコニコ動画アプリがやっとApple TVにもたらされることになりそうな点に、大きなインパクトがあるのではと考えています。そして、ベストニコ動マシンにもなるはずです。これまでもテレビなどにニコニコ動画アプリはありましたが、メニュー構成や再生の不安定さなどの課題があったように感じられます。

 ニコ動に限らず、テレビ向けにアプリを提供してきた企業は、スマートフォンやタブレットにまともに動くアプリをしっかりと作り込むことができ、Siriを使って声でコンテンツを提供する事ができるようになるはずです。

 付属してくるBluetooth 4.0接続のリモコン「Siri Remote」は、ガラスのパッドとSiriボタンを搭載し、快適な操作ができる仕組みになっています。加えてモーションセンサーが搭載されており、Wiiリモコンのように振ってゲームをプレーすることもできます。

Apple TVのSiri Remoteは横に構えて、タッチパッドの部分を十字キーに見立てて、ゲームリモコンとして利用できる。また、底面にある充電用Lightningコネクタにストラップを装着して腕に固定する方法も、Wiiリモコンとそっくり

 ちなみに現状、Siri RemoteはApple TVに対して1台しかペアリングすることはできません。しかしiOSに対応するゲームパッドなどをBluetoothで接続することができ、ワイヤレスヘッドフォンもつながります。例えば、イヤホンを装着し、使いやすいゲームパッドでプレーすることも可能です。

筆者は発売され次第、買いたいのだが……
次の段階で4Kサポートが来るはず

 さて、筆者は、2011年に米国に来たときにApple TVを購入し、現在もなお使っています。しかし最近、Netflixなどの動画サービスを再生中にクラッシュし、勝手に再起動をすることが頻繁あります。デバイスとしては寿命ではないはずですが、映画やドラマを見ていて、良いところで切れてしまうのはとても快適とはいえません。

 そのため、新しいApple TVは待望でしたし、おそらくすぐに購入して使い始めることになるはずです。

 ただし、個人的に予測してきた4Kサポートは、残念ながら採用されませんでした。米国で見ても、確かに4Kテレビはまだまだ普及が始まった段階で、急いで4Kをサポートしなくてもよい、というアイディアも理解できます。テレビ放送では4Kを楽しめませんし、ネットのストリーミングでは回線速度がネックになります。“今じゃない”のは間違いありません。

 一方で、iPhone 6sやiPad Proが採用しているA9プロセッサは、4Kビデオの録画、再生、編集を楽々こなす性能を備えています。つまりAppleの製品ラインアップとして、4Kをサポートすることはすでに可能なのです。そのうち、4KをサポートするApple TVが登場することは明白、見えている未来ということになります。

 前述の4Kストリーミングに対するネット回線やディスプレイなどの環境面でまだ追いついていない点に加えて、「4Kだからこその価値」を何か用意してくることも考えられ、その準備を行っているのではないか、とも推測できます。

4Kの価値付けとは

 AppleがリリースしたiPhone 6sシリーズは4K動画の撮影をサポートしますが、ディスプレイは4Kに対応していません。しかしそれでも4Kで動画を撮影することのメリットを作り出すため、4K動画をiPhoneで再生中に、自由に拡大を行い、さらに拡大行きを自由に移動できる仕組みを備えました。まるで写真を拡大して詳しく見るように、4K動画を拡大できるのです。

 ビデオを拡大しても、最大でもフルHDサイズまでとなっているiPhone 6s Plusのディスプレイですら鮮明そのもの。ズームしてもディテールがつぶれない動画、というのは非常に新鮮な体験でした。4Kの再生環境がない状態でも4Kビデオの美しさを体験するには充分でした。

 こうした価値付けには、Appleの巧さが光ります。Apple TVでの4K体験に対して、Appleがどのような答えを出すのか、楽しみに待つことにしましょう。と言いたいところですが、調子の悪い手持ちのApple TVは早く買い換えるべきなので、やはり10月末の新型を購入することになると思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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