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仮想化の最先端を追う!VMworld 2015レポート ― 第4回

老舗となったエンタープライズベンダーはクラウド時代にどう生き残るのか?

チャレンジャーだからこそ面白い!VMworld初参加の理由

2015年09月02日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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すでに記事も挙げているが、今年はサンフランシスコの「VMworld 2015」に初めて参加している。IT媒体であれば、ほぼ確実に抑えている仮想化のイベントになぜ今まで参加せず、なぜ今年参加したかを書いてみたい。

勝者のイベントは面白くない?

 VMworldは今年で12回を数える仮想化の一大イベント。仮想化技術のトップベンダーであるヴイエムウェアが新戦略や製品を次々に発表し、エコシステムに参加するパートナーのビジネスにも大きく関わる。簡単に言えば、IT業界の中で「マスト」のイベントと言ってよいだろう。実は毎年のようにお誘いを受けていたのだが、過去に参加したことは一度もなかった。正直、みんなが行く“勝者”のイベントに言っても、あまり面白くなかろうという考え方が根本にあったのだ。

 オオタニがネットワーク雑誌からWeb媒体に移ってきた今から5年前。仮想化技術は業界の大きなトレンドであった。当時からヴイエムウェアはその中でも業界のリーダーであり、圧倒的なシェアを誇っていた。IT媒体の中でも仮想化に詳しい記者は多く、正直後発の立場でこれから勉強しても、なかなかレベルの高い記事を書くのは難しいかもという弱気もあった。

 その後、同社がデスクトップ仮想化やモバイル分野に手を出し始め、インフラ分野を立ち位置にしていたオオタニとしては、ますます遠ざかった感があった。なにより、仮想化分野での同社の横綱相撲を見ていれば、「別にうちが行かなくとも……」という感想があったのだ。

クラウドやOSS、コンテナなどの台頭で変わるインフラ

 しかし、時代は変わり、IT業界のフォーカスは仮想化からクラウドに一気にシフトした。OpenStackをはじめとするOSSが台頭し、エンタープライズ領域でも利用が検討されるようになってきた。さらにアプリケーションのデプロイを可能にするコンテナ技術に注目が集まり、そもそものマシンやOSという既存のアプリケーション実行単位の存在意義が問われるようになってきた。こうした業界動向の中、ヴイエムウェアは明らかにチャレンジャーの立場になったのだ。

 「さあ、面白くなってきた」というのが、あまのじゃくなオオタニの率直な感想である。昨年からヴイエムウェアはvCloud Airの日本投入を開始し、コンテナやOpenStackなどにも対応してきた。最後発ながらvCloud Airをヴイエムウェア自体が立ち上げてきたことで、今まで絵に描いた餅だったハイブリッドクラウドがにわかに現実味を帯びてきたのである。さらに今年の頭からは軽量なOSである「Photon OS」やコンテナ対応のディレクトリサービスである「Lightwave」など複数のOSSプロジェクトを立ち上げ、クラウドネイティブアプリケーションを強力に意識してきている。こうした同社の新たな取り組みに惹かれたのが、今回VMworld 2015に参加した大きな理由だ。

 クラウド界隈の人たちにとって、vCloud Airのようなエンタープライズベンダーのクラウドは、あまりなじみがないだろう。実際、始まったばかりのクラウドサービスだけに、グローバルでの実績も決して多くないようだ。しかし、同社のこれまでの知名度や実績を考えると、エンタープライズにとって選びやすいチョイスになりえるのも事実だ。特にハイブリッドクラウドという点を考えると、NSXのような洗練されたネットワーク仮想化技術を持っている同社のアドバンテージは大きい。「絵に描いたハイブリッドクラウド」がリアルな存在になるのではないかと期待してしまうのだ。

 なによりわれわれが日々接している日本法人の人たちを含めた同社の陣容やグローバルでの開発力、そして長らく培ってきたエコシステムを考えると、クラウド市場でも無視できない存在になるのではと思う。今回のVMworld 2015の発表や同社の取り組みが、この後どのように日本のビジネスで芽を出すのか、興味は尽きない。

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