このページの本文へ

自宅サーバーのクラウド移行や開発現場の500円クラウド活用が披露

初開催「IDCFクラウド Meetup Vol.1」でユーザーが濃く語る

2015年08月28日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

8月24日、東京六本木にあるジープラの会議室においてIDCFクラウド(IDCFフロンティア)のユーザーミーティング「IDCFクラウド Meetup Vol.1」が開催された。自宅サーバーのクラウド移行や開発者による500円のクラウド活用術など、濃い使いこなしが次々と披露された。

自宅サーバーをIDCFクラウドに移行したら?

 今回、初めて開催される「IDCFクラウド Meetup Vol.1」は、国産クラウド「IDCFクラウド」のユーザーミーティング。IDCFクラウドのユーザーがサービスのトピックスや事例を紹介し、課題やノウハウを共有した。

 前半は、テコラスの川島健氏、グローアップソリューションズの木下忠氏、ドロップシステムの大井航平氏などIDCFクラウドユーザーによる新トピックのLT。ここでは自宅サーバーのクラウド移行とMackerelの活用について語った木下氏のLTを紹介していきたい。

グローアップソリューションズの木下忠氏

 普段は中小企業の情報システムの手伝いをしている木下氏は、自宅にタワー型サーバーを設置しており、「ownCloud」で写真共有しているという。しかし、サーバーの熱のため玄関も暑く、年間の電気代も1万5000円ほどかかる計算になった。また、個人向けインターネット接続でグローバルアドレスも可変なので、DDNSで変なドメイン名になっていたという。

 こうしたことから木下氏はownCloudのバージョンアップを機に、サーバーを月額500円からのIDCFクラウドに移設することを計画。あわせて新サービスの「DNS」で、ドメインの運用も行なってみることにした。これで電気代が下がり、部屋が涼しくなれば御の字というわけだ。

自宅サーバーのIDCFクラウドへの移行計画

 移行は導入作業は30分で完了したので、IDCFクラウドで利用できる管理ツール「Mackerel」(はてな)まで使ってみた。「Slackにグラフ出力できるので、スマホにアプリ入れておけば、何かあってもすべてスマホに飛んできて便利」と木下氏は語る。

 ただ、IDCFクラウドへの移行は成功したものの、部屋の温度は下がらなかったという。「本当に必要なのは、エアコンのスケールアウトか、スケールアップだった(笑)」とオチで木下氏はLTを締めた。

本当はエアコンのスケールアウトか、スケールアップが必要だった

500円クラウドなら開発者ごとにVMを渡せる

 後半は、ラクスルの山下雄太氏、トレストレースの小野正人氏、テンダの迎眞人氏によるIDCFクラウドの事例紹介が披露された。ここではラクスルでのユーザー事例を紹介する。

ラクスルCTO 山下雄太氏

 名刺やチラシ、封筒、冊子など幅広く手がけるネット印刷のラクスルは2009年創業のスタートアップ。「仕組みを変えれば、世界が変わる」をビジョンに、中小の印刷会社の空き時間を活用することで、圧倒的な低価格で印刷を実現している。もちろん、こうした他の業者やシステムとの連携ではITを駆使。「Googleマップを使ったポスティングとか、クラウドソーシングを使ったA/Bテストなど、複数のシステムを組み合わせることで、お客様に新しい価値提供ができると考えている」とCTOの山下氏は語る。

 ラクスルでは本番環境でIDCFクラウドを導入している。Webサーバー3台、データベースサーバー2台をIDCFクラウドで動作させているほか、オブジェクトストレージも活用している。「印刷データなのでデータが大きい。デジタル一眼で撮った写真がアーカイブされた3GBのファイルとかがアップされてくる。これでは1週間に1回HDDを増設しないと間に合わない」(山下氏)ということで、オブジェクトストレージを導入。現状では13TB程度使っており、ユーザーが印刷データをワンボタンで取り出せるようになっているという。

ラクスルのIDCFクラウドの活用

 ラクスルは開発環境でもIDCFクラウドを活用している。「本番環境に近いところで開発したいというのが1つ。あと、商品数が100万におよぶので、データベースのインサートをイチからやっているとシステム再構成に時間がかかる」というのがIDCFクラウドを導入した理由。低価格なので、開発エンジニアの人員分だけ本番と同等の環境を用意できたという。「以前に比べてエンジニアが増えたので、個人個人にVMあげた方が楽だよねという話になった。そのときにちょうど500円クラウドが出てきた」と山下氏は振り返る。

開発エンジニア分だけ本番と近い環境をVM単位で提供

 ユーザー事例のあとは、構造計画研究所の中井勘介氏がIDCフロンティアとのコラボレーションで、1ヶ月2万5000通まで無料でメール配信できるSendGirdの特別プランについて説明。また、IDCFフロンティアの山下秀登氏はIDCFクラウドの歴史を披露すると共に、ユーザーの声でさまざまなアップデートが今後施される点をアピールした。テクニカルな内容がメインだったIDCFクラウド Meetupだが、次回はIDCFクラウド誕生から1周年となる10月に開催する予定となっている。

■関連サイト

カテゴリートップへ