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金融業界にある法規制、ベンチャーからハードルは高い

マネーフォワードの目指すFintech Open Bank APIとは

2015年08月27日 19時59分更新

文● ガチ鈴木/大江戸スタートアップ

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 個人向けの自動家計簿アプリや、中小企業向けクラウドサービス『MF クラウド』を運営するマネーフォワードは、住信SBIネット銀行、静岡銀行との業務提携を果たした。合わせてSBIホールディングス、静岡銀行及びジャフコから総額10億円の資金調達を実施予定と2015年8月25日に発表した。

 業務提携により、マネーフォワードは個人向け家計簿サービスを『マネーフォワード for××(銀行名など)』のカスタムバージョンのアプリを提供、またMF クラウドを利用した金融サービスの共同開発も検討する。大手によるベンチャーとの協業はついに金融の分野でも本格化してきた。

SBIホールディングス北尾吉孝代表取締役(左)、マネーフォワード辻庸介代表取締役社長CEO(中央)、住信SBIネット銀行円山法昭代表取締役社長兼マーケティング本部長。

 マネーフォワードは金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語“Fintech”領域のベンチャー企業だ。2015年に入り、Fintechという言葉自体を耳にすることが多くなったのではないだろうか。この日の発表会では、提携の発表共に今後の事業戦略についても話された。

マネーフォワードの掲げるOpen Bank API構想

 法人向けの『MFクラウドマイナンバー』、『MFクラウド経費』と中小企業のバックオフィスを手助けする新サービスともに、辻社長が力強く語ったのは“Open Bank API”構想だ。銀行が自社システムのAPIを公開する。銀行が保有している顧客の資産残高情報や入出金情報を表示するだけじゃなく、銀行と顧客の同意のもとに銀行外のサービスで利用できるよう、進めていきたいとしている。セキュリティーを担保しながら、ユーザーに新しい金融サービスを届けたいというものだ。

 もちろん国内の現状で、銀行システムのAPIを公開している企業はなく、海外でも例がほとんどない。フランスのCredit AgricoleがAPIを公開し、銀行口座の入出金・残高照会、送金指示を外部のアプリが行なえるアプリストアを開設し、開発者用SDK(開発キット)を提供している先進的な例もあり、また英国財務相は銀行のAPI活用促進を優先的なアジェンダとして掲げている。

 API利用の目的はもちろんサービスの拡充。個人向けサービスのマネーフォワードは複数の金融機関の情報を一覧表示でき、自分の資産状況を確認できるサービス。となれば、単に情報を表示するだけでなく、入金、送金などもできれば便利と思ってしまうところだ。ただ銀行間の送金などについては、たとえ多くの銀行システムのAPIが解放されようが、現状の法規制のもとでは難しいという。「法律に遵守した形で、決済も全部できたら良い。テクノロジーの進化による法規制の変更は必要と考えているので、金融庁と話はしている。究極的にはワンクリックで決済できるように、金融もなってくれば良い。法規制を整理しているところ」と、辻社長も話す。

 今後は規制緩和への働きかけも必要になってくる。マネーフォワード自体もFintech(フィンテック)研究所を開設したのは、勉強会などをとおしてFintechという言葉の定着をはかるとともに、ロビー活動の強化も視野に入れているのだろう。地銀との提携で数ある国内のFintech企業の中で、信用という“武器”をいち早く手に入れたマネーフォワードの今後の動きには注目したい。

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