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ウェアラブルの課題はバッテリー、UI、データの活用だ

2015年07月25日 15時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 スマートウォッチが少しずつ広がりを見せ、ウェアラブル時代が幕を開けつつあるようだ。Huaweiが6月、ドイツ・ミュンヘンで開催した「Huawei Innovation Day 2015」では、ウェアラブル分野のアナリストと専門家、それにHuaweiとJawboneのメーカー2社がウェアラブル市場の課題や今後の展望をテーマにパネルディスカッションを行なった。

左からWearable TechnologiesのChristian Stammel氏、HuaweiのYang Yong氏、GartnerのAnnette Zimmermann氏、JawboneのJorgen Nordin氏

UIとバッテリーが課題で
多くのユーザーはしばらく使った後に止めている

 パネルに登場したのは、Gartnerのリサーチディレクター、Annette Zimmermann氏、Wearable Technolgiesの創業者兼CEO、Christian Stammel氏、Jawboneのインターナショナルプロダクトマネジメントトップ、Jorgen Nordin氏、Huaweiのバイスプレジデントでモバイルブロードバンド・ホームプロダクトライン担当プロダクトマネジメントを務めるYang Yong氏だ。

 まずはGarnterのZimmermann氏がウェアラブル市場の予想を披露し、「2015年の予想は2億万台。2020年には5億万台を超えると見ている」と語った。Gartnerではヘッドマウント型、スマートウォッチ、スマートファブリックなど広範なものをウェアラブルと定義している。「スマートフォンと比較すると大きな市場というわけではない。だが、チャンスは大きい」とする。

 ウェアラブル市場を10年近く見てきたWearable Technologies(WT)のStammel氏は、ウェアラブル端末のスタートにおいてスマートウォッチは重要な役割を果たすとする。「スマートウォッチはウェアラブルで初めてマスボリュームになるカテゴリー」と予想した。一方で、「Google Glass」は仕切り直しとなったが、スマートグラスも「すでに産業用アプリが市場に登場している。大きく取り上げられることはないが、それなりの市場になってきた」と報告した。

 一方で、辛口なコメントをしたのはJawboneのNordin氏だ。「多くの人がしばらく使ってみた後で止めている」とウェアラブル端末の厳しい現実を指摘した。Nordin氏はその理由にインターフェースをあげる。「端末とインタラクションするインターフェースは大きな課題」と見る。このほか、バッテリーも課題に上がった。スマートウォッチの充電を根本から見直す必要があるとするStemmel氏は「12〜15時間では不十分」とし、これが普及にも影響を与えていると分析した。

ウェアラブルの普及には生活とのリンクが不可欠
そのためには位置情報がカギとなる

 スマートウォッチでは、Appleの「Apple Watch」が火付け役となっている。Huaweiはこのカテゴリで、2月末のMWCで「Huawei Watch」を発表しており間もなく発売を開始するが、どのようにポジショニングするのか。

 Yong氏は、「エモーション」をキーワードに、「人、デバイス、クラウドとの接続によるインテリジェンス」を差別化に挙げた。「デザインでは多くの人から(Huawei Watchのデザインは)スマートウォッチでは最高と賞賛されている。このようにデザイン、ユーザーインターフェイス、アプリとサービスで我々は素晴らしい能力を持つ」とYong氏は自信を見せた。

 スマートフォンを先行事例とすれば、ウェアラブルの成功にもエコシステムの構築が不可欠だ。JawboneのNordin氏が、ウェアラブルがユーザーに価値を提供できる例に挙げたのがスマートホームだ。サーモスタットや空調と連携するにあたって、「デバイスがユーザーを知る必要がある」とする。

 「帰宅した、汗をかいているなどの情報から室内の温度を調節し、リビングに行くと音楽が再生されるなどのことが可能になれば、価値を提供できる」とした。GartnerのZimmermann氏も同意し、ウェアラブルが他の機器とやりとりする上でカギを握る機能として「位置情報」を挙げた。「家に入ると快適な温度になっているためには、家からの距離を把握しておく必要がある。Googleは自社マップデータをどのように活用するかを探っており、位置情報はウェアラブルが他の機器と連携するにあたって非常に重要になる」とした。

 WTのStammel氏は、これが完成するためには「データがクラウドに移行する必要がある」と付け加えた。JawboneのNordin氏は、データを活用するためのダッシュボードについて進化する必要があるとした。「歩数、上った階段などユーザーはちゃんとチェックしている。これらの情報をどう端末上で表示するか。現在はデータを表示するのみで、何を意味するのか、その上で行動を起こすための”次”がない」と語る。

 そこでJawboneはデータサイエンティストを中心としたチームを持ち、データを理解してエンドユーザーに意味のある洞察を提供すべく取り組んでいるという。「ユーザーが自分専用として役立てることができなければ、(ウェアラブル)デバイスは使えない。データの相関性を探り、その人に何を意味するのかを提供する”スマートコーチ”を開拓している」。

 HuaweiのYong氏も、医師が患者が装着するウェアラブルデータにアクセスすることで、ケアがさらに充実するとしながら、規制が障害になっていると示唆した。

 ウェアラブルメーカーのJawboneは、「UP Platform」としていち早くエコシステム戦略を進めてきた。同社のリストバンドユーザー向けのフィットネスや健康がテーマのアプリが中心となる。Nordin氏は、「ユーザー体験の最適化にエコシステムは重要」として、センサー、インタラクションのためのアプリケーション、ビックデータ、アプリの4つのレベルでユーザー体験の最適化に取り組んでいるとした。「1社でさまざまなユーザーを満足させるアプリをすべて開発できない」とNordin氏。HuaweiはJawboneのUP Platformに参加しており、TalkBandなどでUPのエコシステムを利用できる。


(次ページでは、「当面はスマホの追加端末としての位置づけ」)

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