このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

本音満載でさすがに匿名!8/5開催「ITACHIBA第4回」プレ座談会

制度はあるのにIT女子の働きにくさはなぜなくならない?

2015年07月22日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

8月5日に開催されるIT業界内交流会「ITACHIBA」の第4回目のイベントでは、IT業界の女性の働き方が大きなテーマとなる。イベントを前にASCII.jpでは30・40代のIT女子を集め、自身の働き方に関して赤裸々に語ってもらった。

8月5日に開催予定のITACHIBA第4回目が延期になりました。詳細はITACHIBAのページをご覧ください。(2015年7月31日)

キャリアは捨てないといけないと思っています

――まずはみなさんの就業経験と現状について教えてください。

在宅ワーク女子:私は10年間OLで、今は独立してホームページ制作などを在宅でやっています。子供は3人おり、自宅ですべて完結する仕事をしています。もといた会社もワークライフバランスには積極的に取り組んでおり、制度面では充実しているのですが、女性の上司に理解がなかったり、仕事が回らないという事情があり、なかなか利用しきれていませんでした。

スタートアップ女子:私は主人といっしょにスタートアップ企業をやっています。主人と私は別のIT企業の同僚だったのですが、毎日終電で土日出勤もあり、この会社では長くやっていけないだろうなとは思っていました。退職後に結婚し、子供もできたのですが、なかなか仕事には復帰できませんでした。

――子育てに専念したということですね。

スタートアップ女子:はい。正直、子育てがこんなに大変だと思わなかった。だから、10年は専業主婦です。その間、主人が前の会社を辞め、起業することになったので、ブランクの空いてしまった私をエンジニアとして雇ってもらっています。これからは、私のような境遇を持ったスキルのある女性をどんどん雇ってもらおうと思っています。

大手SIer女子:私は16年くらい大手SIerでエンジニアをやっています。証券システムを担当し、SEやプロマネをしながら、子供3人を育ててきました。その間、3回産休をとり、3回育休をとってきたのですが、戻るタイミングでやれる仕事をやるという感じが多かった。以前は、夜中勤務も多く、締め切り間際のときはウィークリーマンション借りて会社の近くに住むみたいな感じで、何回か体を壊しました。今でこそ、時短という働き方を選び、子育てを優先するという目標が決まってますが、そこに至るまでは本当に苦しかったし、キャリアは捨てなければならないと思っています。

大手情シス女子:私は大手メーカーで情シスのインフラエンジニアとして働いています。未婚なんですが、ITよりは、もともと人の研究がしたかったので、今の仕事とは関係なく、キャリアカウンセラーの資格を取得しています。キャリアについて社内の女性といっしょに悩んでいる立場です。

「お互い様」の精神がなくなっている日本を感じる

――女性の場合、やはりキャリアか、子育てか選択することになるのでしょうか?

大手SIer女子:結婚当時は、仕事も家事も一生懸命やろうと意気込んでいました。でも、両立が難しくて精神的に厳しくなった時期があり、そのときに上司に相談しました。その上司も病んでいたので(笑)、気持ちをすごくわかってくれ、「人生の中で一番大事なモノはなにかを考えてごらん。ハシゴを昇ってからだと遅いんだよ」というアドバイスをもらいました。それで「人生を考えながら働かなきゃダメなんだな」と気持ちが楽になって、子供を産みたい、子供をきちんと育てたいという目的が固まりました。

――実際には時短のような制度を活用したんですか?

大手SIer女子:1人目のときは裁量労働制で、まわりの人に手伝ってもらったので、なんとかなったんですけど、2人目のときはさすがに厳しく、時短に変えました。遅くまでやっている人たちが多かったので心苦しかったんですが、権利をきちんと行使しないと帰れる環境ができないので。一時期、時短やめたこともあるんですけど、続いたのは1ヶ月でしたね。時短の時も本当に座る時間すらないくらい忙しかったですが、時短をやめるとさらにそれを超えるんです。しかも時短になると、うちは年間で収入が4割減になります。

――産休・育休・時短などいろいろな制度はありますが、現場ではなかなか厳しいんですね。

スタートアップ女子:周りを見回してみると、すごいキャリアを持っているのにもかかわらず、子供ができたから、仕事辞めなきゃいけないという女性ってやはり多い。なぜなんだろうと考えたら、時間や場所に制約があったり、子供を優先させるがために、周りの白い目の中で働けないという事情があるんです。みんなで1人をカバーできるような「お互い様」という精神がなくなっている日本を感じますね。もちろん、どちらかあきらめればいいじゃんという意見もあると思うのですが、私たちは子育ても、仕事も両方やりたい。わがままなんです(笑)。

大手SIer女子:正直、キャリア捨てないで、子育てを選ぶのは無理だと思うんです。制度はいいこと言ってますけど、どっちかを選ぶと、どっちかはつぶれるんですよね。キャリアを選んだ人は、20時までの保育になるので、子供との時間はなくなります。寝る時だけいっしょであればいいという女性だけ選べる道なんです。でも、うちみたいに3人子供がいたら、毎日のようになにかが起きるんです。学校の先生から電話かかってくることもあるし、ケガや病気もあります。今はそっちの対応をきちんとやりたいし、土日はめいっぱい子供と遊ぶ。で、平日は9時~4時の時短で仕事をすると割り切っています。あきらめと自分の喜びをどこに作るか考えながら、日々歩んでいる感じです。

(次ページ、時短で帰るママに対して周りもどう接していいかわからない)


 

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ