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年平均で2~3倍の事業成長を目指し、パートナー施策を大幅増強へ

日本MSのクラウド事業拡大戦略、鍵を握る「パートナー施策」

2015年07月17日 14時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米国時間7月13日から、米マイクロソフト(MS)はフロリダ州オーランドでパートナーイベント「Worldwide Partner Conference(WPC) 2015」を開催している。会場で取材に応じた日本マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏は、日本市場におけるクラウドビジネスを「年平均2~3倍のペースで成長させる」と語った。鍵を握るのは「パートナービジネス」だ。

日本マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏

早期にクラウドビジネスへと移行したパートナーは高い成長

 7月から新事業年度を迎えた日本マイクロソフト。2017年度(2016年7月~2017年6月)には、国内エンタープライズ市場における売上高の半分をクラウド関連ビジネスとする方針を掲げている。

 高橋氏は、6月末に終了した2015年度について、Windows XPのサポート終了需要のあった前年度の反動もあり、業績の成長という側面では厳しかった一方で「クラウドシフトをどう確立するのかという面では、多くの成果があった」と総括する。

 同社ではパートナー企業のクラウドビジネスへのシフトにより注力していく姿勢だ。高橋氏は「クラウドシフトが早いほど、パートナーのビジネスは安定するということが、この1年で実証されてきた」と説明する。

 「クラウドへのシフトに対しては、オンプレミスとは異なるビジネスモデルであり、既存の売上高を確保できないのではないかという懸念から、積極的な移行ができないパートナーが多かった。しかし、オンプレミスのままでは安定的な収益の確保が難しいということを理解するパートナーも増えている。また、いち早くクラウドシフトを図ったパートナー企業は、(XPの)特需の反動にもかかわらず、3年連続で40%以上の売上高の成長を遂げるなどの例も出てきている」(高橋氏)

新しいパートナーシップ形態も用意、クラウドビジネス拡大へ

 こうした昨年1年間の動きをもとに、日本マイクロソフトはパートナーに対するクラウドシフトの提案をさらに加速していくことになる。7月2日の新年度事業方針説明で、同社の平野拓也新社長が語った方針をなぞる形で、高橋氏はその方向性を説明した。

 「今年度中に、クラウドパートナーを2500社から3500社へと拡大する。また『Cloud Solution Provider(CSP)プログラム』の拡張により、パートナーがクラウドサービスを取り扱いやすい環境を構築する。さらに、SIパートナーやリセールパートナーに加えて、ISVベンダーを主体とする『IPサービスパートナー』や、マネージドサービスを提供する『マネージドパートナー』を通じた販売拡大を図り、クラウドビジネスの高い成長を目指す」(高橋氏)

 また、競合クラウドベンダーのサービスを扱ってきたパートナーも、積極的にリクルートしていく考えだ。

 「いまや、AWSを取り扱うパートナーの8割が他社クラウドも扱っている。マイクロソフトには30年間以上にわたってパートナービジネスを展開し、蓄積してきたノウハウがあり、売上全体の92%をパートナービジネスが占めていることで、パートナーの安心感がある。ここにきて、マイクロソフトのクラウドサービスを扱いたいというパートナーが増えてきている。この流れをしっかりと捉えていきたい」(高橋氏)

 さらに高橋氏は、マイクロソフト社内で“パスタマー”と呼ぶ存在にも、クラウドパートナーとして期待していると語った。「これは『カスタマー』と『パートナー』を組み合わせた造語。カスタマーとしてクラウドを活用するだけでなく、マイクロソフトのパートナーとしてビジネスも展開する企業を指す。パスタマーも、新たなクラウドパートナーだ」(高橋氏)。たとえば「Microsoft Azure」を活用したBtoBtoC型のクラウドサービスを展開する企業は、顧客であると同時にパートナーである。こうした“パスタマー”の事例も出ているという。

(→次ページ、クラウドパートナー向け施策を強力に拡張、日本の遅れを挽回へ

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