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4K、8K、HDR……謎の用語が続々出てくる薄型テレビの基礎知識 第2回

4K/8K放送から有機ELにIGZO……次世代テレビの技術を解説!

2015年07月14日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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有機ELテレビは明るさが弱点と言われるが……

暗い部屋で視聴。黒のしまり具合が素晴らしい

暗い部屋で視聴。黒のしまり具合が素晴らしい

 有機ELはその名の通り有機素材を使うので、寿命(経年変化による輝度の低下)が避けられない。3色を使った有機ELは、3種類の有機素材を使うため、寿命がバラつく。わかりやすく言うと、使っていくうちにだんだんと明るさが落ちるならばあまり気にならないが、例えば青の有機素材だけが寿命が短いとカラーバランスが崩れて画面が黄色っぽくなっていくので劣化に気付きやすいのだ。

 すべて同じ素材(白色)の有機ELならカラーバランスが崩れる心配はない。ちなみに有機素材の寿命についても、現代の薄型テレビとして問題のないレベルにあるとのことだ。一般的なテレビの買い換え周期である7~10年くらいの使用では問題ないと考えていい。

 圧倒的な高コントラストに加えて、広色域再現も十分な性能を持つなど、液晶を圧倒する実力を持つ有機ELだが、すべての面で液晶を超えるかというとそうでもない。

 それが画面の明るさ。プラズマとの競争で勝利した原因もこれだが、液晶は専用の光源を持つため明るい。ブラウン管の時代から、「画面の明るいテレビの方がきれいに見える」という心理的な効果は知られており、だから今の薄型テレビにも店頭で他社のテレビと並べたときに隣のテレビに負けないように、ギラギラと画面を明るくする「店頭モード」がある。

 筆者もLGエレクトロニクスでの取材でそれを聞いて驚いたのだが、絶対的な画面の輝度を比較すると、液晶どころか、プラズマと同等の明るさらしい(だから、LGのWRGB方式では輝度を補助する白色のサブピクセルがある)。

 だが、実際に映像を見てもそんな気にはならなかったことを追記しておく。プラズマは明るい部屋で見ると明らかに元気のない映像に見えるが、有機ELは輝度のピーク感、画面の明るさ感などを含めて明るい環境で見てもあまり物足りなさを感じることはなかった。液晶と有機ELを並べて見てわかるレベルだろうと思う。

 強いていうならば、高輝度表示であるHDRで実現されるまぶしい光の再現は、液晶の方が効果が大きいと予想できる。

 有機ELは絶対的な輝度ピークは及ばないものの、完全な黒に浮かぶ暗所方向の再現性が高いため、キラリと光る明るさが際立つという感じの見え方になるだろう。

 このあたりから考えると、明るい場所では液晶が有利。映画は暗室で見なければ! というようなこだわりの画質派にとっては有機ELが有利になると考えていいだろう。

 この先、LGディスプレイは国内を含め他社へのパネル販売も計画しているので、国内メーカーからも有機ELテレビが発売される可能性は大きく、LGエレクトロニクス1社だけでなく、多くのメーカーから有機ELテレビが登場することになる。

 早ければ来年というくらい近い将来、有機ELと液晶を選ぶときにはこのことを思い出すと、正しい製品選びができるだろう。

(次ページに続く、「IGZOが液晶も有機ELも大きく進化させる!?

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