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ユーザーと市場を見据えた驚異の地方スタートアップの声を聞け

トクスペ、スポスタ、ユニマル、抱き枕!ハイレベルな鹿児島LT大会

2015年07月03日 17時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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6月27日に鹿児島市内で行なわれた「startuphack in Kagoshima byさくらクラブ」では、スタートアップ4社がLTを披露。音声SNSのTalkspaceを手がけるfleep、スポーツ選手とファンをつなぐスポスタ、Univerions/Universions Worksを手がけるユニマル、さわると声が出る抱き枕を開発するジョイアスなどが、ハイレベルなピッチを披露した。

月間投稿数300万を誇る音声SNS「Talkspace」

 本社を枕崎に置き、本土で最南端のITベンチャーを謳うfleepは、音声SNS「Talkspace」を手がけている。ベンチャーキャピタルのIFJの出資によって設立され、現在共同開発契約を結んでいる鹿児島大学内でビジネスを展開している。登壇したfleep共同創業者の高橋亮さんは、「身長196cmの身長を活かして、エンジニアの方をやらせていただいています(笑)」と会場を沸かせ、まずは起業の経緯を説明した。

196cmの身長を活かし、エンジニア業にいそしむfleep共同創業者の高橋亮さん

 高橋さんがバスケットボール部の同期である鮫島氏からネットサービスの立ち上げを持ちかけられたのは、今から約3年前。アバター+ネットショッピングのサービスを考えたが、当時はネットやプログラミングの知識がまったくなかったという。「作るために急いで『ホームページビルダー』を買いに行ったけど、買ったその日に断念した(笑)。全く使えない……じゃない、自分たちの能力がないことに気がついた」とのことで、次に作ったのが社名の由来である学生向けSNS「fleep」だ。

 鹿児島大学を中心に約3000人のユーザーを抱えるfleepの特徴は学生に特化した機能を数多く実装した点。「大学の先生を評価したり、過去問を共有できるようにしたので、大学に嫌われた」というFleepは鹿児島大学の助教授から方向性を正しなさいと諭され、開発者コンテスト「ブレイクスルーキャンプ」に参加・そこで、見事に開発部門3位を受賞し、IMJインベストメントパートナーズからの出資を受けることとなる。

鹿児島大学と共同研究契約を結び、オフィスも鹿児島大学内にある

 そこで発表したのが声でつながるSNS「Talkspace」(トクスペ)だ。Talkspaceの機能は、音声掲示板の「スペース」、フォローしたユーザーの投稿をチェックできる「タイムライン」、スペースとタイムラインで人気のものを集めラジオ番組化した「プレイリスト」という3つ。高橋さんは「今まではTwitterのようなテキスト、Instagramのような写真、YouTubeのような動画でのやりとりだった。Talkspaceは音声でやりとりするSNS」と解説し、「トクスペは一言で言えば“支え”ですね」「Talkspaceは私の生活の一部になりました」といった熱心なユーザーの実際の生声を紹介した。「テキストを音声に変えるテキストボイスという機能があるので、まずはそちらからスタートする方が多いです。生声が恥ずかしいという方も声を変えることも可能です」(高橋さん)

スペース、タイムライン、プレイリストの関係

 Talkspaceの投稿数は月間300万にもおよび、再生数で3000万、累積だと2億再生におよんでいる。有名声優とのコラボや、地元のラジオ局と番組を作ったりといった取り組みも行なっている。インフラはもちろんさくらインターネットを採用。「鹿児島からスタートアップが出るのが当たり前という状況を作るには、なにより成功するのが大事。そうなれるよう、これからも攻めていきたい」と高橋さんは抱負を語った。

■関連サイト

スポーツチーム・選手をファンとつなぐ「スポスタ」

 スポーツ選手・チームとファンをつなぐプラットフォームを展開する「スポスタ」は、スポーツ界の巨大なマーケットプレイスを狙う。本社は東京にあるが、開発拠点を鹿児島に置いており、インフラはさくらインターネットを採用する。

スポーツ選手・チームとファンをつなぐスポーツを手がけるスポスタ CTOの松岡 宏満さん

 登壇したスポスタCTOの松岡 宏満さんは、海外ではスポーツがエンタテイメント産業に進化し、ビッグビジネスになっているという市場動向を説明。こうした中、トッププレイヤーのスポンサー価格が数億~十億と高騰している一方で、資金難のため、選手継続が困難という選手も多いという指摘。「女子のプロサッカーをはじめ、マイナースポーツ、金メダリストでも、数千万~数百万円が普通。スポンサー料をとりにくいという状況がある」と松岡さんは指摘する。

 これはトッププレイヤーの実力に加え、多くのファンを抱えているため、ビジネスが作りやすいという状況があるからだという。「競技の発展はやはりファン数ではないかと考えている。ファンがついていれば、スポンサーも付きやすくなる」ということで、スポスタではスポーツチームと選手を結びつけるプラットフォームを提供する。

競技発展の原動力はファンの数

 では、どういったファンを狙うのか? 今までの市場は熱心なファンに向けたマスメディア中心だったが、最近は選手やチーム自身がSNSで情報発信できるようになっている。「ちょっと興味があるといったファンでも情報を得やすくなっている。そういったライトなスポーツファンに焦点を当て、『僕の選手』『私の選手』という新しいエンタテインメントを定着し、新しいファン市場を構築したい」と松岡さんは語る。

 これに対して、スポスタはまずファンクラブ運営や後援会、グッズ販売、寄付などの機能を持ったCMS型のWebでファンを集め、資金調達できる土壌を構築する。また、Webサービスが未整備というスポーツ業界のIT化を推進する。「スポーツ選手はITに弱い方も多いので、Webサイト構築などを代行する。それだけではなく、事務局を作って、ファンクラブや講演会、グッズ販売、イベントなどを代行する」(松岡さん)。もともとスポスタの創業メンバーが、日本サッカー協会のオフィシャル後援会のサイト開発と事務局運営を行なっているため、こうした事務局運営は実績があるという。

選手自身が作れるCMS型のWebサイトでファンとの交流を演出

 最近、スポスタが手がけた事例としては、フィギュアスポーツ選手の村上大介さんが挙げられる。従来、お母さん1人で行なって事務局運営を昨年からスポスタ側で代行。「12月のNHK杯で優勝し、非常に多くの応援メッセージが集まり、寄付も集まるようになった」と松岡さんは語る。限定120名のファンイベントも実施し、チケットも即完売したという。「Webだけではなく、ファンと選手が直接ふれあえるリアルなイベント運営も行なっていきたい」(松岡さん)。

 次のステージとしては、企業と選手・チームをつなげる「スポンサーネットワーク」を開発中。「ファンがいても、やっぱりスポンサーがつかないと資金調達は難しい。資金難で練習の質が落ち、引退に追い込まれる選手もいる」(松岡さん)とのことで、企業に対して選手・チームをスポンサーしやすいプラットフォームを構築する。これによって、「トッププレイヤーのスポンサー料が高い」「そもそもスポンサーしたい選手が見つからない」といったCSR活動における企業の課題も解消。2020年の東京オリンピックに向け、選手が練習に専念することで、トッププレイヤーに駆け上がっていくお手伝いをしていきたいという。

スポンサーネットワークの構築で企業がチーム・選手をスポンサーしやすくする

■関連サイト

(次ページ、「地方にいることがデメリットでない」を目指すユニマル)


 

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