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日本のITを変える「AWS侍」に聞く 第12回

これからもエンタープライズにクラウドの真価を語り続ける

スーツのSAMURAI渥美さんは60歳を過ぎてもクラウドエバ

2015年07月01日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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60歳からのAWS!渥美さんはIT部門に対してどう語るのか?

 「カイゼンからイノベーションへ」という第2のクラウドの波が押し寄せつつある2015年、渥美さんは定年を迎えた。しかし、渥美さんに「悠々自適な老後」や「引退」といった考えはないようだ。7月から始まるセカンドステージでは、AWSのエンタープライズクラウドエバンジェリストとして日本のIT業界にクラウドの価値を説き続ける。渥美さんは「Amazonって定年がない会社なんですよ」と笑う。

 渥美さんは、日本のIT部門がクラウドの真価に気がついていない点に、長らく忸怩たる思いを持ってきた。「クラウドを使えないと実現できないソリューションがあることにIT部門のマネジメントは気がついていない。なので、AWSのエバンジェリストというレバレッジの効く立場で、クラウドの真価をお伝えしたい。そして、クラウドを安心して採用していただき、日本の競争力を上げ、より豊かな社会を作るお手伝いをしたい」と抱負を語る。

「AWSのエバンジェリストというレバレッジの効く立場で、クラウドの真価をお伝えしたい」

 そして、これから渥美さんが語りかけるオーディエンスは、必ずしも先進的というわけではない人たち。クラウドの理屈は理解しつつも、導入に躊躇している人たちを「腹落ち」させるところまで持っていくのが渥美さんの使命になるわけだ。「冷静に見れば、クラウドを使っている方はまだまだ数%に過ぎない。これが今後20~30%になっていくには、クラウドに何か不安を持っている一般の人たちにわかりやすく語りかけないといけない」と渥美さんは気を引き締める。たとえば、マネジメント中心で構築や運用を外注しているIT部門の人たちに対しては、たとえば実際に触ってもらって価値を実感してもらう。また、ITシステム維持に大きなコストや手間を割いている人たちには、クラウドでその負荷を下げて、より戦略的なIT企画の役割に変えていこうと説いていくという。

 もちろん、運用とベンダーコントロールがメインで、戦略的なことがなかなかできない、人材や職種の変更も難しいというIT部門もある。「担当者にとっては切実な話で、簡単でないこともわかっている。でも、クラウドを使ってもらえば、自分たちでできると感じられる人もいるだろうし、難しければパートナーに対してポイントを得た発注ができるようアドバイスします。今までAWSの説明ってすごく洗練されてましたけど、私は泥臭くコツコツ話していくことになりそう」と渥美さんは振り返る。

 もう1つはエンタープライズをコミュニティに巻き込むこと。渥美さんが、さまざまなクラウドイベント、コミュニティ、勉強会に熱心に参加していることは、業界関係者ではよく知られている。そして、クラウドユーザー会ではTシャツ族のエンジニア向けに、しばしば講演もしている。「若いエンジニアが集まるクラウドのコミュニティやユーザー会は、参加者としても講演者としてもワクワクする。クラウドの革新的なテクノロジーやスピーチを楽しむ、この活気が大好きです。これが世界を変えうるクラウドのパワーの源泉だと感じますね」(渥美さん)。

 60歳を過ぎてもクラウドエバ。立場は変われど、渥美さんのやることは今後とも変わらない。むしろ、AWSというグローバルクラウドベンダーの中で、その勢いとパワーは加速しそうな気すらする。いまだに大きく隔絶する背広族とTシャツ族の架け橋として、渥美さんはまだまだクラウドを叫び続ける。

AWSのエンタープライズクラウドエバンジェリストとして語り続ける渥美さんの今後の活躍に期待!

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