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優秀賞・テクノロジーエッジ賞の13社がピッチを披露

今年は画像解析?Microsoft Innovation Award 2015開催

2015年06月29日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月25日、マイクロソフトはスタートアップ向けアワードプログラム「Microsoft Innovation Award 2015」の表彰式を開催した。会場では13社のピッチのほか、パネルディカッション、表彰式、懇親会など多彩なプログラムが用意された。

受賞すると縁起がいい!Microsoft Innovation Awardとは?

 Microsoft Innovation Award 2015はマイクロソフト主催のスタートアップ向けのアワードプログラム。これまでプリントできる電子回路を開発するAgICや手術室の画像操作をジェスチャーでコントロールできるOpect、ユニークな新世代楽器「KAGURA」を手がけるしくみデザインなどが優秀賞・最優秀賞を獲得しており、IT系ベンチャーの登竜門の1つとしての地位を確立している。今回も、日本マイクロソフト社内の会場は満席となり、受賞した13社のピッチのほか、THE BRIDGEによるパネルディスカッション、表彰式などが行なわれた。

 冒頭、日本マイクロソフトの砂金信一郎氏は、スタートアップ支援プログラム「BizSpark」について紹介。Microsoft AzureやVisual Studio、技術支援を3年間無償で提供するだけではなく、エンタープライズ顧客の紹介やマーケティング支援を提供していると説明した。「スタートアップのみなさんを大手のお客様や官公庁、自治体などに提案するネットワークが用意されている。せっかくマイクロソフトと新しいビジネスを作ったのであれば、それを拡げようと考えている」と語る。

日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 オーディエンステクニカルエバンジェリズム部 部長 砂金信一郎氏

 BizSparkならではのもう1つのアピールは、グローバル7箇所で展開しているMicrosoft Venturesのアクセラレーションプログラム。「FOVEはロンドンへ、Capyはイスラエルに行ってもらっている。スタートアップが世界に出て行くための踏み台になる。世界で羽ばたくためにマイクロソフトを利用していただきたい」と砂金氏は語る。

 今年で8回目を迎えるMicrosoft Innovation Awardも、過去の受賞者が多くの注目を集めており、ビジネス面でも大きなチャンスをつかんでいるという。「受賞すると、縁起がいい。しくみデザインの中村さんは、受賞の1年後にはインテルのCEOといっしょにInternational CESで登壇していた」と砂金氏はアピールした。

テクノロジーエッジ賞6社のピッチを披露

 今回は応募が非常に多かったため、優勝賞の7社のほか、テクノロジーエッジ賞6社を選出されたという。まずはテクノロジーエッジ賞6社のピッチを紹介する。

音楽と踊りにあわせ光るスマートシューズ(ノーニューフォークスタジオ)

 ノーニューフォークスタジオは、約100個のLED、9軸モーションセンサー、ARMプロセッサーをソール部分に搭載したスマートシューズ「orphe」を開発している。フルカラーLEDを独立して制御でき、ダンスや音楽にあわせて光らせることが可能になっている。足の回転の速さを競うウインドミルの回転数を競うスマホアプリを用意しており、回数が上がるとスコアと光り方が変わるというデモが披露された。6万8000ドルの投資を得ており、来年4月に一般発売を予定している。

ダンスや音楽にあわせてさまざまな光を発する「orphe」。デモ動画を中心にピッチが展開された

スマホで手軽にAR体験できる「Figmy」(CFlat)

 スマホで手軽にAR体験をできるプラットフォーム「Figmy」を展開するCFlat。好きなキャラクターをダウンロードできるほか、自分でモデルをアップロードすることも可能。会場ではクラウディア窓辺さんのARキャラクターをダウンロードし、会場で記念撮影するデモが披露された。今後はキャラクターホルダーとの連携や、3Dプリンターへの展開、住宅などのビューアなどの需要を見込む。

ARのクラウディア窓辺を会場に呼び出し、記念撮影するデモを披露

Web 3Dを簡単に作れる・投稿できる「jThird」(jThree)

 3D-CG作品を手軽にWebで公開できる投稿サービス「jThird」。jThreeというオープンソースのWebGLライブラリをベースとしており、Webベースの3Dを簡単に作ることができる。Oculus Liftに対応するアプリなども、数十行のコードで書けるほか、3Dキャラクターが踊っている瞬間をキャプチャし、3Dプリンター用のデータとして出力することもできる。「3秒で見られて、3日後には(3Dプリンターの)実物が届く。そんな未来がやってくる」(jThree 松田光秀氏)。

3Dのキャラクタが踊っている瞬間をキャプチャし、3Dプリンターのデータで出力

手術後の笑顔もシミュレーションできる「Twin Face」(Twin Face開発チーム)

 外科矯正手術後の表情をKinectで確認できるシミュレーションシステム「TwinFace」の開発チーム。ピッチでは顔の手術を行なう口腔外科医、3Dの手術シミュレーションを手がける矯正歯科医が登壇し、今までのシミュレーションは無表情で、手術後の笑顔のイメージがとれなかったという点を指摘。Twin FaceではKinectのモーションコントロールを用いることで、精度の高い表情シミュレーションができるという。今後は導入コストの低価格化やカラー化、歯や目の組み込み、Kinectの医療機器としての認証などが課題になるという。

外科矯正手術後の表情をKinectでシミュレーションするTwin Face

ギーク産のWeb高速化技術「MistCDN/MistPrefetch」(Mist Technologies)

 「ユーザーの力でWebを最適化する」という社是を語り、クラウドの次を狙うミストを社名にしたMist Technologies。東大大学院の首席も含む6人のギークで開発された「MistCDN」はWebブラウザのみでサーバー負荷の90%を削減する。また、「MistPrefetch」は1行のJavaScriptを挿入するだけで、Webサイトを先読みさせる。アクセスログ解析で遷移確率を計算すると共に、マウスの進行方向や速度からクリックリンクを算出するという。ECサイトのコンバージョンレートを向上させたり、広告収入の増加などが見込めるという。

サーバー負荷を90%削減するMistCDNとWebサイトの先読みを実現するMistPrefetch

Excelでエレガントなデータ可視化を実現する「E2D3」(E2D3.org)

 プログラム不要で、Excelでデータ可視化を実現する「E2D3」。E2D3プラットフォームに登録されたテンプレートを、ユーザーのExcelファイルで適用させると、インタラクティブなデータ可視化が実現する。画像として出力するのみならず、Webで公開することも可能だ。オープンソースとして、さまざまな団体といっしょに開発しているという体制もユニークだ。

E2D3のテンプレートをExcelに適用させることでデータの可視化が実現

(次ページ、サポーターも加わった優秀賞7社のピッチ)


 

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