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ReadyNASをオフィスでとことん活用する!実践使いこなし術 第4回

USBケーブル/LANで接続、安全に自動シャットダウンさせるための設定

雷!台風!急な停電に泣かないようReadyNASをUPSにつないだ

2015年06月30日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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停電が「ゼロ」になることはない、UPSで備えよ!

 電力の安定供給に関して、日本の環境は世界でも優秀だと言われる。実際に電力事業者のデータを参照しても、年間に遭遇する停電回数は極めて少なく、停電時間も短い。とはいえ、そんな日本でも停電のおそれが完全に「ゼロ」になることはない。台風や雷などの影響、ビル内の電力設備障害などでも停電は起こりうる。

停電になったASCII.jp編集部。UPSにつないだReadyNASは安全だった。その一方で、筆者には原稿締め切りという危険が迫る……(ヘッドランプを点けて泣きながら執筆中)

 ファイルサーバー(NAS)の稼働中、特にデータの書き込み中に停電が発生すると、保存していたファイルが消えたり、運が悪ければファイルシステムそのものが破壊されてすべてのファイルが読み出せなくなってしまうおそれがある。たとえ短時間で停電から復旧したとしても、重要な業務ファイルがなくなってしまえば仕事にならない。

 そんな停電への備えとして活躍するのが「UPS(無停電電源装置)」だ。UPSは大容量のバッテリを内蔵しており、停電が発生してコンセントからの電力供給が止まっても、接続した機器への電力供給を続けてくれる。

 ただし、自家発電装置とは異なり、UPSの目的は「停電が起きてから、安全にシステムをシャットダウンさせるまでの『時間稼ぎ』」である。停電発生後、UPSが数分~数十分にわたって電力を供給してくれるので、その間にNASを正常にシャットダウンさせる。これで、ファイルやファイルシステムを守ることができるわけだ。

UPSとReadyNASを接続し、自動的にシャットダウンさせる

 しかし、停電が起きるたびにあわててNASを手作業でシャットダウンしなければならないとしたら、運用に困るだろう。NASは常時稼働しているが、管理者が24時間ずっと見張っているわけにはいかない。

 そのため、一般的なUPSには、コンセントからの電力供給がストップしたら「シャットダウン信号」を機器に送る機能が備わっている。この信号を受けて、NAS側が自動的にシャットダウンすればよい。もちろんReadyNASにも、この自動シャットダウン機能が備わっている。 

 ただし、この信号を送るためのReadyNAS~UPSの接続方法は2種類ある。どちらも1台のUPSから複数台のNAS(やサーバー)をシャットダウンさせることができ、機能的には大きな差がないので、ケーブルの取り回しなど都合の良いほうを選べばよい。いずれもReadyNASの管理画面で「UPS」の項目(システム>電源>UPS)を設定する必要があるため、以下、設定方法と併せて紹介していこう。

 なお今回の記事執筆では、APC(シュナイダーエレクトリック)のUPS製品である「ES 500」を使用している。

USBケーブルでの直接接続(USB UPS)

 これはUPS製品に付属する(またはオプション購入できる)通信ケーブルを使い、UPSとReadyNAS本体を直結する簡単な方法だ。

APCのUPS製品に付属する通信ケーブルの両端

USB Type-AコネクタをReadyNAS側に、電話機のようなコネクタをUPS側に接続する

 ケーブルを接続すると、ReadyNAS側でUPSが自動認識され、管理画面にはUPSのステータスやモデル名などが表示される。また、UPS項目の右上にあるギアのアイコンをクリックすれば設定ができる。ただしUSB接続の場合、設定しなければならない項目は少ない。

UPSをUSB接続すると自動認識され、電源ステータス(左端の緑の●)やモデル名などが表示される

 まず「シャットダウンしきい値」は、UPSのバッテリ残量が何%になった段階でReadyNASの自動シャットダウンを開始するかの設定だ。これを設定すれば、ごく短時間の停電ならばシャットダウンさせずにNASの稼働を継続させることができる。ただし、バッテリ残量ぎりぎりまでシャットダウンを開始しないでいると、シャットダウン処理中にバッテリが空になり、正常に処理が完了しないおそれもある。ある程度余裕を持たせて(つまり大きめの数字で)設定しておくのが無難だろう。

 また、この項目を「自動」に設定すると、UPS側で設定した条件に基づいてシャットダウン処理が始まるようになる(UPSの設定についてはUPSのマニュアルを参照のこと)。

「シャットダウンしきい値」の設定

●USBケーブル接続時の2台目以降の設定(リモートUPS)

 次に「UPSのネットワークモニタリングを有効にする」というチェックボックスがある。これは、2台目以降のReadyNASを連動させるための設定だ(通常はチェックを入れておけばよい)。

 先ほどのケーブル接続の説明で、UPS側の接続端子が1つしかないことに気づいた読者もいるだろう。UPSは複数のコンセントを備え、複数台のReadyNASに電力を供給できるが、通信ケーブル経由で信号を送れるのは1台だけである。そこで、ケーブル接続した1台目のReadyNASが、同じLAN内にある2台目以降のReadyNASにシャットダウン信号を転送する仕組みを持っている。これを「リモートUPS」と呼ぶ。

リモートUPSの仕組み(すべて同じUPSに電源を接続している)

 リモートUPSを使うには、まず1台目のReadyNASで「UPSのネットワークモニタリング……」のチェックボックスにチェックを入れる。2台目以降のReadyNASでは、UPS設定画面で「+」ボタンをクリックし、表示される「UPS追加」ダイアログで「リモートUPS」を指定する。「アドレス」欄には1台目のReadyNASのIPアドレスを入力し、「名前」には「UPS」、「ユーザー」には「monuser」、「パスワード」には「pass」と入力する(名前、ユーザー、パスワードは変更不可)。

 以上の設定で、2台目以降のReadyNASも連動して自動シャットダウンするようになる。

リモートUPS使用時の設定(2台目以降のReadyNAS)

 なお、2台目以降のReadyNASと同じように、「Network UPS Tools(NUT)」ツールをインストールしたLAN内のLinuxサーバーも自動シャットダウンさせることができる。

(→次ページ、もう1つの接続方法、LAN経由でSNMPトラップを受け取る

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