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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第6回

プレイ動画・ゲーム実況・ゆっくり実況 etc...ニコニコ動画最大のタグを調べてみた

再生数200億! ニコニコ動画の半分は「ゲーム」タグでできている

2015年06月25日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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名作・実況向け動画・アーケード・マイクラ・オンライン
変わっていくプレイ動画人気ゲーム

 このようにニコ動のゲームプレイ動画は通常のプレイ動画からゲーム実況が流行し、その後実況主流のなかでもアーケードゲームのプレイ動画やゆっくり実況が増加する動きが見られました。グラフ3のように各年に投稿の多かったゲームタイトルを見てもこの傾向があります。

 2007年から2009年は「アイドルマスター」「東方」が多いですが、多くはプレイ動画でなく、アイドルマスターはMAD(1期第10回参照)、東方は楽曲アレンジやキャラクター関連(1期第26回参照)の動画が多いです。

 これは2009年10月に両タグがカテゴリタグになるまで、原作がゲームであることからゲームカテゴリで投稿されてきた関係。東方については原作・二次創作のゲームのプレイ動画や東方キャラを使った他ゲームのプレイ動画等もあり、以降も上位に見られます。

 その他2007年頃に多かったゲームタイトルは「ポケモン」「ファイナルファンタジー」「スパロボ」「ファイアーエムブレム」「三国志」「ドラクエ」「マリオ」「ロックマン」「テイルズ」など定番の人気タイトルです。

 この頃はその時の人気タイトルというより、過去の名作ゲームのプレイ動画がよく投稿されていたようです。

 自由に作成したキャラクターで格闘ゲームができるため、有志が勝手に既存の格闘ゲーム等からキャラを移植しているフリーの格闘ゲーム「MUGEN」は2007年頃からも投稿があり、以降独自のコミュニティーのなかで長い間ゲームタグでの投稿が続いています。

 MUGENでは豊富なキャラクターを使ってオリジナルストーリーを描く「MUGENストーリー」、それぞれのテーマで揃えたキャラクターをコンピュータ操作で戦わせ合う「MUGENトーナメント」などが人気。

 権利的な問題があるため日の目を浴びることは少ないですが、人気の高いゲーム動画です。ちなみに前述の通り、ゆっくり魔理沙を初めてゆっくりボイスで喋らせたのはMUGEN動画です。

 2008年頃から実況プレイ動画が流行してくると投稿が増加したのが「」や「バイオハザード」などのホラーゲーム。実況でのリアクションが楽しまれるためか、ホラー要素のあるゲームは実況系のプレイ動画では好んでプレイされています

 やがて2010年の「青鬼」、2012年の「Ib」のようにアマチュアの作ったフリーゲームからゲーム実況を通じてヒットが出るようになりました。これ以降も「魔女の家」「怪異症候群」「クロエのレクイエム」「霧雨が降る森」「Alice_mare」「幻想乙女のおかしな隠れ家」「恐怖の森」「獄都事変」など、トップ30に入るほどではないですが実況プレイ動画等でヒットしたフリーゲーム作品が出ています。

 近年はメディアミックス展開も盛んで、個人の作ったこうしたフリーゲームから小説・マンガ・映画などになったタイトルもいくつかあります。

2012年2月に発表、翌月以降人気となったフリーホラーゲーム『Ib』のレトルト氏による代表的な実況プレイ動画。Ibでは公式にガイドラインを設けてプレイ動画の投稿や二次創作を認めて大ヒットした代表的な作品。現在でもファンは多い。

 ほかゲーム実況で継続して人気が高いタイトルとしてはダークファンタジーなアクションRPGの「デモンズソウル」「ダークソウル」「ダークソウル2」のシリーズで、現在も「Bloodborne」が人気です。

 また最近では「マリオカート8」がヒットしています。「マリオカートWii」の頃からゲーム実況では人気があり、特にゲーム実況の投稿者同士での対戦動画の再生が多く、通信対戦を使用した投稿者同士での対戦企画などもしばしば立ち上がっています。

 任天堂がプレイ動画の投稿を認めているタイトルでもあり、公式にもオンライン対戦時のリプレイ映像の視聴やYouTubeに投稿する機能があるなど、プレイ動画投稿を非常に意識したタイトルと言えるでしょう。

3雲氏が主催して2014年8月に開催されたマリオカート8の対戦・実況イベント・実況者杯「ひと夏のマリオカート8」のおちゃないと氏による動画。この企画はゲーム実況者を集めてマリオカート8のオンライン対戦を行ない、それぞれの視点の実況プレイ動画を投稿するというもので、その後これに触発された同様の企画がいくつも開催された。1本見ると、ほかの実況者の視点でのプレイも見たくなる良企画。

 こうしたゲーム実況人気ですが、じつは2009年から2013年に最も投稿が多かったゲームタイトルは「三国志大戦」「ボーダーブレイク」「戦国大戦」といったアーケードゲームです(1期20回参照)。

 ゲームセンターで外部出力用の機器を接続しての録画・動画投稿の容認や、ネットサービスでのプレイ動画録画機能の提供などがあり、アーケードゲームとプレイ動画投稿は現在密接な関係があります。今年から稼働開始した「ワンダーランドウォーズ」は最初からプレイ動画投稿のガイドラインが用意されており、多数のプレイ動画が投稿されています。

 また動画投稿機能のあるアーケードゲームとしては1期36回で紹介した「maimai動画」が挙げられます。じつは2014年末の時点では、ゲームタイトルのタグとしては「maimai動画」が2014年投稿数トップ、2013年も3位に入っていました。しかし2015年になって投稿から90日以上経過した再生数の低い動画はまとめて削除されたため、現在の順位となっています。

 また最近のmaimai動画の投稿では「ゲーム」タグを自動で付けなくなっており、現在も月1万前後が投稿されていますがゲームカテゴリの動画は少なく、今回の集計では上位に入らなくなりました。

 こうしたアーケードゲーム動画をおさえて現在最も投稿が多いゲームタイトルは「Minecraft」です。Minecraftはちょうどゆっくり実況が拡大していく2011年頃に注目され、ゆっくり実況では以降最も主流のゲームタイトルです。

 その後ゲーム実況でも流行しており、2012年以降アーケードゲーム以外ではトップ、2014年および2015年上半期ではゲームタグ中で最も動画投稿の多いゲームタイトルとなっており、現在でも非常に人気が高いです。

 クリエイティブな要素が大きく、できることが多いことから、プレイ時に収録するゲーム実況よりも後から演出できるゆっくり実況等の方が向いていたのかもしれません。

 またMinecraft以降海外のSteamなどのインディーゲームが動画などを通じて日本に紹介されることが増えました。海外でも以前からゲーム実況が盛んに行なわれており、YouTubeのゲーム実況から日本で海外ゲームが話題になり、日本でゲーム実況が投稿されることも最近は珍しくありません。この連載でも「terraria」や「I_am_Bread」をご紹介しました(1期第5回第39回参照)。

 最近の動きとしては、オンラインゲームタイトルの人気が挙げられます。以前から「FEZ」「RO」「PSO4」などMMORPGの動画はよく投稿されていましたが、2013年の「艦これ」(2期第2回ほか参照)、2015年の「刀剣乱舞」(1期44回参照)とブラウザゲームで話題のタイトルが出た関係で注目が集まっています。

 これら2タイトルはプレイ動画よりもキャラクター人気の強いタイトルですが、同じDMM.comの「千年戦争アイギス」はもっぱらプレイ動画が投稿されています。ゲーム攻略などに活用されているらしく、本連載のタグトレンドでは新ミッション名のタグが毎回よく検索されていました。

 またスマホのソーシャルゲームのプレイ動画の投稿も最近増えてきています。「パズドラ」は以前から投稿されていましたが、最近になって「【投稿】モンスターストライク」「【投稿】SHOWBYROCK!!」「【投稿】メタルスラッグディフェンス」などの投稿が盛んです。

 こうした「【投稿】~」と付いているタグはドワンゴの提供するニコニコスマホSDKが搭載され、ゲーム自体に動画投稿の機能が組み込まれているタイトルです。

 ちなみに搭載タイトルは2014年からありますが、「maimai動画」と同様に90日間で再生数100に満たない動画は削除される仕様のため、2014年に投稿されたニコニコスマホSDK動画で現在も見られるものは130件程度しかありません。

 ちなみに最近1ヵ月では「【投稿】モンスターストライク」が約1600件、「【投稿】SHOWBYROCK!!」が約1200件、「【投稿】メタルスラッグディフェンス」が約760件程度投稿されています。ただしモンスターストライクとSHOWBYROCK!!の動画投稿は最近まで「ゲーム」タグが自動で付けられてなかったため、今回の集計では大半が含まれていません(現在は付けられている模様)。

 こうしたゲームタグで現在話題のタイトルとしては前回紹介した「スプラトゥーン」。まだ発売して1ヵ月ほどですが、すでに8000件近くの動画が投稿されています。「マリオカート8」と同じく動画投稿を公式に認められているタイトルで、ゲームやキャラクターの新しさもあり、現在大ヒットしています。

現時点で視聴できるゆっくり実況プレイタグの動画について、各年の前後半ごとに多かったゲーム名のタグを順に並べたもの。複数のゲームの総称であるタグと個別名のタグが混在している点に注意。一般の商用ゲームはオレンジ、フリーゲームは紫、インディーゲームを青、アーケードゲームは黄色、オンラインゲームは緑、TRPGは灰色で塗ってある

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