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Citrix Synergy 2015での発表を振り返る

シトリックス社長が語るWorkspace Cloud、OpenStack戦略

2015年06月16日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集●大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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シトリックス・システムズは5月に年次イベント「Citrix Synergy」を開催し、数年越しの開発の成果としてワークスペースの作成、配信、管理のためのクラウド「Workspace Cloud」などの発表を行なった。シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長のマイケル・キング氏にイベントでの発表を中心に話を聞いた。(以下、敬称略)

日本のニーズに応えた3つの新発表

――Citrix Synergyではさまざまな発表がありました。シトリックスのメッセージを要約すると?

キング われわれはセキュリティ、柔軟性、ユーザー体験の3つに大きくフォーカスしており、研究開発から製品まで全社的に取り組んでいる。これにより、ソリューションをもっとシンプルに、簡単に実装できるように、そして複雑な作業なしに素晴らしいユーザー体験とセキュリティを提供し、同時に柔軟性を得られるというものだ。

シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長 マイケル・キング氏

今回のイベントには日本から顧客とパートナーが合計で60社以上参加した。シトリックスの古くからのユーザーもいるが、仮想デスクトップなどを入り口に、シトリックスの技術をもっとしりたい、どのように活用できるだろうかという関心が高まっていることを裏付けており、とても光栄に思っている。

実際に発表された内容の多くは、日本の顧客からの要求に合致する。3つ挙げよう。1つ目として、「XenApp 6.5」のライフサイクルを2017年に延長することを発表した。日本の顧客は同じバージョンを長く利用する傾向が強く、顧客企業はXen App 7系へのマイグレーションを計画しているが、時間をかけて行なっていきたいというところが多い。今回のライフサイクルの延長はウェルカムだろう。さらには、クライアント技術の「Citrix Receiver」でルック&フィールをカスタマイズできる機能など、日本顧客からニーズのあった機能をフィーチャーパックを通して提供する。

2つ目はiPadで使えるBluetoothマウス「X1 Mouse」の出荷発表だ。財務系など日本企業の間でiPad利用に強い関心があるが、マウスが利用できないことが一つの課題だった。X1マウスは現実的で実用的な解決策となるはずだ。3つ目はMicrosoft Lync(「Microsoft Lync 2013」)のサポートだ。これもフィーチャーパックを通じて提供する。製造業などのXenDesktopを実装した顧客からLyncのサポートについて問い合わせを受けていた。

Workspace CloudはまずはSMB市場のニーズを満たす

――「Workspace Cloud」も発表しました。

キング 顧客が簡単にシトリックス技術を利用できる方法を提供することを目的としたもので、高速な実装、そして複数のシトリックス技術をサブスクリプションモデルで利用することが可能となる。将来的に、顧客からこのような機能に対する関心が高まってくるだろう。

また、パートナーであるNTTコミュニケーションズやKDDIなどがクラウド基盤「Citrix CloudPlatform」を利用して自社のクラウドサービスを提供しているが、ここでもニーズがあるとみる。

――Workspace Cloudのターゲットは? この分野でのMicrosoftやVMwareとの競合は?

キング まずはSMB市場、特に中規模企業のニーズを満たすものではないかと見ている。シトリックス技術を部分的に利用しているが、実装を拡大するのに十分なリソースがないところ。もっとシトリックスを使いたい、現在の投資を保護しつつ規模をスケールさせたいというニーズに応えられる。

現在、このような議論を進めながら社内で調査しているところだ。正式ローンチまでテストドライブとして参加を募り、フィードバックを得ていきたい。大きな図としては、競合はそれほど大切だと考えていない。Workspace Cloudのコンセプトは大きく変革的なものだ。市場の教育が必要だと考えている。

――日本での提供予定は?

キング 日本では、米国などの先行市場で学んだことを確実にしてからと思っている。そのため、ローンチの計画はまだ発表していないが、米国(2015年第3四半期)より遅れて2015年内にと考えている。同時に、すでに顧客やパートナーからフィードバックを得るために話を進めている。

――シトリックスは「Software-Defined Workspace」をキーワードに、その変革の必要性を説いている。

キング XenApp、XenDesktopだけではなく、ネットワーク、モバイルアプリも含みさまざまなデバイスからアプリに安全にアクセスできる――つまり真にモバイルなワークスペースを、というものだ。クラウドを利用する企業は多いが、シトリックスのようなワークスペースのコンセプトを持っているところは少ない。従業員の作業方法を変革させたいと思っているところはもっと少ない。Workspace Cloudは変革するものになるだろう。最先端の顧客の中にはそう考えるところも出てきたが、一般的とはいえない。そういった事情からも、Workspace Cloudのローンチは適切に行ないたいと考えている。

CloudStackとOpenStackのサポートは?

――4月に「OpenStack」のOpenStack Foundationへの出資を発表した。シトリックスがオープンソースにした競合技術「Apache CloudStack」(シトリックスの製品名は「Citrix CloudPlatform」)との関係は?

キング CloudStackは日本でアーリーアダプタが多く、最大規模の事例がたくさん生まれている。NTT、KDDI、IDCフロンティアなどだ。今後もCloudPlatformのサポートを続けるし、顧客の拡大を支援していきたい。

今回はOpenStackへの参加を発表したが、実際のところシトリックスは数年前から「XenServer」やクラウドネットワーキングプラットフォームの「NetScaler」でOpenStackを利用している。顧客がOpenStackを実装するとき、多くの場合でネットワーキング技術に「NetScaler Application Delivery Controller(ADC)」を利用するケースが多い。われわれはこれら顧客にOpenStack向けの最高のネットワーキングを、ハイパーバイザーを提供したいと思っている。

――日本市場での最重要課題は?

キング 最大の課題は同時にチャンスでもある。この15ヶ月、シトリックスのエグゼクティブブリーフィングセンターを訪問いただいた企業は3000社だ。すべての企業がワークスタイルにおけるイノベーション、BYODなどに関心をもっており、Citrixのソリューションを学ぼうと足を運んでいただいた。

このように顧客からの関心が高まっている中で、ほとんどの場合でそれを実現するには単一の技術では不可能であり、これがわれわれにとってのチャレンジといえる。現在、1つのプロジェクトでパイロットを行ない、長期間にわたって複数の技術を入れていく。つまりワークスタイルイノベーションという考えとツール提供との間にギャップがある。そこで、新しい方法をどのように伝え、場合によっては啓蒙するかを考える必要がある。つまり、技術というよりもアウェアネスにチャレンジがあるとみている。

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