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MARKETING 書かなきゃいけない人のためのWebコピーライティング教室 ― 第5回

5限目:「情報」を「コンテンツ」に変える 告知コピー制作メソッド

2015年06月15日 11時00分更新

森田哲生/Rockaku

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イラスト:寺井麻美

「情報」と「コンテンツ」の違い

 長らくご無沙汰しております。Rockaku森田です。連載開始前、当時の編集担当者さんと「隔週で」とお約束したのに、いつの間にか隔月も危うい感じになっていますが……ええと、こういう場合、なんて言えば印象良くなるんだっけ……あ、そうだ、「満を持して」ですね。ええ。満を持して、5限目の授業をはじめたいと思いますっ。

 今回のテーマは「告知ページ」のコピーライティング。略して「告知コピー」です。お、かなり実践的な内容になりそうな予感ですね。大丈夫です。たぶんそうなります。

  最近、僕は講義や打ち合わせの現場でよく、「情報とコンテンツは別物である」という話をしています。「情報」と「コンテンツ」。この2つの違いって何だと思いますか? これも例によって、答えは無数にあると思いますが、僕は「プレゼントになっているかどうか?」だと思っています。はい、そこ、きょとんとしない! もう慣れてください。この授業はいつも通り、こんな感じで進んでいきますよ。

「使いっ走り」と「プレゼント」

 ちょっと想像してみてください。上司に「おい、キミ、特保のコーラ買ってきてくれ」と言われて、130円渡されたとします。「特保のヤツは160円くらいするんだよ……」と舌打ちしつつ、言われた銘柄を買ってきて上司に手渡します。はい。これが「情報」です

 これに対して、愛する彼女が「今度の誕生日は、なにかカワイイものがほしいなあ」と言い出したら、あなたは彼女の服装、趣味、体型などを考慮して、慎重に「カワイイもの」を選ぶはずです。はい。これが「コンテンツ」です。

 もうおわかりでしょう。相手の具体的な要求に対して、自分が持っている、あるいは入手してきたものを無加工のままで手渡す、使いっ走りみたいなやりとりが「情報」で、相手の曖昧な要求に対して、相手のことをイメージしながら手渡すのが「コンテンツ」。つまり、「プレゼント」というわけです。

 「情報」は、そのものズバリを欲している人以外には、能動的に受け取ってもらえません。企業が発信したい内容を、ユーザーにそのまんま手渡しても読まれる可能性は非常に低いわけです。これに対して、「コンテンツ」は、ユーザーの状況やニーズを想定し、フィットするように調整して、読んでもらえる可能性を高めたもの。つまるところ、喜んでもらえるよう工夫した「プレゼント」である。と、そんな感じで捉えていただければOKです。

「告知コピー」をつくってみよう

 では、ぼちぼち本題である「告知コピー」の話に戻ります。今回は「イベント告知」を教材に使います。オンラインから出発したユーザーを、オフラインで外出させなければならないので、それなりにハードルが高い教材です。

 イベントの開催を告知するには、最低限、どんな要素が必要になるでしょうか。「イベントのタイトル」「場所」「日時」「内容」「出演者」「特典」……と、基本的な項目はすぐに思いつきます。でも、この項目をただ並べただけでは、まだ「情報」。これをどうラッピングしたら「プレゼント」にできるのか? これが授業のキモです。

 じゃあ、設定を決めちゃいましょう。あなたはとある料理教室の広報担当です。企画担当からワークショップの情報を聞き出し、集客のための告知ページのコピーを書かなければならない、としましょう。

逆算の視点から「告知コピー」を書く3つのStep

 これまでの授業でも触れてきましたが、いきなりコピーを書こうとするのは禁止です。きちんと準備を整え、手順を踏んでいきましょう。この「準備」と「手順」のクオリティが、「告知コピー」の効果を左右するといっても過言ではありませんからね。

 最初に、目標となる「告知コピー」を用意しましょう。先輩が書いたお手本でもいいですし、過去、効果が高かったものでもOK。競合他社の告知コピーだっていいと思います。とりあえず、この連載用に、こんな例文を用意しました。

 この例文は決して奇抜でもないですし、強烈なインパクトがあるわけではありませんが、フィットする人に届けば、ある程度効力を発揮する「コンテンツ」となる「告知コピー」です。この中には、主催者、開催日、場所、対象者、そこで得られるもの、特典などがちりばめられ、ユーザーが「参加できるかどうか?」「参加したいと思えるかどうか?」の判断基準が、ユーザーに寄り添うかたちで表現されています。

 では、こうした「告知コピー」を書くために必要なことはどんなことでしょうか? 「告知コピー」を書くまでのプロセスを追いかけながら、「情報」を「プレゼント」へとステップアップさせるメソッドを紐解いていきましょう。いや、紐解くというか、リボンをかける方法、とでも言っておきましょうか(どや顔)。

 いきなり「コピーライティング」に取りかからないために重要なこと。それは、その「告知コピー」を読むユーザーの視点や反応を想定し、そこから逆算して考える視点です。この「逆算の視点」を3つのStepに分解して解説します。


【Step1】Reading
=告知コピーはどう読まれるか?

 「コピーライティング」の前段にあるべきなのは「ヒアリング」。つまり、書くために必要な情報項目を収集する行為ですね。でも、それよりさらにさかのぼって、必要かつ重要なことがあります。それが「リーディング」です。ターゲットとなるユーザーが、その告知ページを「どう読むのか?」を、先回りして「読み解く」ことが重要なのです。


【Step2】Hearing
=ユーザーのReadingに応える情報を的確に集めるための収集項目

 Readingの視点に立てば、自ずと、ユーザーが求めるものが見えてくるはず。「今度の誕生日は、なにかカワイイものがほしいなあ」と言った、愛する彼女のことを思いやる視点まで到達したことになります。これで、もう、あなたの「告知コピー」は、「情報」から「プレゼント=コンテンツ」へと進化したも同然です。ユーザーが知りたい情報、イベントに参加するかどうかを判断する材料になる情報を整理して、以下のようなシートに落とし込みます。このシートに基づいたヒアリングをすれば、「告知コピー」の準備は万端です。


【Step3】Writing
=ユーザーのReadingに応えて、“相手に届く”コンテンツにする

 Step2までの過程をたどれば、元々の目標に設定していた「告知コピー」の構成要素をきちんとそろえられるはず。ここまでできたら、最初に目標としたお手本を読み直しましょう。今ならきっと、お手本と同等の「告知コピー」をつくるために必要な視点と情報が手に入っているはずです。

プレゼントの視点は、逆算の視点。

 いかがでしたか?「プレゼント」という視点で考える、「情報」と「コンテンツ」の差分。そして、「告知コピー」の基本設計。その裏側にある「逆算の視点」。

 この連載の題目は「Webコピーライティング」です。が、読む人の側から告知コピーを設計するときの考え方は、もう少し大きなくくりでいうところの、「Webライティング」、あるいは「ライティング」、さらにはキャンペーン企画やWebサイト全体の構築にも関係してくる、とても大切で、至極真っ当なもののとらえ方です。おそらく、みなさんの半分くらいは「んなこと知ってたっすよ」と感じているかもしれません。でも、その当たり前の考え方を、視覚的・構造的に理解しておくことで、「いきなり書く→なんか書けない」という、「書くの苦手スパイラル」から脱出するヒントになると思います。

 というわけで、今回の授業はここまで。ごきげんよう。さようなら。

著者:森田哲生(もりたてつお)

著者写真

1978年生まれ/多摩美術大学卒業後、編集プロダクション、デザイン会社勤務を経て2007年に独立し、コピーライター事務所Rockaku(ろっかく)を創業。広告代理店やメーカー、制作会社など多彩なパートナーとともに、コピーワーク、ネーミング、情報設計などを手がける。また、宣伝会議、OpenCU、CSS Nite、スクー、その他企業研修などでコピーライティングの講義を多数担当し、それなりにほめられているらしい。


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