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1社独占のネットワーキング分野を切り開く!

新100GbEスイッチで切り込むデルのオープンネットワーキング戦略

2015年06月10日 06時00分更新

文● 谷崎朋子 編集●大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2015年6月9日、デルは100GbE対応の1RUファブリックスイッチ「Dell Networking Z9100-ON」を発表した。ハードウェアに縛られないオープンなネットワーキング実現を目指すデルにとって、今回の新製品は「1社(ほぼ)独占体制のネットワーク業界にメスを入れる新たな刺客」となる。

デルが目指すオープンネットワーキングな未来

 「現在データセンターでは柔軟性と弾力性が求められており、業界標準技術を自由に選択、組み合わせることのできるオープンなネットワーク環境へと移行が進んでいる」。そう述べる米国デル、Dell Networkingプロダクトマーケティングディレクター、ジョナサン・セクラー氏は、そのトレンドを後押しする1つがSDN(Software-Defined Networking)とした。

米デル Dell Networking プロダクトマーケティングディレクター ジョナサン・セクラー氏

 そんな時代の波を受けてベンダー各社もオープン化の方向に動いてはいるのだが、現実はというと、ネットワーキング業界は現在ほぼ1社の独占体制にあり、OSやプロトコル、管理ツールなどが、いわばベンダーロックイン状態で提供され、関連製品の開発ベンダーも同社に追従するしかなく、身動き取れない状態にあるとセクラー氏は指摘する。

 「真のSDNを実現するには、ネットワーキングをテクノロジーやパーツごとにバラして、ユーザーが自社にとって最適なものを選択、組み合わせられる状態にすることが重要だ」(セクラー氏)。

 実際に、歴史を振り返るとサーバー業界でも同様の変革があったと、デルの草薙伸氏は言う。それが、x86アーキテクチャの登場だ。

 「x86以前はサーバーとOSがセット販売されていたが、x86以降はOSを自由に選択できるようになり、それに伴って上位層のデータベースやアプリケーションも多様化し、エコシステムが構築されて業界全体が盛り上がった」。そんな革新をネットワーキング業界で起こすのが、オープンネットワーキング戦略の目指すところと草薙氏は言う。

デル ESGプロダクトセールス・グループ ネットワークセールスグループ部長 草薙 伸氏

 デルでは、オープンネットワーキングを実現するための要素を3つ挙げている。1つは、物理ネットワークと仮想ネットワークの柔軟かつスムーズな接続性の確保。2つめは、フォワーディングプレーンからのネットワーク制御の分離。そして3つめが、OSのハードウェアとソフトウェアの分離だ。

 特に同社では3つめに注目し、昨年からデータセンター向けLinux OSを提供するCumulus Networks、SDN対応ネットワーキング監視ソリューションを提供するBigSwitch Networks、MPLS対応のDCおよびエンタープライズネットワーキング向けネットワークOSを提供するIP Infusionと提携、Dell Networking OS9.xやMidokura、VMware、Microsoft、PluribusなどのネットワーキングOSや仮想化ソリューションを柔軟に選択できる「Dell Networking S-Seriesマネージドスイッチ」を市場投入した。

最大100GbEのマルチレートスイッチング対応「Z9100-ON」

 そして今回、より高速で高パフォーマンス、低遅延なデータセンター環境のニーズに応えるべく開発された、最大100GbEのマルチレートスイッチング(10/25/40/50/100GbE)対応のスイッチが「Z9100-ON」だ。100GbEを32ポート、追加で10GbE SFP+を2ポート使用可能。40GbEと100GbEの両方を使えるQSFP28ポートは、ブレイクアウトケーブルを使うことで、40GbEは10GbEに、100GBを25GBに分割できる。

Dell Networking Z9100-ONの仕様

 チップには、Broadcomまたはインテルの現在市場にある最新のものを搭載でき、OSについても前述のものを組み合わせられる。「エコシステムのパートナーは、今後さらに拡充していく」(草薙氏)。

Dell SDNパートナーのエコシステムは今後も拡充を目指す

 使用例として、草薙氏は異なる帯域スイッチのインターコネクトとして活用する方法と、サーバー間のインターコネクトとして活用する方法を列挙。後者について、「ビッグデータ解析で大量のやり取りがデータセンター内で発生するような環境に最適」と述べる。

 「1Uで100GbEで多ポート、さらにオープンネットワーキングというところが強み。異なる帯域も集約できることから、データセンターはもちろんのこと、WANや通信事業者向けにも展開できる」(草薙氏)。

 出荷について、Z9100はワールドワイドで今年後半を予定。また、米国では出荷済みの1GbE対応「S3048」と40GbE対応「S4048」についても、今年後半に順次出荷を予定している。

Dell Networking Z9100-ON本体

 価格は、「100GbEスイッチの業界平均価格はオプティクスとケーブルなしでポートあたり5000ドル程度だが、デルでは2000ドル以下、しかもオプティクスとケーブルを含む価格帯を考えている。業界の経済性を激変させるのは間違いない」(セクラー氏)。

 なお、Z9100は10日から開催される「Interop Tokyo 2015」の同社ブース内で展示される。

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