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デジタルマーケティングとIoT分野のデータハブへ

テクノロジースタートアップから脱皮するトレジャーデータ

2015年06月05日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月4日、トレジャーデータは2015年度の国内事業戦略に関する記者発表会を開催した。インターネットジャイアンツや日々増えるデータ系ベンチャーとの戦いでますますタフになり、スタートアップから脱皮しつつある姿を日本の報道陣に披露した。

パートナーや顧客も増加!リクルートグループも採用へ

 トレジャーデータはビッグデータの収集や保存、分析までをワンストップで提供するDMS(Data Management Service)「トレジャーデータサービス」を展開する。ログ収集ツールのFluentdの開発者であるソフトウェア・アーキテクトの古橋貞之氏、Hadoopユーザーグループの中心的なメンバーでもあるCTOの太田一樹氏、レッドハットなどでマネジメントを手がけてきたCEOの芳川裕誠氏の3人によってシリコンバレーで創業され、米国・日本を中心にさまざまなビッグデータ案件を手がけてきた。現在、保存されているデータは18兆、1社が所有するサーバー数が4000、そして1秒間に保存されるデータ件数は50万におよぶという。

トレジャーデータサービスのメリット

 登壇した米トレジャーデータCEOの芳川裕誠氏は、この1年でヤフーやパイオニア、クラスメソッド、ウフルなどとの業務提携を進めつつ、日本国内の顧客として、新たに電通、Retty、良品計画、リブセンス、GMOペパボなどがサービスを導入したことをアピール。今回、新たにリクルートグループ3社(リクルートライフスタイル、リクルートマーケティングパートナー、ブログウォッチャー)の導入も発表された。日米共にWeb事業者のみならず、エンタープライズの案件も増えており、案件自体が大型化してきたという。

米トレジャーデータCEOの芳川裕誠氏

 グローバル展開に関してはアジア担当を設置し、新たに韓国市場に参入。社員もグローバルで80名以上に拡大したという。また、シリーズBラウンドでの総額1500万ドルの資金調達を成功。ナスダック上場会社からのCFOを招聘し、日本法人の社長として三橋秀行氏がジョインしたことで、「テクノロジースタートアップがちゃんとした企業になった。成長を一気に加速する準備ができた」(芳川氏)という。

 ビッグデータの分野は、GoogleやAWSなどのインターネットジャイアンツのほか、毎日のように新しい競合が出てくる市場動向。これに対して、データ収集を得意とするトレジャーデータでは、複雑なデータパイプラインにも対応できる点が差別化ポイントになるという。また、スキーマレスで設計できるところも大きい。データが多種多様で、日々変化するといったパターンでも、とにかく迅速にデータ分析にこぎ着けられるところが勝ちパターンになるという。こうした強みを活かし、「エンドユーザー企業のデータ資産とトレジャーデータのスタックを組み合わせることで、インターネットジャイアンツと対抗できる」(芳川氏)という。

ユーザーデータとトレジャーデータのスタックで高い価値を実現

デジタルマーケティングとIoTにフォーカス

 後半はCTOの太田一樹氏が技術面での戦略を説明した。Hadoopのユーザーグループで長らく活動してきた太田氏は、トレジャーデータの創業時を振り返り、「データ分析に長けた人材を雇えない、プロジェクトに時間がかかる、初期投資が大きいという、お客様のペインを理解して、サービスや会社を作ったのがよかったと思っている」と語る。また、「お客様はデータ収集に6~7割の時間を費やしている。こうした泥臭い作業をやってくれる会社がいなかった」とのことで、ログ収集ツールであるfluentdが他社との大きな差別化につながっていると説明した。

米トレジャーデータCTOの太田一樹氏

 今後、事業の中心に据えるのは、「デジタルマーケティング」と「IoT」の2つの分野。デジタルマーケティング分野では、おもにパブリックDMPと相互接続し、トレジャーデータは専門のデータマネジメントに専念するという。これにより、個々のデータのサイロ化を打破し、さまざまなデータが集まる「ハブ」になる。「データの場所を問わず、ものの3~5分でデータ収集ができる世界を実現していきたい」(太田氏)という。

今後はBIツールのみならず、デジタルマーケティング系のプラットフォームとも連携する

 IoTに関しては、利用状況の把握や商品企画などの新たなマーケティング、Quality of Lifeの向上、製造現場のカイゼンなどを提案していく。具体的には北海道のアットマークテクノと協業し、Fluentdを組み込んだIoTゲートウェイとトレジャーデータサービスを連携させるソリューションを提供。3Dプリンターや風力発電タービンの予防保守・保全などの事例もあり、ビジネスに結びつくIoT事例を今後も増やしていきたいという。

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