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コンシューマー/SOHO向けには新領域のUPS製品を投入予定

中規模DCにも効率改善を、シュナイダーが今年のIT事業戦略発表

2015年05月18日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シュナイダーエレクトリックは5月15日、データセンター製品や小型UPS(無停電電源装置)領域を対象とする同社IT事業についての戦略発表会を開催した。新製品も発表している。

発表会に出席した、シュナイダー日本法人 代表取締役副社長 IT事業本部バイスプレジデント(VP)の松崎耕介氏

 同社 IT事業本部バイスプレジデントの松崎耕介氏は、コンシューマー市場も含む小型UPS、電源/空調設備などのデータセンターソリューション、コンバージドインフラ(統合インフラ)製品という各領域における、2015年の取り組み計画について説明した。

3Dプリンターなど新たなUPS用途を提案、家庭/SOHO向け販売強化

 まず小型UPS市場では、これまでのオフィス向けおよび家庭用PC/通信機器向けだけではなく、新たな用途へのUPS適用を提案し、コンシューマー向け/SOHO向け市場をさらに開拓していく。具体的な例として松崎氏は、産業用/家庭用3Dプリンター、カフェなどに設置される来店客向けWi-Fi機器、店舗やビルのネットワークカメラといった用途でのUPS活用の提案を挙げた。

急速に普及が進む3Dプリンターは精密機械であり、UPSによる保護が必要とアピール

 さらに新製品も投入していく。同日、USB充電ポート付きのサージ(雷)ガードタップ「P3U3-JP」を発表(5月29日より発売)したほか(関連記事)、着脱式モバイルバッテリーを本体内に組み込んだ家庭用ネットワーク機器向けUPS「BGE50ML-JP」、ACコンセントに直接接続できるモバイルバッテリーも日本市場に投入予定だ。

新製品も投入し、特にコンシューマー/SOHO向け市場への取り組みを強化していく

今月発売されるサージ(雷)ガードタップ「P3U3-JP」。タブレットが立てられるデザインで、3つのUSB充電ポートもサージガードで守られている。定価は4400円(税抜)

中規模データセンター、病院データセンターを主ターゲットに

 データセンター市場では、「エネルギーコストの高騰」や「データセンターの老朽化」が課題であると松崎氏は説明した。特に日本市場では、中小規模のデータセンターのエネルギー効率が改善されないままになっていること、国内データセンターでは“築20年以上”が面積比で4割以上を占めていることなどを課題に挙げる。同社は今年、中規模データセンターを主ターゲットとしたデータセンターのアセスメントやライフサイクル最適化提案(関連記事)などを進めていく方針だ。

昨年から提供している「データセンターライフサイクルサービス(DCLS)」など、データセンター管理運用の効率化を幅広いターゲットに提案していく

 特に、近年は病院/医療機関向けのデータセンター改善提案が好調であり、2015年は「400床以上の規模の病院にリソースを集中していく」(松崎氏)。ラックや局所空調、PDU、DCIMのトータルソリューションである「InfraStruXure」を用いた短期導入の提案を強化していくという。

 なお同日、シュナイダーのデータセンターインフラ管理(DCIM)ソリューション「StruxureWare Data Center Operation」において、NTTファシリティーズの空調制御システム「Smart DASH」との連携オプションを追加したことを発表している。サーバールーム内温熱環境の自動計測と学習機能、制御機能により、継続的に空調の最適化を図ることが可能になる。

 また統合インフラ製品「FlexPod」に、オフィス内設置可能な静音ラック「NetShelter CX」やUPS、PDU、電源管理製品、監視カメラ/センサーといったシュナイダー製品を組み合わせた“サーバールーム in a box”ソリューションの提供も強化していく。

 シュナイダーによれば、サーバー統合やクラウド移行によって既存の自社データセンター/サーバールームを閉鎖するケースなどで、設備工事なしで設置できるNetShelterラックの需要が増えているという。一般企業のオフィス内のほか、病院の検査室などに設置されるケースもあるという。

「FlexPod with Schneider Electric」は、統合インフラ製品にシュナイダーの静音ラックやUPS、PDU、監視製品を組み合わせ、オフィス内に設置できる“データセンター”を実現するソリューション

クラウドのような「保有ではなく使用」のビジネスモデルを

 松崎氏は、今後の事業戦略として考える方向性として「ITベンダーに限らないアライアンスの拡大」「クラウドのビジネスモデルのような、ビジネスモデルの変革」の2つを挙げた。

 後者について松崎氏は、シュナイダーが提供するようなデータセンターソリューションも、顧客は「保有したいわけではなく使いたい」と考えているのであり、たとえば従量課金制といった形でのソリューション提供も検討できるのではないかと発言した。

 「新規データセンターを構築したり、大規模な改修を行う場合、やはり多額のCAPEXが必要で、将来的にそれが回収できるのか? という悩みが顧客の重荷となる。コストの平準化が必要。従量課金型のほかにも、『(ソリューション導入で)電気料金を10%下げられたらお支払いいただく』ような“成功報酬型”の販売なども考えられる」(松崎氏)

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