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山谷剛史の「アジアIT小話」 第98回

「キャンディークラッシュ」もどきアプリに中国式モノ作りを見た!

2015年05月07日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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大体は似ていながらも
細かいところで違いが……

たまごブロックは、消すとヒナがかえり黄色ブロックがちりばめられる。その黄色ブロックを目標数消すとクリア

たまごブロックは、消すとヒナがかえり黄色ブロックがちりばめられる。その黄色ブロックを目標数消すとクリア

上へ上へ1ブロックずつウサギがあがっていく。それをできるだけ長い間阻止するステージ。これがまた運に左右されるが爽快感がある

上へ上へ1ブロックずつウサギがあがっていく。それをできるだけ長い間阻止するステージ。これがまた運に左右されるが爽快感がある

 中国的人気ゲームの開心消消楽は、世界的人気ゲームのキャンディークラッシュと基本同じである。3つ以上同じ色のブロック(かたやキャンディ、かたや動物)を縦ないし横につなげれば消える。

 一度に4つ消すと、縦ないし横一列消す特殊ブロック(スペシャルキャンディー)が現われる。また、5つ消すと同じ色のブロックをすべて消す特殊ブロックが、T字型かL字型に消すと周囲のブロックを消す特殊ブロックが出て、隣り合う特殊ブロック同士をぶつけるとさらに大きな効果を発揮するという点も同じである。

数ターンごとに消せないブロックに変化するブロック

数ターンごとに消せないブロックに変化するブロック

ステージを進めると、お邪魔ブロック(キャンディークラッシュではチョコレートに該当)をはき出すタコが登場

ステージを進めると、お邪魔ブロック(キャンディークラッシュではチョコレートに該当)をはき出すタコが登場

 下のブロックが消えると、上のブロックが落ちてくる点も同じである。ただし、下のブロックを消したとき、上から落ちたブロックで4つ、5つのブロックを作り、消そうとすると、キャンディークラッシュでは全部揃ってから消えるが、開心消消楽はブロックが落ちてきた順でどんどん消えていくので、若干ながらパズルの方法が異なり、連鎖がつながりにくい。

 キャンディークラッシュと開心消消楽ともに、ステージをクリアするごとに新しいギミックが出る。ステージ自体はコピーしていないようで、「何色のブロックを何個消す」といったものや「制限時間内に何点とる」といったステージクリア条件は共にあるが、キャンディークラッシュにある「特殊ブロックの同時消しを何回行なう」といったクリア条件は出てこない。

 開心消消楽はスタートした手のステージの頃は、ギミックもクリア条件もキャンディークラッシュと変わらない。バージョンアップのたびにステージが増えていき、新ステージにないギミックが次々に登場してくる。

ミスタードリラーのように下の白いブロックを消し、掘り進めるステージ

ミスタードリラーのように下の白いブロックを消し、掘り進めるステージ

 2つのゲームの最大の違いといえるのが、クリアすると出てくる、ミスタードリラーのように下に掘り進めるステージだ。この掘り進めるステージでは、特殊ブロックをいかに作って消していくかが鍵になるので、かなりの爽快感だ。なかなか目標のところまで掘り進めるのは難しいが、それにしても爽快感はあるのでやっていて苦ではない。

 また、開心消消楽には、キャンディークラッシュにはない、1日2回楽しめる特殊ステージがあり、これもまた爽快感があり楽しい。

 開心消消楽もキャンディークラッシュ同様、先に進むともはや運頼みの難易度のステージが登場するが、苦戦しても特殊ステージを遊ばせることで、爽快感を与え続けている。

イベント限定キャラらしい。消すと特殊ブロックをまき散らす。爽快感がある

イベント限定キャラらしい。消すと特殊ブロックをまき散らす。爽快感がある

時々、アイテムのバーゲンセールが行なわれる

時々、アイテムのバーゲンセールが行なわれる

 さらに、連休にはアイテムをばらまく連休特別ステージを用意するなど、キャンディークラッシュ以上にプレーヤーを楽しませる作りとなっている。

 先に進めないユーザーのために、アイテム購入や先のステージに進める課金システムが開心消消楽にも課されているが、アイテム購入のためのバーチャルコイン購入は6元(120円)からと、キャンディークラッシュに比べて特別安いというわけではない。

 一方で、アイテムを購入しない代わりに微博で繋がると、アイテムがもらえるといった措置もある。開心消消楽が人気となった背景には、ゲームとしてより楽しいことと、中国独自のSNSと連携して口コミで伝えるシステムがあって拡大したというのが理由にあがるだろう。

本家よりも楽しい内容
中国式モノ作りを絵にかいたようなアプリ

 最初は単なるモノマネのゲームをリリースし、アップデート後に新しいアイディアを投入し、独自路線に補正していく。これは独自に発展していくAndroid搭載機器やYouTubeモドキやSNSモドキなどのサービスも同じ発展を辿っており、中国式モノ作りが得意としているところ。

 ゲームでも中国人向けに特化してステージが進化していくことで、中国人ユーザーの心を掴んだのではないだろうか。意外にも、ゲーム自体も筆者自身遊んでみて、正直、開心消消楽のほうが楽しめたのだ。

 最近では「蝦米音楽人」というサイトが、開心消消楽のオリジナル音楽作曲コンテストを開催し、優秀者には賞金を与えることを発表。独自発展はしばらく続きそうだ。

 この記事はひょっとしたら中国語に勝手に翻訳されるかもしれない。中国では「日本でも山寨ゲームアプリが多数リリースされている。結構他人のことは言えない」としばしば報道されているので、この程度の記事(の翻訳)が出たところで、「だからどうした?」と突っぱねそうだ。

 なお、開心消消楽はGoogle PlayやAppStoreでも「Anipop」という名で配信されている(Android版iOS版) 。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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