このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「データセンターが抱える『コピーデータ』の課題を解決する」

新興ベンダーのアクティフィオが唱える“データ仮想化”とは

2015年05月01日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 「データ仮想化」という新たなコンセプトで、データ/ストレージ環境の大幅な効率化を実現するアクティフィオ(Actifio)。「『コピーデータ』という課題は世界共通」と語る同社社長のジム・サリバン氏と日本法人の高峰康氏に、具体的な技術背景や導入事例を聞いた。

米アクティフィオ社長のジム・サリバン(Jim Sullivan)氏。EMC、XIV(IBMが買収)、IBMなどで、通算23年におよぶストレージ業界での経験を持つ

「データ仮想化」を目的に創業、急速な成長を遂げる

――まずは、アクティフィオという会社の生い立ちと、ビジネスの状況について教えてください。

サリバン氏:アクティフィオは2009年、「データ仮想化(Data Virtualization)」のためのストレージ製品ベンダーを立ち上げることを目的に、米国ボストンで設立された。スタートアップとしてはかなり大規模な、約2億ドルの資金調達を受けている。

 創業直後からグローバルな事業展開を目指しており、現在は35カ国でビジネスを展開している。主要顧客層は、エンタープライズ企業とサービスプロバイダーで、現在の導入顧客数は600社以上に及ぶ。

アクティフィオの導入顧客数は現在600社以上。大規模企業、サービスプロバイダーで、売上比率はほぼ半々だという

 かなり早期から日本市場を重視しており、英国、ドイツ、オーストラリアへの展開と同時期の2010年末、日本法人(アクティフィオ ジャパン)を立ち上げた。現在、米国内とそれ以外の地域の売上は半々というバランスだが、日本は売上全体のおよそ10%を占める市場になっている。

――ビジネスの概況はわかりました。製品ラインアップはどのようになっていますか。

アクティフィオ ジャパンのソリューションアーキテクト、高峰康氏

高峰氏:ハードウェアアプライアンスの「Actifio CDS(Copy Data Storage)」、仮想アプライアンスの「Actifio Sky」という2種類の製品がある。

 CDSはデータセンターに配置し、SANストレージをバックエンドにつなぐ製品で、ストレージへの依存性は低い(主要ベンダーのストレージに対応)。さらに、Skyをプライベート/パブリッククラウドに配置することで、データセンター(オンプレミス)とクラウド環境間で簡単にデータ移行ができるようになる。

アクティフィオが提唱する「データ仮想化」とは?

――さて、先ほど「データ仮想化」という耳慣れないキーワードが出てきました。どんなコンセプトか、何を目的としているのか、具体的に説明していただけますか。

サリバン氏:これまでのデータセンターでは、アプリケーションの本番データをコピーした多数の「コピーデータ」が作られ、それが非効率性の原因となってきた。このコピーデータを「仮想化」することで、大幅な効率化を実現するのがデータ仮想化のコンセプトだ。

 たとえば、30年前からはテープバックアップ用に、15年前からはBCP/DR用に、さらにアプリケーション開発/テスト用、コンプライアンス用、アナリティクス/DWH用と、次々にサイロ化した環境が出来て、それぞれに本番データがコピーされている。

現在の一般的なデータセンターでは、さまざまな用途で使用するために本番データが丸ごとコピーされており、「無駄」と「複雑さ」が生じている

 こうして必要以上に本番データがコピーされた結果、ストレージ容量や作業時間を浪費している。加えて、それぞれの環境に対応したハードウェアやソフトウェアの導入コストも無駄になっている。

――データ保護、開発/テスト、アナリティクスと、データの利用目的がだんだんと拡大し、その都度個別に対応してきた結果、現在では無駄の多いかたちになっている、というわけですか。

サリバン氏:そのとおりだ。旧来のストレージベンダーならば、そのほうがより多くのストレージボックスが売れるので好ましいと考えるかもしれないがね。

 そこでアクティフィオでは、アプリケーションやOSから「ゴールデンコピー」(単一のマスターイメージ)を取得し、その「仮想的なコピー」を複数の用途向けに提供する技術を開発した。

マスターデータ=「ゴールデンコピー」を取得し、それに増分データを加えた「仮想コピー」を提供する仕組みにより、効率的かつ柔軟、迅速なデータ利用ができるようになる

 これにより、ストレージやソフトウェアに対する投資を大幅に抑えることができる。バックアップやレプリケーション、重複除外などの機能を統合しているので、システムそのものもシンプルなものとなり、運用管理も容易になる。

(→次ページ、技術的にかみ砕いて言うと……?

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ