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高橋暁子の「意外と知らない!? 業界ランキング」 第38回

音楽市場で定額制ストリーミングサービス躍進

世界でCDが売れているのは日本だけと言ってもいい状況!

2015年05月04日 09時00分更新

文● 高橋暁子 編集●ASCII.jp

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世界音楽市場ではデジタル>物理メディア

 国際レコード産業連盟(IFPI)発表の世界音楽市場調査結果によると、2014年の総売上高は、前年とほぼ同様(-0.4%)の149億7000万ドルだった。

 物理メディア(レコード及びCD)とデジタル(ダウンロード及びストリーミング)の割合は2013年には49%:43%だったのに対し、2014年は46%:46%と拮抗。売上高で見ると、初めてデジタル(68億5000ドル)が物理メディア(68億2000万ドル)をわずかに上回った

2013年と2014年における世界の音楽市場
2013年 2014年 差額
物理メディア 74億2000万ドル/49% 68億2000万ドル/46% -8.1%
デジタル 64億1000万ドル/43% 68億5000万ドル/46% +6.9%
演奏 8億8000万ドル/6% 9億5000万ドル/6% +8.3%
版権 3億2000万ドル/2% 3億5000万ドル/2% +8.4%
合計 150億3000万ドル 149億7000万ドル -0.4%

IFPI調べ


 デジタルでは、iTunes Storeなどの音楽ダウンロードサービスの売上高は前年比で8%減だった一方、Spotifyなどの定額制ストリーミングサービスは39%と大幅に増えた。

 定額制ストリーミングサービスのユーザー数は46.4%増の4100万人で、売上高は15億7000万ドルだった。つまり、デジタル市場の23%を占めるにまで増えているのだ。

 なお広告型音楽サービスは、YouTubeだけで10億人を超える月間アクティブユーザーを擁するが、YouTubeを含むこのようなサービス経由で得た音楽レーベルの収益は6億4100万ドルだった。これは、Spotifyなどの定額制ストリーミングサービス経由での収益の半分を大きく割りこんでおり、収益性に問題があると言わざるを得ない。

 定額制ストリーミングサービスは大きく伸びている。世界ではSpotifyの他、Appleが買収したBeats Music、YouTube Music Keyなど、様々なサービスが登場してきている。AppleはBeats MusicをiTunesに統合するという話もある。今後も、同市場がさらに拡大することは間違いないだろう。

 世界的に、音楽市場は物理メディアからデジタルに移行しつつある。未だに物理メディアが強い日本でも、定額制ストリーミングサービスが勢いを持ち始めている。定額制ストリーミングサービスの登場が、音楽ビジネスのあり方や我々の音楽の楽しみ方を大きく変えていくのかもしれない。

著者紹介:高橋暁子

 ITジャーナリスト、コンサルタント。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。小学校教員、編集者を経て現在に至る。最新刊『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎エデュケーション新書)の他、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』『図解 一目でわかるITプラットフォーム』(日本実業出版社)、『ネット業界 儲けのカラクリ』(中経出版)など著作多数。http://akiakatsuki.com/ Twitterアカウントは@akiakatsuki

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