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日本法人企画の金融業界向け端末「らくらくDX」も発表

会議室を仮想環境で!コラボレーションサービス「Cisco Spark」

2015年04月23日 13時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 4月23日、シスコシステムズは、クラウドベースの新たなコラボレーションサービス「Cisco Spark」を発表。旧Project Squaredに機能拡張を施し、組織の壁をまたいでセキュアでコラボレーションを可能にする。また、日本法人の企画した金融向け相談端末として「らくらくDX」も市場投入した。

初のエンタープライズクラスのコラボレーションサービス

 Cisco Sparkは2014年11月に「Project Squared」として発表としたもの。Webブラウザを通じてクリックするだけで、メンバーやトピック、プロジェクトごとなどの会議室を自由に開設できるほか、会議室に入ったメンバーは、メッセージの送受信やファイルの共有、閲覧が可能になり、音声やビデオ通話、画面共有も行なえる。一部ユーザーですでに活用されていたが、今回、それらのユーザーの声を反映して機能を強化。これまでにないセキュアな方法で、さまざまなデバイスを活用して、社内外の人たちとコラボレーションできるのが特徴だとしている。

新たなコラボレーションサービス「Cisco Spark」の機能一覧

 新たな機能としては、暗号化により、上位に新たな層を設けて、会議室の管理機能を提供する「会議室管理(ルームモデレーション)」、シングルタップでどのカレンダーからもCisco Sparkの会議室を設定し、メンバーを召集し、仮想ワークスペースでコンテンツやアイデアを共有する「カレンダー統合」のほか、シングルサインオンやディレクトリ同期の設定、利用レポートといった管理者用の機能を強化。さらに、Firefoxユーザーもプラグインなしで、ビデオやモニター画面を共有したり、Windows用に新たに用意されたクライアントにより、Cisco Sparkを開いていない時でも素早くアクセスできるような機能を追加した。また、サポート言語も拡大したという。

シスコシステムズ 執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当アーウィン・マッティー氏

 シスコシステムズ 執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当アーウィン・マッティー氏は、「シスコがコラボレーション分野に参入してから約15年を経過している。2年前にコラボレーション戦略を見直し、利用者、管理者、そして、技術におけるシンプル性を追求した。その結果、昨年、ビデオ会議ソリューションは、OS、デザインのすべてを一新し、さらに、これまでサイロ化していたWeb会議、電話会議などを統合し、Cisco WebExを投入した。今回のCisco Sparkは、Project Squaredでの半年間の経験をもとに進化を遂げたもので、新たな名称を与えた。会議を行なう際には、同じ会議室に人が集まって、それにより情報が集まり、意思決定される。その会議室の姿を、仮想環境においたのがCisco Sparkである。他のクラウドサービスと連携でき、APIの公開により、さまざまなアプリケーションが開発され、それらがあらゆる端末から利用できるようになる。初のエンタープライズクラスのコラボレーションサービスになる」と位置づけた。

会議に必要なすべての要素を仮想環境に

 Cisco Sparkは、AppStoreなどを通じて無償で提供するアプリのほか、有償版として、1対1の会議や、ファイル共有などの基本機能に加えて、会議室運営管理やシングルサインオンなどの管理者機能を提供する「Cisco Spark Message」、Cisco Spark Messageの機能に加えて、メンバー8人までの会議が可能になり、WebEx Meeting CenterまたEnterprise Editionが使用できる「Cisco Spark Message and Meet」を用意。企業個別のニーズに対応できるという。

 日本語版の発売は2015年第3四半期を予定しており、シスコの販売パートナーを通じて提供する。同社では、パートナー向けに「SaaSサブスクリプションリセールプログラム」を用意。販売だけを行なうリセラーや、販売と保守を行なうリセラー向けなど、それぞれに最適化した支援を提供する。

日本法人発の金融向け相談端末「らくらくDX」

 一方、同社では、日本発の金融業界向けソリューションとして、営業店向け相談端末「らくらくDX」を発売する。シスコのテレプレゼンス「Cisco DX80」、「Cisco DX70」のビデオ端末に搭載しているタッチパネル技術を活用するとともに、マニュアル不要で直感的な操作を実現するGUIのアプリケーションを提供。小型化した一体型端末としたほか、有線および無線対応としたことで、スペースが限定された相談窓口でも設置が可能だという。

「PCの資料共有だけでなく、役所の資料や公正文書などの紙の資料も、端末上で簡単に共有することができる」という。さらに、内線電話機能を搭載。グループ着信機能により、店舗からひとつの接続先ボタンを押すだけで、空いている専門スタッフに接続できるという。受話器をつけることで、秘匿性を持った通話も可能になる。

23型モニターを搭載したモデルと14型モニターを搭載したモデル

 Cisco DX70をベースとした14型モニターを搭載した製品(高さ37.7×幅35.3×奥行6.2cm、重さ3.4kg)と、Cisco DX80をベースとした23型モニターを搭載した製品(高さ51.2×幅56.5×奥行8.9cm、重さ7.1kg)の2種類を用意した。価格はそれぞれ3170ドル、4440ドルと、グローバル価格だけを発表。パートナー向けには順次、日本円での価格を発表するという。2015年7月から発売する。

シスコシステムズ エンタープライズ事業 金融担当部長 田上貴章氏

 シスコシステムズ エンタープライズ事業 金融担当部長・田上貴章氏は、「日本の金融機関では、東日本大震災以降、ビデオ会議システムの導入が進展してきた経緯があるが、昨今では窓口での相談やビジネスマッチングなどの顧客サービスにおいて、ビデオを利用しはじめている。こうした動きに対応したのが今回の製品。金融機関における相談端末としては、小型で持ち運びが便利であること、誰でもわかる容易な操作ができること、資料共有が容易であること、受話器の接続が可能であること、そして、センター側で複数台に振り分けた接続が可能であることが求められている。これらの声を製品に反映した」とアピールした。

 さらに、「シスコは金融業界のビデオ会議システムではナンバーワンのシェアを持っている。その信頼性を生かした製品。また、シスコの日本法人が企画した初めての製品であり、シンプルさの追求に重きをおいた。今後、グローバル展開も視野に入れていく。米国本社からも歓迎されているプロダクトである」とした。

 同社では、今後、金融機関のほかにも、社内の受付端末や手話用端末、デジタルサイネージのほか、医療現場での用途も想定しているという。

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