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オンライン施策のメリットを店舗のマーケティングに活かす

オムニチャネルの専門家コネクトムが仕掛ける「気持ちいい買い物」

2015年04月28日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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オプトの子会社であるコネクトムは、ロケーションベースのマーケティングやオムニチャネルなどの事業を手がける。リアル店舗のデジタル化を進めることで、オンラインとの連携を強め、「気持ちいい買い物」を追求するという。

「もう少しリアル店舗向けにできないか」という相談

 コネクトムは、2013年に総代理店契約を結んだ米Retailigence(リテリジェンス)のロケーションベースのマーケティングソリューションが軌道に乗ってきたことで、2014年3月に設立されたオムニチャネル・O2O専業の会社になる。モバイルマーケティングやソーシャルアプリの会社でB2Cビジネスを手がけてきた久米田晶亮氏が代表取締役社長を務めている。

コネクトム 代表取締役社長 久米田晶亮氏

 コネクトムはオンラインとオフラインのギャップを埋め、「多くの生活者に気持ちのよい買い物体験を提供すること」を事業目的とする。では、どこにギャップがあるのか? たとえば、EC事業者がプロモーション手段として日常的に使っているリスティング広告も、リアル店舗の事業者からは使いにくい。「ECと店舗はコスト構造が全然違う。(リスティング広告の)入札競争は公平にやらなければならないので、リアル店舗の事業者が勝つのは困難です。『完全にオンライン事業者向けに作られているので、もう少しリアル店舗向けにできませんかね』という相談をいくつも受けてきました」と久米田氏は語る。

 実際、価格だけではなく、たとえば試着してから服を買うとか、近くですぐに入手できるといったリアル店舗のニーズも根強くある。また、オンラインに在庫がないのであれば、在庫のある店舗を案内できた方がよいに決まっている。そのため、チラシや雑誌などでやってきた既存販促を、スマホで補完する店舗のマーケティング施策が重要になる。

 とはいえ、これを実現するために前提となるのが店舗データのデジタル化が必要。ここで役立つのが、ロケーションベースで店舗データを簡単にマーケティング活用できるRetailigenceのデータプラットフォームになる。

 Retailigenceでは、企業の商品やお店、在庫などのデータを格納できるデータベースを提供している。データベースに対してユーザーの位置情報がリクエストされると、位置情報にあわせて近隣の店舗の商品や在庫情報を検索し、その結果をユーザーに戻すという仕組みになっている。

 そしてRetailigenceと広告配信・アドネットワークのサービスを組み合わせることで、指定した店の周辺や統計データから導き出せる地域特性を元に特定エリアに広告を出すことができる。久米田氏は、「シンプルな例だと在庫の有無によって、ユーザーへの広告配信を制御できます。あるいは価格情報サイトから一番安い店舗の情報を引っ張ってきて、ユーザーの近くの取り扱い店舗を出すとかも可能です」と語る。

オムニチャネル推進部はできたけど……という会社は多い

 小売の世界ではO2Oやオムニチャネルといったキーワードが花盛りだが、東急ハンズやユニクロ、コメ兵のようなアグレッシブなマーケティング施策をスピーディに展開できる企業は少ない。店舗とオンラインで在庫が異なったり、在庫データベースのリアルタイム性が低かったり、既存流通業者との関係で思うように手が打てないなど、さまざまな課題がある。

 久米田氏は「外部コンサルのアドバイスで”オムニチャネル推進室”を設置したものの、具体的にはなにをすれば良いかわからないという悩みを現場は抱えています。また、チラシなどの施策を実行していた販促の部署は、なにかしらオンライン施策をやらなければというプレッシャーがあります。このように会社ごとに異なるオムニチャネルのステージに合わせて、適切な形で具体的に支援しますというのが、弊社のビジネスであり、ポジショニングです」と語る。数あるコンサルティング会社と異なり、特に現場のニーズにフォーカスしているのがコネクトムの特徴だという。

 コネクトムは単にツールを提供するだけではなく、プロモーション戦略の企画や広告の販売、メディア開発、運用まで含めて請け負っている。「ロケーションベースの広告を全国展開したら、セグメントが何万個という単位になってしまう」(久米田氏)とのことで、運用負荷が大きいからだ。顧客はまだ2桁台だが、最近はオムニチャネル推進室や販促系の部署などから声がかかってきているという。

 とはいえ、各社のオムニチャネルに対する取り組みもこの半年で大きく変わってきた。「最初は『オムニチャネルどうしましょう』というふわっとした相談だった。検討だけで実現まで進めないサブマリンフェーズで止まっている会社も多かった。でも、大手の事例が出てきて以来、いろいろな会社で検討が本気で進み始めている感じです」とのことで、この半年で具体的な相談が増え、商材自体の売上も上がってきたとのこと。今後も“オムニチャネルの専門店”として、さまざまな企業の施策を支援していくという。

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