インテル「Core M」(Broadwell-Y)でファンレスを実現
新しいMacBookには、インテルが2014年9月に発表した新しいCPUブランド「Core M」が搭載されている。これは開発コードネーム「Broadwell-Y」で呼ばれていたもので、TDP(熱設計電力)が4.5Wと非常に電力効率がよいのが特長だ。発熱が少ないためPCメーカー各社からCore Mを搭載したファンレスノートが開発され、発売されている。今回登場した新MacBookもファンは非搭載となっている。
MacBookのラインアップは、このCPUの性能とストレージ容量の違いによって全部で3つの選択肢に分かれている。CPUは下位から動作周波数が1.1GHz、1.2GHz、1.3GHz(ただし、最上位の1.3GHzはアップルストアのCTOでのみ選択可能)で、フラッシュストレージの容量は下位モデルのみ256GBで、そのほかは512GBだ。
アップルは搭載CPUの詳細を公表していないが、今回試せた1.1GHzモデルの場合、後述するベンチマーク結果によると「Intel Core M-5Y31」となっていた。これはベース動作周波数が900MHzのものなので、アップルはcTDPアップ(消費電力を上げること)により定格より高い動作周波数で動作させているようだ。にもかかわらずファンレスを実現できているのは、それだけMacBookの排熱が効率よいということなのだろう。
ただし、cTDPアップは処理速度が向上する反面、消費電力も上がるため、バッテリー駆動時間などが不利になる可能性がある。3月のメディアイベントでアップルは、MacBookのボディ内に段差をつくり、隙間なくバッテリーを詰めて従来の技術で内蔵可能な容量より35%大きいバッテリー容量を実現したと説明していたが、それにはこうした理由があったようだ。
なお、下位モデルも上位モデルもCPUとストレージ以外は共通の仕様になっており、いずれも標準で8GBのメモリーを搭載している。グラフィックスはCPU内蔵のIntel HD Graphics 5300。液晶ディスプレイは12型のRetinaディスプレイで、解像度は2304×1440ピクセルだ(スケーリング解像度は1440×900、1280×800、1024×640)。
インターフェースはUSB 3.1 Type-C端子とヘッドフォン端子がそれぞれ1基のみ。しかもUSB 3.1 Type-C端子は電源端子との兼用となっている。このほかに標準的なUSB端子や映像出力端子などは搭載していないため、周辺機器を使用するには別売のアダプターが必要になる。かなり思い切った仕様だが、アップルはiMacでフロッピーディスクドライブを、MacBook Airで光学式ドライブを他メーカーに先駆ける形で切り捨てた実績がある。今回もUSB 3.1 Type-Cの普及にかなりの自信を持っているのだろう。
本体サイズは、最厚部13.1mm、質量920gで、Mac史上最薄、最軽量。本体中央からエッジにかけてスリムになっていくデザインのため、スペックから想像するよりもずっと薄く見える。しかし、アルミユニボディのおかげで剛性は高いので、一般的な利用法ではたわんだり歪んだりすることはまずないはずだ。
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