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ASCII.jp働き方研究所 第3回

クラウドワークスのプロフェッショナルが語る新しい働き方

人はクラウドソーシングで食べていけるのか?4人の先人に聞く

2015年05月11日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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クラウドソーシングをブレイクさせるために必要なこと

大谷:最後、クラウドソーシングへの期待をお聞かせください。

良:個人がレベルを上げ、発注者が納得できるようなものをどんどん作っていけば、クラウドソーシングの認知度は上がっていくと思います。耳に入っているはずなので、内容がついていけば。

ねことろ:まだクラウドソーシングの存在を知らない人が多いと思うので、もっと認知度を上げてもらいたい。たとえば、私が通っているジムのオーナーのおじいさんはいつも手書きでPOPとか作っていて、それはそれで味があっていいんですが、文字が半分くらい読めないんです(笑)。だから、そういう仕事をクラウドソーシングで発注いたたきだいなと。

tenamonya:いろんな人に知ってほしいと思う反面、単価としてもっと上がって欲しいとは思います。それで食べていくために。「安くてできるからいい」だけでは、われわれも困るし、後に続く人が出てこない。

美羽:とにかく今のクラウドソーシングは、パーツの外注というか、副業というイメージがすごく強い。フリーとして独立するためのツールとして、クラウドソーシングを使ってもらい、もっと本業でやる人が増えるといいなと思います。やりようによっては全部外注することもできると思うんですよ。発注側がどういった仕事をやってほしいか明確にするだけで、専門職の人たちは寄ってくると思います。

「やりようによっては全部外注することもできると思うんですよ」(美羽さん)

大谷:発注側もいっしょ育てていこうよと。

美羽:はい。見えない相手と仕事をするという不安はあるとは思うのですが、発注者側ももっと「何がしたいか」を詳しく明記して、専門職をうまく使いこなして、お互いに満足の行く仕上がりになれば、クラウドソーシングはもっとブレイクすると思います。

日本技芸・御手洗の視点

「クラウドソーシングが拡がる鍵とは?」

 

クラウドソーシングという新しい仕事市場は、働き手には独立のハードルの高いフリーランスだけではなく、ダブルワークやサブワークといった働き方も実現することで個人の働き方の選択の幅を拡げる一方、企業もより適切な価格で仕事を発注できるようになるというふれ込みで登場し、市場として急成長を遂げている。クラウドワークス社も設立3年になる昨年、東証マザーズへ上場しており、市場の期待感は高い。

ただ、長年IT業界に身を置く一人として、今回の取材に当たっては事前にある懸念を持っていた。つまり「適切な業務評価が難しい市場においては、悪貨は良貨を駆逐するかの如く、全体のクリエイティブ業務に関する単価を下げてしまい、市場を収縮させてしまうのでは?」という仮説だ。

今回の取材の結果、懸念は半分当たっており、半分は予想を裏切った。確かに現場でクラウドワークに従事している方々からは、業務単価が下がっている指摘は少なからずあったが、一方で業務領域によっては高い単価を維持し、ダブルワークで時には本業よりも高い収入を得ている方もいた。

たとえば今までデザインという領域は、仕事の依頼方法も単価もわかり辛くて、発注者が頼み辛い領域だったが、単価が下がることによって今までデザインが当たらなかった領域にもデザインが拡がり、当該領域では比較的高い業務単価も期待できつつ、社会全体としてはより豊かな環境が出来るかもしれない。

今後のクラウドソーシングの市場拡大は、新しい仕事の領域を拡げ続けられるかどうかにかかっていると言えるのではないか。クラウドワークスは受注者側の業務に詳しくなく、外注する仕事を切り分けられない発注者のために、人を派遣して受注側に仕事を出しやすい形に整理するサービスというものの提供を始めている。クラウドソーシング自体が過渡期の中で、発注者と受注者、そして市場そのものの協力で新しい業務領域を見いだせるかが、より多くの人が新しい働き方を採用できるかどうかの鍵になるだろう。

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