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包括的なアナリスティック製品を提供するベンダーへ

Qlik Senseを機にマルチプロダクト戦略に舵を切るクリックテック

2015年04月17日 07時00分更新

文● 大河原克行

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4月16日、BIツールベンダーのクリックテック・ジャパンは事業戦略説明会を開催。2014年12月に同社社長に就任したジェイ・パウエル社長が新製品の「Qlik Sense」とマルチプロダクト戦略を披露した。

Qlik Senseの投入で統合的なアナリスティックプロバイダーへ

 クリックテック・ジャパンは、米Qlik Technologies Inc.の日本法人。米Qlikは、1993年からデータディスカバリー製品「QlikView」を発売。世界100カ国で展開し、約3万4000社が同社製品やサービスを利用しており、約1700社のパートナー企業を持つ。

 2014年10月には、オープンデータとのAPI連携強化に向けて、全世界の統計データを提供するDataMarketを買収。12月には、VizubiのNPrinting製品ラインを買収。QlikView向けの自動レポート生成機能として提供する一方、2015年1月には、開発者用のコミュニティサイト「Qlik Branch」を開設している。

 さらに、今年2月には、セルフサービス型データビジュアライゼーション製品である「Qlik Sense」を新たに市場投入し、マルチプロダクト戦略に踏み出した。

セルフサービス型データビジュアライゼーション「Qlik Sense」の画面

 クリックテック・ジャパンのジェイ・パウエル社長は、「さまざまなソースからデータを収集でき、ニーズに応じて視覚化できるのがQlik Senseの特徴。Qlik独自のデータインデックスエンジンであるQIXエンジンを活用しており、ガバナンスを効かせた形で企業全体に広げ、新たなデータ視覚化ニーズに対応することができる。難しい操作はしたくないというカジュアルユーザーのほか、BIや分析も意識したことがないような潜在利用者にアプローチできる製品だと考えている」とした。

クリックテック・ジャパン 代表取締役社長のジェイ・パウエル氏

 クリックテック・ジャパン シニア・エンタープライズ・アーキテクトの濱野正樹氏は、「個人ではセルフサービス型の視覚化と探索が可能になり、グループでは知識や発見の共有が可能になる。また、中央で管理ができ、ガバナンスを維持したデータ分析プラットフォームを提供できるほか、連想技術と柔軟なカスタマイズを可能とするWeb技術を提供。この4つがQlik Senseの特徴になる。連想技術により、必要な情報を提供できる。結果だけでなく、経緯についても表示できる。また、プレゼンテーションの場においても、参加者の要求に応じて、リアルタイムで項目を変更し、チャートを表示するといったことも可能。また、PCで作成したデータは、スマホでも利用できる」などとした。

クリックテック・ジャパン シニア・エンタープライズ・アーキテクトの濱野正樹氏

 また、パウエル社長は、今年6月にはQlik Senseのメジャーアップグレードを行なうとともに、Qlik Senseのアプリケーションをクラウド上で共有する「Qlik Cloud」の提供を開始する予定も公表。年内には、QlikViewのメジャーアップグレートを提供する計画も明らかにした。

 さらに、連想型QIXエンジンを組み込み型の分析プラットフォームとして提供するために、OEMパートナーの拡充にも乗り出すという。現在、日本では、アイウェイズ、エムウィンソフト、オーリック・システムズをはじめとする16社にOEM供給しているという。「Qlik Senseの市場投入により、これまでのBIソフトウェアベンダーの立場から、包括的なアナリティクスソリューションを提供するプロバイダーへの変革を目指す」(パウエル社長)。

日本でも前年同期比で2桁成長を実現

 一方、日本においては、今年4月に、東京オフィスを拡張。新たにコンサルティングサービス部門を設置するとともに、今後の製品開発に向けて、アジア地域および日本企業のニーズを吸い上げるためのプロダクトバリデーション(製品検証)部門を日本に設置。製品化に反映させる体制を整えていることを強調した。また、製造、金融、医薬などの市場セグメント別の営業体制を拡充する考えも示した。

 パウエル氏は、「クリックテックは、日本を重要な市場に位置づけており、日本での成長機会も大きいと考えている。それに向けて、増員や日本法人本社オフィスの拡充をはじめとした戦略的投資を行なっていく。コンサルティングサービス、プロダクトバリデーション、営業部門を強化し、国内企業が抱える課題に対して、より緊密な支援を提供。日本では第1四半期において、前年同期比で2桁増の実績となっており、将来的には、全世界で10億ドルの売上高を目指している」とした。

 「コンサルティング部門を通じて、コンサルティングサービスやトレーニングサービスを販売。プリセールスやポストセールス、エンタープライズアーキテクトといった人材を拡充することで、顧客のカスタマーエクスペリエンス向上を目指す」という。

 同社では、顧客のニーズに応じて、パートナー販売と直接販売との両輪による販売体制を整える考えだ。現在、富士通やアクセンチュア、NTTデータなど23社が、販売パートナーとして契約。「今後、販売パートナーは拡充していくことになる」という。そのほか、教育機関向けのアカデミックプログラムを展開しており、日本では、久留米大学の医療サービス統計論で同プログラムが活用されている例も示した。

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