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時計をめぐる四方山話 ― 第5回

細かい傷が気になるならステンレスチール!

Apple Watchをケースの金属特性で選ぶ

2015年04月17日 09時00分更新

文● Watch Your Watch 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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 腕時計の世界でケースといえば、ムーブメントを包む時計の筐体のこと。Apple Watchのケース素材は主に3種類。Sportコレクションはアルミニウム、Apple Watchコレクションはステンレススチール、Editionコレクションは18Kイエローゴールド、ローズゴールドをラインアップする。ゴールド、ステンレススチールはともかく、アルミはあまり馴染みがないという方も多いのではないだろうか。

 はるか昔、懐中時計をオーダーする人はお金持ちに決まっていた。金に糸目をつけず自身の地位にふさわしいものを求め、時計師たちはケース素材にゴールドを惜しげなく用いてそれに応えた。柔らかく加工しやすいゴールドは時計づくりには最適な素材。しかも錬金術がまだリアルだった時代、金は「完全なる金属」であり貴金属としての価値だけではなくマジカルな意味をも備えた素材だった。

 かくして王侯たちが作らせる宝石やエナメル装飾を散りばめた懐中時計は大抵がゴールドケースであった。懐中時計が実用品として普及すると、銀や真鍮もケース素材に用いられるようになる。ポケットの中ではそれで十分だった。しかし汗や水に曝される腕時計には、もっとタフな素材が求められた。金属の腐食は時計が傷むだけではなくアレルギーの原因ともなる。また露出した腕時計は細かい傷がつきやすく、硬質な素材でないと美しさを保てない。

強度と価格、汎用性が高いステンレスチール

 腕時計に最も適した素材のひとつ、ステンレススチールは耐蝕性・強度・加工性・価格の点で非常に優れている。時計によく用いられるのはサージカルステンレスとも呼ばれるSUS316L。金属アレルギーのリスクが少ないうえに光沢が美しい素材だ。天才時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタ氏が手掛けた数多くの名作はステンレスが高級時計の外装としても貴金属に劣らない可能性を示した。

 傷に強く軽い装着感のアルミ合金も、実は腕時計によく用いられる素材だ。意外なことにアルミニウムの時計は、一般的なステンレスよりも表面硬度が優れている。アルミニウム自体は強くはないが、表面を陽極酸化皮膜で被うアノダイズ処理でステンレス以上の表面硬度が得られるのだ。ブルガリが1998年に発表したディアゴノ・アルミニウムが有名だが、スウォッチの子ども向けブランド、フリックフラックは1987年からアルミニウム合金ケースのモデルをリリースしている。

 他にも腕時計の世界ではチタン、セラミック、カーボン、プラスチック系樹脂、さらにはブロンズ、ガラス、天然石、銘木など多様な素材がケースに用いられている。長期間の耐蝕が難しい素材の場合は肌に密着するケースバック(ケースの裏側)の部分の素材をステンレスやチタンに変える場合が多い。ムーブメントの動きを裏から楽しむことができるガラスも人気が高いケースバック素材だ。

 さまざまな素材が揃う現在でも、ゴールドは高級時計の代表的な素材。ゴールドは貴金属の価値が高いことはもちろん、物質としての安定性が高いためアレルギーの心配がほとんどない。他の素材に比べて重たいのだが、時計業界の大先輩たちは口をそろえて「一度着けたらわかる! ゴールドの腕時計は着け心地がいい!」とおっしゃる。その比重の高さゆえか、アレルギー性の低さゆえか、あるいは素材の持つ魔性ゆえか。

 あなたがどのApple Watchを選ぶかを迷われているならば、まずはステンレスをおすすめしたい。ミラーフィニッシュの曲面を多用したデザインは、ステンレスによく映える。ビジネススタイルにもマッチすることだろう。アクティビティのときも手放したくないなら、軽い装着感のアルミニウムがおすすめだ。しかし資金に余裕があればゴールドをお選びいただきたい。一度つけたらやめられないという装着感を、是非ご自身で確かめられることをおすすめする。

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