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クラウドを使って手軽に将来予測「Amazon Machine Learning」

アマゾンの“おすすめ”で鍛えた機械学習技術、AWSがサービス化

2015年04月11日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 Amazon Web Services(AWS)は4月9日、マネージド型の機械学習サービス「Amazon Machine Learning」の提供を開始した。多額のインフラ投資をすることなく、AWSのストレージやデータベースに蓄積された大量のデータを使って、簡単に将来予測を実行できる。

AWS公式ブログでは、オンラインバンキングのサンプルデータから「この顧客は新サービスに登録しれくれるかどうか」を予測する予測モデルの作成例が紹介されている

 機械学習(ML:Machine Learning)は、大量の過去データを「学習用データセット」として利用することで、ビジネス判断を支援する結果予測の方程式(予測モデル)を作成する技術。人間が予測モデルを作成する場合、数学統計やデータ分析に対する深い知識を持つ人材や、予測モデルを反復的に実行/修正する作業(トレーニング)が必要となるが、機械学習では大量のデータを自動処理することで、こうした負担を大幅に軽減する。

 機械学習技術は、たとえば金融取引における不正トランザクションの検知や、商品の需要予測、カスタマーサポートの改善、ターゲティング広告といった、幅広い用途が考えられる。クラウドを利用した機械学習サービスとしては、すでにマイクロソフトが「Microsoft Azure Machine Learning」を提供している(関連記事)

 Amazon Machine Learningでは、ウィザードに従って操作していくことで、機械学習や、作成した予測モデルに基づくバッチ処理(バッチ予測)を実行できるようになっている。「Amazon S3」や「Amazon RDS」、「Amazon Redshift」と統合されており、これらのストレージ/データベース上にあるデータをソースとして機械学習が実行可能だ。

学習データを可視化するツールも備えている。あらかじめ欠損値や無効値を学習対象から外すことで、より精度の高い予測モデルが作成できる

 AWSの発表によると、アマゾンではAmazon.comの商品おすすめ機能や発送商品の梱包、物流などの現場で機械学習に長年取り組んできた経験があり、今回のAmazon Machine Learningも、そうした現場での予測モデルの構築、体験、拡張を通じて予測アプリケーション機能を開発してきた過程から学んだあらゆる結果の産物である、と説明している。

 Amazon Machine Learningは、米国東部(北部ヴァージニア)リージョンで提供を開始している。

 利用料金は、学習データ分析およびモデル作成/トレーニングが1時間あたり0.42ドル、バッチ予測処理が1000件あたり0.10ドル、リアルタイム予測処理が1件あたり0.0001ドル(さらにメモリ容量に応じたコストがかかる)。なお、S3、RDS、Redshiftの利用料金は別途。

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