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今年も話題のスマホがたくさん発表! MWC 2015レポ ― 第32回

Androidで収益が出ないのはPCと同じ スマホビジネスの課題を指摘するLG

2015年04月02日 21時45分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 スマートフォン市場が成熟に向かい、Androidベンダーでも明暗が分かれつつある。各社がスマートフォンでのシェア争いと同時に進めているのがウェアラブルだ。

 台頭する中国ベンダーに対し、LGはどのように対抗するのか? 3月始めに開催された「Mobile World Congress 2015」でグローバルでコミュニケーション部門を統括するKenneth Hong氏に、Androidスマートフォン、スマートウォッチなどについて話を聞いた。

MWCでは“曲がっている”スマホの第2弾「LG G Flex 2」も展示されていた

グループ内での連携がスマートウォッチにおける強味
まずはユーザーに必要性を感じさせることが重要

――今年のMWCでは各社のブースでスマートウォッチの存在感が増しているが、LGのスマートウォッチ戦略は?

 スマートウォッチはLGにとって、IoT戦略の一部となり、エアコン、TVなど他の製品との接続を意味する。とはいえ、まだ市場は始まったばかりで、なにができるのかを模索しているところだ。

 LGは家電、TV、携帯電話などの事業を持っており、これらとの統合が可能だ。スマートフォンのみを開発する競合と比較すると有利であり、この立場を生かしたい。

今回LGのグローバル展開について、お話をうかがったKenneth Hong氏

――他の事業との統合のためにやっていることは?

 ウェアラブル製品はモバイル事業部のもとにあり、スマートホーム、スマートカーはスマートビジネス事業部のもとにある。製品そのものはホームエンターテインメント、ホームアプライアンス&エアーソリューション、モバイルコミュニケーションと異なるが、ソフトウェアはスマートビジネス事業部となる。

左から一見普通の時計に見える円形の「LG Watch Urbane」、そしてLTE対応の「LG Watch Urbane LTE」

 社内でホームアプライアンス、モバイルコミュニケーションズなどの部門を超えたミーティングを定期的に行ない、どのように統合できるかを話し合っている。(LG Electronicsの)親会社のLG Corpにも部門間のシナジーのためのチームがある。LG Electronics、LG Display、LG Chem、LG InnotekなどもIoT機能が関係してくる。将来戦略的に重要になることをにらんで、約2年前から取り組んでいる。

 つまり、LG Electronicsが単体で展開するのではなく、グループレベルで統合されている。大企業になると部門単位での連携が難しくなることが多いが、これは他社との違いだろう。

MWCで発表された新スマートウォッチ「LG Watch Urbane LTE」。WebOSを搭載し、アウディとのコラボモデルも

――スマートウォッチが普及するためにはさまざまな障害がある。どのようなことに取り組んでいるのか?

 厚さを含めて形が大きい、バッテリー持続時間が不十分などいくつかの障害がある。

 バッテリーは最大の障害と言ってもいい問題だ。ほとんどのウェアラブルが1日1回充電が必要だ。われわれはLG Chem(LG科学)と密接に協業してバッテリーの改善に努めている。ワイヤレスは充電速度が遅いので、現時点では万能の解決策とは思っていない。

 画面のサイズも、入力という点では障害になる。だが、通知をチェックするという点では問題ではない。入力については、音声かソフトウェアベースのキーボードとなるが、音声入力は英語などは十分なレベルになってきたが、世界にはたくさんの言語がある。入力予測もまだ完璧とはいえない。今後改善が進むだろう。

 一方で、私個人としてはスマートウォッチでなにか入力をしようとは思わない。スマートウォッチはメッセージの受信をチェックするのには便利だが、返事をするのはスマートウォッチではない(というように使い分けている)。実際、Android Wearも入力機能を提供していない。

バッテリーやどういう用途でユーザーに必要性を感じてもらえるかはスマートウォッチの大きな課題だ。たとえば文字入力は現実的ではないだろう

 我々が最初のスマートウォッチ「G Watch」を発表したのは2014年6月。まだまだこれからだ。今後小型化がすすみ、ファッション性が出てくるだろう。

 だが、最大の課題はユーザーが必要性を感じていないことだと見ている。なぜスマートウォッチが必要なのかをベンダーは訴求できずにいる。例外がフィットネスなど健康意識の高い人で、この人たちはスマートウォッチをつける意義を見出している。現在、フィットネスはスマートウォッチの最大の潜在ユーザーとなっている。ここではメインストリームになるだろう。

――普及はいつ頃と考える?

 1〜2年もすれば、珍しいものではなくなっているだろう。だがこれはスマートウォッチに限定しての話で、それ以外のメガネ型などのウェアラブルは難しい。装着すると普通に見えないからだ。

スマホ市場はPCと同じ状況に
似たような製品をどこも出している

――スマートフォンに話を変えます。カーブ型の「LG G Flex 2」をCESで発表しました。初代(「G Flex」)からの改良点、学んだことは? 曲がるスマートフォンの市場性をどうみている?

 MWCではG Flex 2のグローバルローンチを発表した。初代との違いは小型化で、画面が6型から5.5型になった。動画や写真を見るのには画面が大きい方がいいと思ったが、ユーザーから大きすぎるというフィードバックを受けて、最新機種では小さくした。画面解像度は(初代の)HDからフルHDに改善した。傷を治すスクラッチリカバリーも改善し、10秒もするとキズが消えるようになった。

 カーブについてだが、携帯電話が登場する前、家庭にある電話はみな顔になじむカーブ型だった。カーブは実は自然なものであって、新しいものとは思っていない。むしろ基本に返ると言える。

 携帯電話がフラットである理由は、技術的な制限からであってユーザーが望んだからではない。(カーブ型は)ポケットに入れやすいし、耳に当ててもよいし、カーブ型はコンシューマーが持ちたくなる形だと思っている。

――Androidベンダー間の競争が激しくなっている。収益を上げるのが各社の課題になっている。

(Windowsが独占する)PCと同じで、メーカーの収益性が低いのはAndroid特有の問題ではない。LGはAndroidスマートフォン事業で収益を出している。だが、収益を上げていないところもたくさんある。同じような製品がたくさんあり、どのメーカーも似たような製品を出している。

左から「LG Joy」「LG Leon」「LG Spirit」「LG Magna」。いずれもミドルレンジ機だが、同じ色展開を採用するなど、意図的に似せた外観にしているとのこと

 つまり、コンシューマーは特定のブランドに結びつきや愛着を感じていない。差別化をどのように図るのか、LGを選んでもらうにはどうすればよいのかのブランディングの問題だ。もしかして5年後にはAndroidに変わるOSが独占的立場にあるかもしれないが、ベンダーが差別化を見出せなければ同じ問題が残る。

 LGはデザインで勝負している。LG Flex Gシリーズはその1つの例といえ、他社が作れないものを作っている。

――Huawei、ZTEなどの中国ベンダーがハイエンドにシフトしている。またシェアではXiaomiが大躍進している。

 LGは常にハイエンド、それにミッドからローエンドと2層戦略で展開してきた。

 現在注力しているのは、ハイエンドの機能やデザインをミッドレンジに取り込むこと。ミッドレンジにプレミアム感を出すようにしている。ここでは「Joy」「Leon」「Spirit」「Magna」があり、それぞれに違うが類似点もある。意図的に同じような外観にしている。

 ハイエンドでは4月にフラッグシップの発表を行う予定だ。期待してほしい。

 シェアはもちろん重要だが、それだけではない。中国ベンダーのシェアが高いのは自国市場が大きいから。我々の自国市場は小さい。シェアは高いに越したことはないが、収益が出ていることが大切だ。収益がなければイノベーションに投資できない。イノベーションがなければ顧客をひきつけることができず、長期的に生き残れない。

 生き残りに必要なものはイノベーションと考えている。そのためにきちんと収益を上げていくことを大切にしており、それに成功している。

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