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科学論文界に蔓延する自動論文ジェネレーター対策

シュプリンガー、“でたらめ論文”検出プログラムを公開

2015年03月30日 15時53分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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でたらめ論文を検出するSciDetect

 シュプリンガー(Springer)は3月23日、仏ジョゼフ・フリエ大学と共同ででたらめ論文を検出するソフトウェア「SciDetect」を開発・オープンソースで公開した。

 シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディアは科学技術論文を掲載する出版グループ。SciDetectは論文のテキストを検索し、埋め込まれたXMLやPDFのリンクを参照、文章自体の正当性(少なくともでたらめでないか)を判断する(閾値は設定できる)。

 これは「SCIgen」などの自動論文ジェネレーターへの対抗措置。2005年にMITの学生が作成したソフトSCIgenは、一見それらしく見える(内容はまったく意味をなさない)科学論文を自動生成する。このでたらめ論文に気づかずSpringerを始めとした複数の大手科学ジャーナルがSCIgen作成の偽論文を掲載したことで大きな問題となった。偽数学論文、偽物理論文用ジェネレーターなども存在し、現在でも年に何本もジェネレーター作成の論文が投稿され、科学論文出版社を悩ませている。

 この種のでたらめ論文は「ソーカル事件」と呼ばれる有名な事件があり、科学用語を羅列した論文に編集者を含めて人はいかにだまされやすいか、または自然科学・人文科学の扱う範囲が広く深くなりすぎて編集者の査読では偽論文をチェックしきれない(ソーカル事件は哲学論文を装っていた)という教訓となっている。

 SciDetectはGNUライセンスのオープンソースとして動作、Gitプロジェクトとして公開されるほか、軽量スタンドアロン版も用意されている。

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