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これまで19コアだった光ファイバーの限界を突破

情報通信研究機構、10ペタビット/秒伝送可能な36マルチコア光ファイバーを開発

2015年03月27日 18時09分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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従来限界とされた19コアを大きく上回る36コア光ファイバーを開発

 独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は3月26日、36本のコアを持つ新型光ファイバーを開発した。1本の光ファイバーで108空間チャネルを持ち、毎秒10ペタビットのデータ伝送が可能となる。

 一般的に、光ファイバーのガラス繊維1本に1種の光を通すのではなく、1本のファイバー(コア)にいくつものデータを通すマルチモードで動作させている。マルチチャネルには1コアの直径を増やす必要があるが、複数のコアを束ねて1本のファイバーにするマルチコアではコアから漏れた光が別のコアの信号に干渉するため、これまでマルチモード/マルチコア光ファイバー19コアが限界とされていた。

 NICTでは横浜国大と住友電工と共同で「36コアマルチモードファイバー」を設計、住友電工が製造を行った。36のコアはそれぞれ3モード伝搬なので、1本の光ファイバーで108空間チャネルを持つことになる。

今回開発した空間結合装置の方式

 従来の通信機器を36コアマルチモードファイバーを接続する空間結合装置も新たに開発、信号の光変換と合波をひとつの光学系で可能とし、部品の大幅削減を実現した。

 NICTでは伝送実験を実施し、5kmで距離での通信に成功している。この光ファイバーに最先端の光変復調技術やデジタル信号処理を適用すると、10ペタビット/秒の伝送が可能となるという。

 NICTでは、コアの均一性やモードのコントロール、信号干渉の低減などを課題として研究開発を進めるとしている。

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