なんとなくでも使えるSmart Drums
3つめは「Smart Drums」。画面左側のドラムパーツリストから任意のパーツを選んで、画面中央の8×8のXYフィールドに配置していくだけで、リズムパターンが仕上がってしまうという便利なリズムボックスです。
基本的なキットはエレクトリックドラムが3種類と、生のドラムが3種類の全6種類。選択したキットごとに6~10個のドラムパーツと、XYパッド内のパターンデータが切り替わります。実際にひととおりのパターンを鳴らして、ある程度把握すればどのキットもそれなりに使えると思います。
画面左下のサイコロアイコンをタップすると各パーツをランダムに自動配置してくれるので、なんとなくバックビートが欲しい、というときにちょっと使ってみるのもアリです。
難しいストリングスも簡単にしてくれるSmart Strings
最後は「Smart Strings」。弦楽五重奏による分厚いコードワークや各パートの演奏レンジに応じたリアルなサウンドが簡単に扱えます。
コードの書かれたバーコントローラーのレスポンスが独特で、タップするとピチカート音が鳴り、コントローラー上を縦に擦るように触るとロングトーンのコードが鳴り響きます。
音色セットは4パターンで、Autoplayの内容と各楽器のサウンドバランスが変わる以外はあまり目立った違いは感じられません。コードの響きがとてもきれいなのは驚きました。サステインの処理もよく、ピチカートで鳴らしたときの音の消え際もかなり自然です。
弦楽五重奏のアンサンブルを考えるのはとても楽しいですが、各パートの音域を把握しておくなど、基本がきちんと理解できていないとうまく組み上げるのは難しいもの。理論的な部分などで悩まずに、分厚く綺麗な五重奏が鳴らせるのは素晴らしいと思いました。
コストパフォーマンスのよさは圧倒的
500円のアプリとは思えないほど充実した機能と、シンプルな操作性はさすがGarageBand。
ちょっとしたアイデアを練る程度ならば、画面上のキーボードやドラムでの打ち込みもそれなりに使えると思います。またSmart DrumsやSmart Stringsは、楽器がまったくわからない人でも演奏を楽しめる素晴らしい機能だと思います。
ギターやシンセの専門アプリと比較すればさすがに分が悪いものの、これだけたくさんの音を様々なスタイルで味わえるコストパフォーマンスは圧倒的でしょう。
とりあえず何でもいいから音を出したい! という欲求には十二分に応えてくれると思います。
個人的には、スタジオでのセッション中にいろいろなキーボードやリズムパターンのサンプルを鳴らして、その時々の曲のイメージやアンサンブルにハマりそうな楽器を大雑把に探ってみるのに使えそうだと考えています。
どの楽器を使っていても、その楽器トラックの録音がすぐにできるのを活かして、思いついたアイデアをどんどん重ねてちょっとしたループを組んでみるのも楽しそうですね。
藤村 亮(ふじむら りょう)
1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。
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