マイクロソフトは、3月18日、19日の2日間、中国・深せんにおいて、ハードウェア関連イベント「WinHEC」を開催。「Windows 10」の発売を当初計画よりも前倒しして、今年夏に発売すると発表した。
Windows 10は、全世界190カ国に向けて111言語で用意されることになる。
非正規版のWindowもアップグレード可能
今回の発表内容で注目されるのは、海賊版といわれるような、非正規版のWindowを搭載したデバイスでもWindows 10へとアップグレードできるという点だ。
マイクロソフトのOS部門の責任者であるOperating System担当エグゼクティブバイスプレジデントのテリー・マイヤーソン(Terry Myerson)氏は、「“ある要件を満たすPC“においては、正規品か非正規品かを問わずWindows 10にアップグレードできる」と語っている。
一部報道にあるように、中国国内で利用されているWindowsのうち75〜80%は非正規品という見方も出ている。これらユーザーをWindows 10に移行させ、新たなWindowsの広がりを加速するための施策とみることもできる。そして、多くのWindowsが新たな環境に移行することで、それらをベースとしたアプリやコンテンツの販売拡大、利用促進も見込まれる。
だが、この施策は、非正規品の利用率が高い中国市場だけが対象となるものではない。全世界で同様の施策が行なわれる。当然、日本においても非正規品に対するWindows 10のアップグレードは行なわれることになる。
「ある要件を満たすPC」とは?
この施策の中でのポイントは、「ある要件を満たすPC」という点だ。
この要件について、マイクロソフトは現時点では明らかにはしていない。ただ言い換えれば、“非正規品を搭載した、すべてのPCが対象になるわけではない”のは明らかだ。
また、Windows 7やWindows8.1などの正規品ユーザーは、Windows 10に無償でアップグレードできるが、非正規品については無償であるかどうかは現時点では明らかにはされていない。
さらに、技術的には非正規品からアップグレードされたとしても、もともとが非正規品であることは明確にされており、アップグレードしたWindows 10を継続的に利用するのであれば、正規のライセンスを購入するなどの条件が付加する可能性も出てきそうだ。
つまり、「非正規品の利用者が得をするような施策ではない」ということは確かなようだ。
非正規のWindowsユーザーに対して、まったく制限がなく、しかも必ずしも無償でWindows 10が提供されるものではないという点だけは誤解がないようにしたい。
そして、あくまでもこのアップグレードは、ユーザーの意志に委ねられるという点だ。マイクロソフトが強制的に実施するものではなく、むしろ、仕掛けを用意する立場といえるだろう。
ただ、第136回「日本のPC市場を変革するCTE(チャイナ・テクノロジー・エコシステム)」で触れたように、CTEなどの取り組みを通じて、Windows 10を搭載した低価格のデバイスが登場することになる。
正規Windows搭載の低価格デバイスが広がれば、非正規製品に対するWindows 10へのアップグレードプログラムを用意しなくても、おのずと正規Windowsを活用するといった動きが出てくることになるかもしれない。
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