今回のことば
「試練を乗り越え、丸20年をかけて、累計生産2000万台を達成した。これに満足することなく、3000万台、4000万台に向けて一層努力する」
(富士通アイソテックの岩渕敦社長)
富士通のデスクトップPCの生産拠点である福島県伊達市の富士通アイソテックは、デスクトップPCの累計生産2000万台を達成した。
富士通アイソテックは、1957年2月に、富士通とクロサワの共同出資により、黒沢通信工業として東京・蒲田に設立。1965年には本社および工場を東京・稲城に移転。現在の場所である福島県伊達市に福島工場を開設したのは、1975年のこと。国内初の24ピンドットプリンタの生産や、当時の世界最高速度を誇った活字プリンターなどを生産。1985年には富士通アイソテックに社名を変更し、2003年には本社を福島県伊達市に移転した。
1994年12月から個人向けデスクトップパソコンの生産を開始。1999年からは企業向けデスクトップPCの生産を開始しており、2015年1月16日に、個人向け、企業向けをあわせたデスクトップPCの累計出荷台数が、2000万台に達したという。
ノートの出雲に並ぶ、富士通の国内生産拠点
富士通アイソテックが、伊達氏発祥の地の伊達市にあることから、ここで生産されるデスクトップPCを「伊達モデル」と呼び、ノートPCの生産を行っている島根県出雲市の島根富士通のノートPCの「出雲モデル」とともに、国内生産ならではの高い品質や、国内市場に向けた即納体制といった特徴を訴求している。
現在、富士通アイソテックでは、デスクトップPCのほか、PCサーバーのほか、シリアルインパクトプリンタ、サーマルプリンタなどを生産。また、精密加工センターにおける機械精密加工事業による各種部品の受託生産、富士通東日本リサイクルセンターによる情報機器のリサイクル、東日本テクノセンターによる情報機器の修理、富士通オープンカレッジによる教育事業も行なっている。
いまや、国内で流通するPCの約9割が中国で生産されているといわれるほど、中国生産が拡大。さらに、人件費の上昇や、円安による部品調達価格の高騰などに伴い、コスト削減要求が高まるなか、約20年間に渡って、国内生産を続けてきた富士通アイソテックの強みはどこにあるのだろうか。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ