TITAN Xはリファレンスデザインのみ
発熱には注意が必要
ではTITAN Xのリファレンスカードを眺めてみよう。映像出力端子はDisplayPortとHDMI2.0がメインになったGTX900シリーズではおなじみの構成だが、GPUクーラーの設計自体は従来のTITANシリーズと同じ。ただ色が黒くなっているので、以前より凄みが増している。
GTX980は各社から独自オーバークロック+オリジナルクーラー仕様の製品が多く出ているが、TITAN Xではリファレンス仕様のカードのみとなる。従来のTITANと同じデザインを踏襲しているが、GIGABYTE「GV-NTITANOC-6GD-B」のようにオリジナルクーラーを同梱したものが出ていたという抜け道もあるので、あとはメーカーの思いきりだけ、といったところか。
地味だが重要な変更点としては、カードのVR部の設計が見直され、従来よりも大電流を扱えるようになった。
具体的には、従来のGeForceシリーズではオーバークロックツールでPower Targetは最高106%までしか設定できないようになっていたが、TITAN Xでは110%まで引き上げられるようになっている。たった4%の差だが、それだけオーバークロックで伸ばしやすくなった点は評価したい。
VR部の改良でもうひとつ注目したいのが“コイル鳴き”対策が施された点だ。GTX900シリーズは高負荷時でもファンノイズが非常に静かな製品が多いが、フレームレートが高くなるとコイル鳴きが発生する個体が出てくることで知られている。
発生するノイズの大きさは製品の個体差も大きいのだが、NVIDIAはこの発生を抑制する研究をしていたようで、晴れてTITAN Xでそれの成果を回路設計に盛り込んだ。
ただパーツの選択や回路の工夫で“出にくくした”という話であるため、今回テストしたリファレンスカードでも500fpsくらいまで出すと少しではあるがコイル鳴きが確認できた。
とはいえ、コイル鳴きが出るような状況ならばV-Syncを有効化してfpsを抑えたり、DSRを使って描画負荷を上げてしまうといった対策はあるので、それほど気にする必要はないだろう。
しかしTITAN Xはスペック特盛りの製品だけに、冷却には少し注意する必要があるだろう。GTX980のリファレンスカードでは基板裏に鉄板が入っていたが、TITAN Xでは裏面は基板がむき出しで、裏面側のメモリーモジュールがそのまま露出している。
バラック組みで10分程度「Watch_Dogs」を走らせてみたところ、裏面のメモリーチップの表面温度は約83度(サーミスタ式温度計で測定)まで上昇していた。CPUクーラーを水冷化して静音重視にセッティングしていると、ビデオカード上面に十分な気流が得られなくなる恐れがある。
こうした点を考えてみても、背面にヒートスプレッダのあるオリジナルファン仕様の製品がぜひとも欲しいところだ。メーカーの頑張りに期待したい。
→次のページヘ続く (シングルGPU最速だが、消費電力が……)
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